
株式会社 日本総合研究所
創発戦略センター
主席研究員
足達 英一郎 氏
昨年の第三者意見において、グローバルな事業展開に比較して、CSRレポートの報告内容が日本国内での取り組みや進捗に偏っているのではないかと指摘させていただきました。今年の報告書では、その点に大きな改善が見られたと考えます。グループ連結会社のうち海外に所在する141社すべてを包含する統合的なCSRマネジメントを構築することは容易ではないと想像いたしますが、ぜひともそうした方向に向けて着実に歩みを進めていただきたいと期待します。
とりわけ2011年度から、「グローバル企業としてグループ人員配置計画に基づいた採用計画の策定に着手するとともに、グローバルレベルでの適材適所化を推進していきます」と報告されている点に注目しました。これまで、わが国企業の「ダイバーシティ」施策は、専ら日本国内における女性の雇用・登用の促進を中心に取り組まれてきました。しかし、今後は「世界中から優秀な人材を集め、いきいきと働いてもらえる」企業グループをつくることが喫緊の課題です。この過程では、人権や労働慣行に関する追加的な取り組みが必要となると想像します。これらの事項に関する進捗を「AGCグループ」として一体的に報告していただけることを希望します。
「社会の声に耳を傾け、社会の期待に応える技術やサービスを生み出したい」という内容のトップメッセージにも注目しました。タイにおけるステークホルダーダイアログの開催や外部からの意見に対する対応、活動進捗にも、少なからず紙面を割いて報告されたことを評価したいと考えます。今後は、こうした声や期待から導かれる「各部門が次に取り組むべき課題」の認識を率直に報告していただくことを期待します。例えばガラスメーカーとして、エネルギーを大量に消費しているという認識は示されていますが、けい砂、原塩、蛍石などの採掘における環境負荷が認識されているかどうかは読み取れませんでした。また、フッ素系溶剤事業を過去から継続しておられる立場への言及も見受けられませんでした。
もちろん、地球温暖化問題に技術力で貢献するというAGCグループの成長基盤には、ポジティブな期待を抱くことができます。とりわけ、太陽電池用カバーガラス、薄膜シリコン太陽電池用透明導電膜付ガラス基板、集光型太陽熱発電のための高透過ガラスや高反射ミラーの将来性には注目しています。今後とも、技術の進展と事業の拡大の状況を、時系列的に報告していただくようお願いしたいと思います。
社会的責任投資のための企業情報の提供を金融機関に行っている立場から、本書を通じて理解したAGCグループの社会・環境側面の諸活動ならびにその情報開示のあり方に関し、第三者意見を提出したものです。このコメントは、本書が、一般に公正妥当と認められる環境報告書等の作成基準に準拠して正確に測定、算出され、かつ重要な事項が漏れなく表示されているかどうかについて判断した結論を表明するものではありません。

旭硝子株式会社
執行役員 CSR室長
松尾 時雄
本レポートでは、「持続可能な社会」の実現に貢献する企業としてAGCグループが取り組むCSR活動を、グローバルな視点でご紹介しました。
特集ページでは、経営方針 Grow Beyond で掲げる「地球温暖化問題に技術力で貢献」を継続して取り上げ、昨年度のレポートで紹介した事業分野ごとの方針に基づく、各国・地域の拠点での取り組みや、地球温暖化問題に貢献する製品をご紹介しました。また、CSR活動の報告ページでは、活動分野ごとに、AGCグループの方針とこれを受けた各国・地域の活動を、それぞれ担当者の声でご紹介しました。さらに、本年度は、地域に根ざしたCSR活動を推進するため、タイのグループ会社でダイアログを実施しました。
AGCグループは、グローバルなCSR活動をさらに加速させる必要があると認識しています。各国・地域のCSR課題を受け止め、事業の側面に落とし込むことで「持続可能な社会」の実現に貢献し、社会から期待され、応援していただける企業を目指してまいります。お読みいただいた皆様からも、忌憚のないご意見・ご感想をお寄せいただければ幸甚に存じます。