2009.06.09 弊社千葉工場の地質汚染対策について(その9)

旭硝子株式会社

千葉県市原市の弊社千葉工場(以下、AGCと記します)は敷地内の揮発性有機化合物(VOCs)による地質汚染に対応するため、2000年3月から体系的に汚染機構解明調査を開始し、2001年4月に調査結果を千葉県並びに市原市に報告の後、同年5月に報道発表いたしました。

その後の調査・浄化対策の進捗状況について弊社ホームページに掲載しておりますが、今回は2007年11月以降の調査・対策の進捗状況について報告します。

本報告は、第8回報告会 (2008年3月24日開催)、第9回報告会 (2009年3月26日開催)において学識経験者並びに千葉県環境生活部、市原市環境部の皆様に進捗状況と今後の計画について報告、説明させていただきました内容をもとに、その概要を報告するものです。

報告会におきましては、関係者の皆様からの適切なご指導、アドバイスを賜り、今後の調査・浄化対策の道標とすることができました。ここに深く感謝いたします。

なお、AGC敷地内の当社子会社、旭ペンケミカル株式会社も同様に調査・浄化対策を進めてまいりましたが、本年1月1日に当社が吸収合併したことから、今後は当社が責任を持って引継いでまいります。(以下、旧APCと記します)

また、AGC敷地内に立地する当社子会社、日本ビルダー株式会社敷地のフッ素及び砒素による地質汚染が判明したことから、2008年10月に市原市環境部に報告いたしましたので、新規案件として報告いたします。

  • これまでのVOCs除去量について
    図-1に示しますACMエリア、旧APCエリアともにウエルポイント工法による、ガス吸引と揚水を併用した浄化対策とモニタリングを継続しております。対策深度は、概ねGL-3m付近に約1~30cmの層厚で分布するシルト層以浅です。
    また、拡散防止措置として2002年12月に敷地境界部に遮水壁の設置を完了し、その後、遮水壁の内・外側に設置した楊水井の揚水とモニタリングを継続しています。
    1. (1)ACMエリア
      2002年3月開始から2009年2月までのウエルポイント工法による累積除去量は表-1のとおりです。既存の6井は除去速度が低下してきたことから、2006年11月より実施した現況把握調査、周辺の詳細調査結果をもとに10本の吸引井を新設し、既存井からの切替工事を2008年5月から着手、2008年9月より吸引を開始しました。
    2. (2)旧APC エリア
      タンクヤード、蒸留ヤードは2002年8月から、反応ヤードは2006年1月から吸引を開始しており、累積除去量は表-1のとおりです。なお、タンクヤードは嫌気性微生物による原位置浄化試験及び経過観察により、2006年5月から停止しています。
    3. (3)遮水壁揚水井
      第1及び第2帯水層の各地層単元毎にスクリーンを有する揚水井を設置し、揚水とモニタリングを継続しています。第1期設置の26井は2003年4月から、第2期設置の19井は2005年6月から揚水を開始し、これまでの累積除去量は表-1のとおりです。
  • 第1上部帯水層の汚染機構解明調査、浄化対策試験について

    CMXエリアにおいては、一部の範囲で第1上部帯水層基底まで(概ねGL-13m)を対象に嫌気性微生物による原位置浄化試験を実施しています。
    旧AFEエリアでは、2008年7月より調査を開始し、ここでは0価の鉄を地中に噴射攪拌してPCEの分解を図る浄化試験を実施しています。
    以下に、各エリア毎の概要を報告します。エリア位置については図-1を参照して下さい。

    1. (1)CMXエリア
      2006年6月から、単元調査法により、第1上部帯水層の詳細調査を開始し、これまでに観測井を19箇所に新設しました。本エリアはACMエリアと比較して地下水中VOCs濃度は低く(TCE max 7.8mg/ℓ)、使用履歴の無いcis-1,2 DCE が相対的に高濃度に検出され(max 13mg/ℓ)、嫌気性微生物による脱塩素化反応が示唆されました。
       そこで、バイオレミディエーションと窒素スパージングを併用した試験を2007年11月より準備に入り、2008年1月~3月にかけて実施しました。本試験は、環境省の主催する「平成19年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査・対策技術検討調査実証試験」(以下、実証試験と記します)に当たり、当サイトを提供したものです。
       短期間の試験ですが、対象範囲のVOCs濃度は概ね一桁の低下を認めましたが、その後のモニタリングで、ほぼ初期濃度に戻ったこと(リバウンド)を確認したことから、2009年1月より、改めて連続した自主試験を実施しています。
    2. (2)旧AFEエリア
      本エリアは、かつてPCEを主原料としてCFC-113を製造していた跡地で、2001年の表層ガス調査においてもPCEを高濃度に検出したエリアです。
      2008年6月より改めて表層ガス調査を開始、68箇所の簡易地下水調査を経て、単元調査法による表層部(GL-2.5~6.5m)23箇所のボーリング調査を実施した後、5箇所に観測井を設置しました。地下水中のPCE濃度はmax 160mg/ℓと極めて高濃度に検出され、DNAPLの存在も確認しました。
      上記の調査を進めている段階で、平成20年度の環境省実証試験サイトとして活用したいとの依頼を受け、応諾しました。
      試験の概要は、自在(水平)ボーリングによる地盤の噴射攪拌技術を応用して、0価の鉄粉を汚染地層に噴射攪拌してPCEを分解するもので、2009年1月に第1回試験施工、3月に第2回試験施工を実施しました。
      現在、効果確認のためのデータを収集しているところです。
  • 日本ビルダー株式会社敷地の汚染機構解明調査について

    日本ビルダー株式会社(以下、NBKと記します)は、図-2に示しますとおり、AGC敷地の南西部に位置しています。2008年12月に操業を停止し、当敷地をAGCに返還する計画を契機に、2008年7月末から地質汚染調査を実施しました。その結果、フッ素が土壌・地下水環境基準を超過、砒素が地下水環境基準を超過していることを確認しましたので、2008年10月に市原市に報告いたしました。また、環境基準項目ではありませんが、リンも地下水中に高濃度に含有していましたので併せて報告しております。
    フッ素、リンの汚染原因は、1969年の創立から1992年停止までの23年間にわたり稼動したトリポリリン酸ソーダ製造に由来するものです。その原料のリン酸中には燐鉱石に由来するフッ素が含有していました。ただし、砒素についての使用履歴は現時点では確認できておりません。
    なお、NBK敷地境界に観測井を設置し、地下水環境基準物質全てを分析しましたが、その他の物質で環境基準を超過するものはありません。
    以下に調査結果の概要を記します。

    1. (1)地層、地下水調査結果
      以下に、ボーリング調査、観測井等を設置して地下水位の計測、地下水の分析を実施しましたので、その結果の概要を記します。
      1. ①ボーリング調査結果の概要
        地層の状況はAGC敷地の既存調査結果と次のとおり概ね一致しています。
        • 図-3に示しますとおりNBK敷地はかつての海岸線上に立地していました。
        • 埋立履歴等による人工地層の深度は概ねGL-1~2.7mです。
        • 人工地層と沖積層の境界付近に分布する軟らかいシルト層は、NBK敷地東側では20~30cmの層厚で確認されましたが、同西側では確認できません。
        • 第1上部帯水層の基底は約GL-12~13mであることを確認し、汚染を深部に拡散させないため、調査深度は第1上部帯水層までに限定しました。
        • 第1上部帯水層は浅部の泥分の少ない透水牲の高い細砂と、深部の泥質で透水性の低い砂層に区分できますが、深部の透水性の低い層厚はNBK敷地東側で約1.4~2.5m、同西側で約4.4~5.5mでした。
      2. ②観測井等の設置状況
        2期に分けて設置し、地下水位の計測と地下水の採水を実施しました。その概要は次のとおりです。設置箇所は図-4に示します。
        • 第1期:NBK敷地境界部、約GL-13mまでの第1上部帯水層に5箇所・2深度の観測井を設置しました。敷地内はプラント撤去工事を予定していたことから、採水管29本を挿入して、GL-3m以浅の地下水を採水して分析しました。
        • 第2期:地下水の流動方向に合わせてAGCの敷地に2箇所・3深度の観測井を設置し、その井戸間に採水管を3箇所に挿入して地下水を採水し分析しました。
      3. ③地下水流動調査結果の概要
        新設観測井と既設観測井、及び採水管内の地下水位を計測した結果、浅層部の地下水は図-5に示しますとおり、概ね南西方向に流動していると推定しました。
      4. ④第1期 NBK敷地の地下水分析結果の概要
        採水管は1回のみ、観測井は2008年8月8日及び2009年1月16日の2回、分析を実施しました。最新の分析結果は、最大値でフッ素は64mg/ℓ、砒素は0.028mg/ℓ、全リンは605mg/ℓでした。いずれの項目も最大濃度はGL-3m以浅で検出しています。
         表-2に分析結果を濃度範囲で示します。
      5. ⑤第2期 AGC敷地の地下水分析結果の概要
        採水管は1回のみ、観測井は2008年11月7日、12月11日及び2009年1月16日の3回実施しました。最新の分析結果は、最大値でフッ素は13mg/ℓ、砒素は0.024mg/ℓ、全リンは64mg/ℓでした。
        表-3に分析結果を濃度範囲で示します。
      6. ⑥汚染源のボーリング調査結果の概要
        地下水調査結果をもとに、汚染源と推定されたトリポリリン酸ソーダ製造跡地を中心として16箇所、GL-3m以浅をボーリングし、採取コア(101検体)のフッ素溶出量及び含有量、全リン溶出量を分析しました。ボーリング位置は図-6のとおりです。
        分析結果は、最大値でフッ素溶出量は130mg/ℓ、フッ素含有量は46,000mg/kg、全リン溶出量は240mg/ℓでした。
        表-4に分析結果を濃度範囲で示します。
    2. (2)今後の対応について
      NBKは、昨年12月末に全ての操業を停止し、本年2月から6月の予定でプラントの撤去工事を進めています。撤去後は、雨水の地下浸透を抑止するために全面舗装を完了後に、AGCに引渡される計画です。
      第一段階として汚染地下水の拡散防止を目的とした汚染源近傍からの地下水揚水を計画しています。揚水した地下水は、既設の排水処理場で処理が可能です。
      第二段階以降につきましては、計画が纏まった段階で報告会を開催し、学識経験者並びに行政の皆様のご意見、ご指導を賜りながら、より適切な浄化対策を検討し、実行してまいります。

【 ご 参 考 】

2007年10月30日
弊社市原市千葉工場の地質汚染対策について(その8)
2005年08月18日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その7)
2004年08月12日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その6)
2003年12月03日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その5)
2003年03月27日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その4)
2002年12月26日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その3)
2002年07月23日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その2)
2002年07月22日
対策検討会 第2回中間報告 (PDF 244KB)

(正式名称:「旭硝子株式会社千葉工場及び旭ペンケミカル株式会社千葉工場に係る土壌・地下水汚染浄化対策検討会」第2回中間報告)

2002年02月13日
弊社千葉工場敷地内の土壌・地下水汚染への対策について(その1)
2001年12月28日
対策検討会 中間報告 (PDF 14KB)

(正式名称:「旭硝子株式会社千葉工場及び旭ペンケミカル株式会社千葉工場に係る土壌・地下水汚染浄化対策検討会」中間報告)

2001年05月14日
土壌・地下水調査結果及び今後の対策について

【 お問い合わせ窓口 】

旭硝子株式会社 千葉工場 総務グループ 
平山 TEL 0436-23-3121

旭硝子株式会社 広報・IR室      
若杉 TEL 03-3218-5259