LEDは高出力化に伴い発熱量が増大しますが、GCHP®は既存のパッケージ用基板よりも放熱性や変色劣化に対する信頼性に優れ、紫外線から赤外線領域までの幅広い波長のLED製品の高出力化と耐久性向上を図ることができます。
また、可視光域ではアルミナ基板に比べて反射率が約20%高いために輝度を高めることができます。
今後、市場拡大が見込まれる半導体レーザーの分野でも、GCHP®の放熱性能は出力UPに寄与します。

使用用途

  • 可視光LED
    車載照明、室内・屋外照明、道路・トンネル照明
    水銀灯代替の照明、街路灯、防犯灯、医療用照明 等
  • 赤外線LED
    ドライビングモニター、監視カメラ、センシングカメラ、ナイトビジョン 等
    ジェスチャー認識、コミュニケーションランプ 等
  • 紫外線LED
    樹脂硬化、殺菌・滅菌、水質浄化、医療用照明、高演色性照明 等
  • 半導体レーザー(EEL/VCSEL)
    車載照明(ヘッドランプ)、プロジェクター、3Dセンシング、ToFカメラ、自動運転(LiDAR) 等
  • その他 各種電子デバイス
    光通信用デバイス、MEMS センサ、二次電池・全固体電池 等

水質浄化
(紫外線LED)

車載ランプ
(可視光LED)

自動運転アプリケーション
(VCSEL)

GCHP®

特徴

  • ガラス素材から最終基板まで一貫生産
  • 高反射 (白色基材) や高吸収 (黒色基材) の製品ラインナップ
  • 高出力用途に寄与する高い放熱性
  • 3次元回路によるダウンサイジング
  • ガラスによる高信頼性(無着色)
  • ガラスによる高い気密性
  • ガラスによるハンダクラック抑制

GCHP®とは

GCHP®(Glass Ceramics Hybrid Package)は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)の技術と、AGCのガラス材料技術を組み合わせて開発された新しいガラスセラミックスハイブリットパッケージ基板です。

GCHP®の特長は、上にまとめていますが、LED用途では高い反射率、高信頼性、高い放熱性といった特徴を活かし、車載用途などの可視光LED製品に適しています。また、可視光のみでなく、紫外線から赤外線領域まで高い反射率を有するため、今後の需要拡大が期待される、赤外線LED、紫外線LED等のより高出力が求められるLED製品のパッケージ基板としても優位性を発揮します。
GCHP®は端面発光レーザー(EEL)、垂直面発光レーザー(VCSEL)などの半導体レーザーでも近年の高出力化に対応して高い放熱性を持たせた設計が可能となっています。
特に、自動運転システム等での3Dセンシングでの採用により脚光が当たっている垂直面発光レーザー (VCSEL)は高い放熱特性や高い信頼性が要求されるため、GCHP®が適する応用例の一つです。

高出力用途に寄与する高い放熱性

ヒートアップによるレーザーの不安定化を避けるために、高出力LDにおいては放熱が非常に重要です。LTCC自体は一般的に熱伝導率が低いのですが、GCHP®は熱伝導の高いAg(銀)のブロックを内部に形成できる特長を有しています。このヒートシンク構造により高い放熱性を実現しています。
基板材料としてよく使われるAl2O3(アルミナ)では高温焼成が必要なため導体材料に熱伝導率の高いCu(銅)やAg(銀)を用いることができず、放熱性の向上に限界があります。Agを用いたGCHP®では、高い放熱性が可能になります。

GCHP®はAgのヒートシンクを導入できるため、Agの高い熱伝導率を利用することができます。グラフではAl2O3(アルミナ)やAlN(窒化アルミ)といったHTCCの熱伝導率、HTCCの導体に使われるW(タングステン)の熱伝導率との比較を示しています。このようにGCHP®はAg(銀)を使えるために、高い放熱性能を実現できます。

高反射~高吸収の製品ラインナップ

光は、屈折率の異なる物質の界面で反射をするという特性があります。GCHP®はガラスとセラミックスのハイブリッド材料であるために、ガラスとセラミック界面で反射が繰り返され高い反射特性が実現されています。ガラスのネットワーク構造を維持したまま、セラミックフィラーを多く取り込むことが可能なガラス組成を開発し、高い反射率をもつパッケージ基板となっています。

GCHP®では高い光反射率を持っており、LEDパッケージの光の利用効率を高めることができます。反射率を抑えたい場合は黒色タイプのラインナップもあります。基板の反射率の要求は、光センシングデバイスの設計により異なってきますが、GCHP®では高い反射率の白色タイプと、低い反射率の黒色タイプの両方のラインナップを揃えています。

ガラス組成などによる高い信頼性

クラック抑制 GCHP®はガラス成分を含み低ヤング率となっています。この特性は基材内部で応力が一部に集中することなく分散させる効果があります。この特性は、セラミック基板にはないもので、実装された基板において、基材はもちろん周辺部へのクラックの抑制効果があります。
紫外耐性 LiDARなどは屋外での使用が想定されUVへの耐性も求められます。ガラスとセラミックスの複合体であるGCHP®は紫外線照射による劣化も殆どありません。
硫化耐性 パッケージ基板の耐久性として厳しい試験に耐硫化試験というものがあります。屋外や車載用途を想定した場合に必須となる試験ですが、GCHP®の場合は、硫化による劣化も生じません。

3次元回路形成による様々な設計実現と小型化

GCHP®は、LTCCプロセスで作製されます。グリーンシートと呼ばれる焼結前の基板上へAgなどの金属パターンを形成し、多層化したのちに焼結されます。そのため、内層配線が可能であり、3次元回路を作ることができます。これによりパッケージの小型化や、表面実装デバイスを配置したパッケージなどの柔軟な設計も可能になります。
また、センシング用途では拡散板などの光学素子と組み合わせて使われますが、AGC ではレンズ、拡散板、DOE といった光学素子を含めたソリューションを提供しております。

LTCC基板に表面実装デバイスを配置した例。中央のチップとは別の配線で、表面に配置されたデバイスの特性を制御するためのチップをマウントすることができます。
これらのGCHP®の特徴は、多くの製品の各種性能と信頼性を高めることに貢献します。

セラミックパッケージ基板の性能比較

GCHP®の特徴を他のセラミック材料と比較しながらまとめています。Agがヒートシンクとして機能するために、高い放熱性を持っています。
材料としてもガラスとセラミックの特徴を活かすことで、高い信頼性をもっています。材料としてもガラスとセラミックの特徴を活かした LTCC 製品であり、高い信頼性を持っています。
またGCHP®は、より複雑な内層配線が可能であり、設計の柔軟性や高集積性に寄与します。

項目 GCHP® Al2O3 AlN
放熱性

(heat sink)

反射率

(高反射)

(白色基材)

×
反射率

(高吸収)

(黒色基材)

×
信頼性
多層配線 ×

サンプル

サンプルについてはフォームよりお問合せ下さい。

ピース形状 Top面 Bottom面 パネル形状
3528サイズ
(3.5㎜*2.8㎜)
3532サイズ
(3.5㎜*3.2㎜)
3535サイズ
(3.5㎜*3.5㎜)
4343サイズ
(4.3㎜*4.3㎜)