Paper2. Numerical Simulation of Glass Flow during Pressing Process (Part 2)
森 峰男*・加藤保真*
Mineo Mori and Yasumasa Kato
 We have developed a numerical simulation scheme for glass flow with free surface
during press forming process of CRT bulbs. The present paper deals with applications of our scheme to the forming process of funnel glassware in order to obtain the optimum product design. Funnel glassware has non - uniform thickness: the yoke part is thinnest and the middle part of body is thickest. Therefore, the glassware has non-uniform temperature distribution during the press forming process. Since the viscosity of glass strongly depends on its temperature, it is difficult to estimate the necessary pressing power without a numerical simulation scheme. A detailed comparison is given of the pressing powers necessary for three different types of designs, keeping the same weight.

*中央研究所
 

目次
  1. 緒 言
  2. 成形工程
  3. 円柱流体のプレス力について
  4. 伝熱境界条件について
  5. 数値解析例
  6. 総 括

 
1 .緒 言
 筆者らは、CRT ガラスバルブのプレス成形工程に おける自由表面を有するガラス流動シミュレーショ ンモデルを開発してきた(1)(2)。本論文では、ファン ネルガラスの製品設計を目的とした本シミュレー ションの適用方法について述べる。
 電子銃が装着されるファンネルガラスは、受像面 のパネルガラスに比べ、求められる電子部品としての機能よりその製品肉厚偏差が大きい。したがって、ファンネルガラス成形工程において、ガラスは面内方向、肉厚方向ともに温度分布すなわち粘性係数分 布が生じやすく、成形に必要なプレス力は、その製 品形状に大きく依存することとなる。場合によっては、製品形状のわずかな差異により、既設プロセス では成形不可能な事態を招く。
 ガラスバルブメーカにとって、一般的にパネルガ ラスに比べ、ファンネルガラスの製品設計は自由度を有しており、製造上の制約条件となるプレス力等のプロセス能力面から評価した製品設計を可能とすることは工業上意義が高い。
 
▲Page Top

 
2 .成形工程
本手法では、プレス成形現象を軸対称問題として取扱う。Fig.1 に成形工程におけるファンネルガラスの断面図を示し、本論で用いる各部位の名称につ いて示す。
  Yoke 部には、その側面に電子銃より放出される ビームに磁界を与えるコイルが装着される。Yoke 部はコイルの性能を効果的とするため肉厚が薄い構造となっている。またパネルガラスとの接合面をSeal edge 部、両者の中間部分をBody 部と称する。
  Fig.2 にプレス成形時の様子を示す。Fig.2 において軸方向をz とし、z の負の方向に重力加速度g が働くものとする。ファンネルガラスの成形は、Bottom mold 上に置かれた溶融ガラスの塊(Gob)を Plunger mold が重力方向に降下することにより行われる。
 ここで、Plunger mold に働くガラスの反力よりプレス成形に必要な力Fを求めることができる。なお数値解析手法ならびに計算の手順の詳細については、前報を参照されたい。
 
▲Page Top

 
3 .円柱流体のプレス力について
 本節では、プレス成形に必要な力について理解を助ける上で、Fig.3 に示す円柱状の高粘性流体の流動についての理論解析を加える。
 半径 R の円柱形のプレスに必要な力F は、肉厚をL 、時間をt 、Plunger 速度を∂L/∂L 、粘性係数を温度Tの関数μ(T)とすると、Stokes 方程式を解き、得られた流体の圧力をPlunger 表面上で面積分することより下式(1 )を得る。ここで、T はガラス温度を表す。
 式(1 )より、ガラスの成形に必要なプレス力F は、 肉厚L の3 乗に反比例し、Plunger 降下速度∂L/∂t と粘性係数μ(T )に比例することが得られる。  実際のプレス工程では、ガラス温度T も時々刻々 と変化し、プレス時間の関数となるため変形に必要な力を予測することは困難である。  またプレス力を一定とした成形を行う場合、式(1 )よりPlunger は、降下速度∂L/∂t とプレス力Fと釣り 合うように運動するため、成形に必要な力を正確に予測することは一層困難となる。
 
▲Page Top

 
4 .伝熱境界条件について
 本プレス工程においてガラスは、その温度より低い金型により冷却されながら変形流動する。ここでは、ガラスと金型間の伝熱状態における熱伝達率について論じる。
 Fig.3 に示す通り、ガラスの中央肉厚を代表長さL、半径r 方向のガラスの進展速度v を代表流速とおくと、プレス工程中Plunger の降下にともないLは減少、v 増化するもののReynolds 数は全時間範囲で、Re ≪1.0 と層流である。
 これより層流ヌッセルト数Nu(3 )は、7.54<Nu<8.23となる。したがって熱伝達率hは、Nu と代表長さL 、熱伝導率λにより下式(2 )で表される。
 
▲Page Top

 
5 .数値解析例
5.1 解析内容
 質量が等しくその形状にわずかに差異のある設計 案 Type A 、Type B 、Type C の29 インチサイズの ファンネルガラスについて、成形プレス力の評価を目的としてシミュレーションを行った。   Type A を基本形として、Type B は、Yoke 側厚肉化、Seal edge 側薄肉化とした。同様にType C は Type A に対し、Yoke 側薄肉化、Seal edge 側厚肉化とした。各設計案の特徴についてType A を基準とした代表的な肉厚比をTable 1に示す。

 計算条件として、Plunger 降下速度を0.01m/s 一定、 ガラス初期温度980 ℃、金型温度については500 ℃一 定とし、ガラスと金型間の熱伝達率については1163 W/m2K で一定とした。なお計算開始時のPlunger 位置は、プレス最終状態より0.05m 上方とする。
 ガラスの物性値については、密度は3040kg/m3 とし、粘性係数μ(T)(Pa ・s )は、実測データに基づき 次式で表される温度(℃)の関数とした。
    
 また熱拡散率α=λ/(ρ・c )については、6.53 × 10−7 m2 /s 一定とした。ここでρc は、それぞれガラスの密度、比熱を表す。

5.2 結果と考察
 Fig.4 に計算より得られたType A のガラス温度分 布の時間変化を示す。またFig.5 には、各設計案の プレス終了時刻t =5 秒のガラス内部の圧力分布を示す。
 前報と同様、計算より得られたガラスの圧力分布 から、Plunger 表面に作用するガラスの反力を算出 し、これをプレス成形に必要な力と考える。Fig.6 には、各設計案に対するガラス反力の時刻歴を示す。
 プレス終了時刻t =5 秒のガラス反力は、Type A では7.38MN 、Type B では6.44MN 、Type C では 7.75MN であった。これよりType B とType C を比較 すると成形に必要な力は、Type B の方が小さく、そ の差は約20%以上も減少する結果を得た。比較のためにガラスの粘性係数を一定とした場合のガラス反 力の時刻歴をFig.7 に示す。Fig.7 より粘性係数分布 を考慮しない場合、すなわち単なる流路抵抗のみの 検討では各設計案の優位差は現れない。
 ガラス反力の構成因子に着目すると、Yoke 部は、 表面積は小さいものの薄肉部で最低温度部となり、 Yoke 部の流体圧力が増大し支配的となる。検討したType B とType C について、Yoke 部の11%の肉厚比 がプレス力の優位差となって現れることとなった。
 このように、伝熱解析を含んだ自由表面解析を行 うことにより製品設計案の優位性をプレス力の差と して評価することが可能となる。
 
▲Page Top

 
6 .総 括
 本論文では、ファンネルガラス製品設計案に対し、 シミュレーションにより得られる成形に要するプレス力に着目した評価方法について報告した。
  計算例として、質量が等しくその形状がわずかに 異なる3 種類のファンネルガラスのプレス力につい て示した。その結果、プレス力の支配因子として Yoke 部の肉厚の影響が大きく、設計パラメータとな る肉厚分布については、本部位の考慮が不可欠であることが分かった。
 実際のファンネル成形は、不均一な温度場条件下において行われるが、このような複雑な現象に対し、 モデルを単純化した本シミュレーションを通じて製品の基本設計を立案することは有効であると考える。

−参考文献−
(1) 森峰男、若月博,旭硝子研究報告, 51 , 19 (2001 )
(2) M. Mori and H. Wakatsuki, Proc. 19th Int. Congr. Glass, Edinburgh, Scotland, July, (2001 )
(3) “伝熱工学資料”, p. 51 (1986 ), 日本機械学会.
(4) 栗山正明、片山功蔵、田熊良行、長谷川泰、大坂俊明, 日本機械学会論文集(第2 部), 41 , 342, 607 (1975 )
(5) 栗山正明、片山功蔵、田熊良行、長谷川泰, 日本機械学会論文集(第2 部), 41 , 352, 3588 (1975 )
 
▲Page Top

back next
 
COPYRIGHT(C) 1996-2004 ASAHIGLASS COMPANY. ALL RIGHT RESERVED.