情報システム部

ITを武器にビジネスを拡大
AGCグループの競争力を最大化する

メーカーであるAGCが、高品質なものづくりを続けていく上で欠かせない情報システム。販売・物流、生産管理、会計・購買などの各種システムに、コミュニケーションシステム……etc.これら情報システムは企業活動を維持・運営していくためだけでなく、グローバルな市場で起こる変化をいち早く捉えて、関係者全員で共有し、次の戦略を迅速に実行するための、重要な経営インフラである。情報システム部が目指すのは「攻めのIT」。IoTやクラウド、ビッグデータといったキーワードに代表される最先端の技術・ノウハウ・外部サービスを遅滞なく採り入れ、ものづくりの強化、業務改革、新たなビジネスモデルの創出に資することで、AGCグループの競争力を最大化していく。

ITを活用して経営戦略を効果的に実現する

AGCグループは世界30の国や地域でビジネスを展開しており、200社ものグループ会社から成るグローバル企業だ。グループ全体で従業員は5万人超。その巨大組織の体内を24時間365日、何万何十万という数の業務が走っている。これら無数の業務を「情報」という視点で捉え、その円滑な流れを支えているのが情報システム部だ。当然ながら情報システムの優劣は企業組織の運営の優劣、すなわち経営効率を左右する。
情報システム部の役割は、単なるITの運用にとどまらない。それ以上に、ITを活用したAGCの経営戦略の効果的実現こそが最大の使命なのだ。ITのパフォーマンスいかんでイノベーションがさらに活発化され、新製品や新規ビジネスが次々と生まれていくことにつながる。もちろん、事業の収益性にも関わってくる。それゆえ優れたITスペシャリストは、自社の事業の強みや課題を深く理解した上で、「経営戦略を実現するにはどのような業務改革が必要なのか」「その業務改革に寄与するITはどうあるべきか」と考える。そんな高所からの発想で仕事に取り組むことを求められる。
AGCの情報システムを特徴づけるキーワードの1つが「全社横断型」だ。情報システム部のメンバーは、AGC内のさまざまな部門と接しながら、それぞれで培われた業務知識を学び、その部門のニーズをシステムに反映していく。こうした幅広い経験とそこで培われる人脈は、ITスペシャリストとして成長していく上での大きな糧となる。
また、上流工程から下流工程まで、システム開発の流れをすべて経験し、開発が終われば引き続きその活用促進を図り、ユーザーの業務改革を支援していく。データがどのように流れていくのか、すべてを把握しているからこそ、どこをどう変えればもっと効率よく仕事ができるか、どう変えれば新しいビジネスに対応できるかが見えてくる。それはITスペシャリストとユーザーとが二人三脚で歩んでいることの大きな利点だ。
また「システムをつくって終わり」ではないという点は、SI(システムインテグレーター)企業のSEとは大きく異なる、情報システム部での仕事の魅力といえるだろう。「意思決定に欠かせないデータが素早く取得できるようになった!」「情報の見える化が進んだ!」といったユーザーの声をダイレクトに聞きながら、システムの企画立ち上げから更新まで、そのライフサイクルすべてに責任を持てるのは、ユーザー企業のIT部門で働く者の仕事の醍醐味だ。
AGCの情報システムを特徴づけるもう1つのキーワードは「グローバル」だ。利用者であるAGCそのものが製造・販売拠点をグローバル展開しているため、情報システム部の活動も自ずとワールドワイドなものになる。日本・アジア地域におけるコミュニケーションインフラの構築がその一例だ。
対象となったのは、国内30社以上と、タイ、シンガポール、中国、香港、韓国、フィリピン、台湾、インドネシア、ベトナムの30社以上のアジア子会社。特にアジア地域は北米・ヨーロッパ地域とは異なり、メールも認証基盤も拠点ごとに異なるシステムが導入され、セキュリティーレベルもまちまちだった。そこで情報システム部が主導して、メールシステムからテレビ会議、ウェブ会議、文書の共有まで、OAインフラを標準・統合化。これによりユーザーが世界中どこに転勤・出張しても、自分のPCを使ってその日から仕事ができる環境が実現した。
だが、成果はそれだけではない。グローバルなコミュニケーションインフラが構築されたことでグループ内の情報共有・コミュニケーションの仕組みが強化され、国や地域を横断した迅速な業務オペレーションを可能とする基盤が整ったのだ。
情報はつながることで価値を生む。部門間で情報が共有されることで、正しい判断がタイムリーに下され、ビジネスが拡大・加速化される土台ができたといえる。グループ内のセキュリティーレベルが向上したことは言うまでもない。

  • 業務改革の実現コンセプト

クラウドが「攻めのI T」の武器になる

情報システム部は発足以来、基幹業務や事務処理などバックオフィス向けシステムの構築・保守・運用を担ってきた。これは主に業務の効率化を目的とした、いわば「支えのIT」といえる。もちろん重要な任務だが、情報システム部ではここからさらに、関係部門とともに各種業務の改革、新しいビジネスモデルの創出に貢献するという「攻めのIT」へと踏み出している。物流や販売などを担う基幹システムを外部のクラウドサービスへ移行させたことは、「攻め」に打って出るための大きな布石だ。ホストコンピュータ上で長年稼働していたある事業部門の基幹システムを外部商用サービスのクラウド環境上へ移行したことは大手メーカーではほとんど前例のない試みだったが、メリットとリスクを多面的に比較考量し、社内外の関係先と協議を重ねた結果、GOサインが下された。2016年夏、基幹業務システムをクラウド上で稼働させて以降、その他全部門の基幹業務システムをクラウド上へ全面移行した。それと同時に、災害対策も進めている。
一般に、クラウド活用の最大のメリットはコストの削減にあるといわれる。インフラの構築や保守のコストだけでなく、ネットワーク回線やデータセンター、電力設備の費用、開発用環境の運用にかかるコストも減るからだ。しかし、情報システム部では、コスト削減というポイントだけでクラウドを捉えているわけではない。AGCすべての施策の中核となる基盤技術としてクラウドを位置づけているのだ。
攻守一体。すなわち、従来型の「支えのIT」でもクラウドはコスト削減で利益に貢献できる上に、クラウド移行の結果、浮いた人員・資金・資材などのリソースをビジネス拡大に振り向けることで「攻めのIT」を強化できるのだ。従来はインフラの構築や運用に手間がかかり、業務改革に時間を割きづらいことも多かったが、業務システムをクラウドに移行すれば、コストとともにそうした手間が減らせる。さらにクラウドならハードの増強や縮小が簡単なため、新たな事業や製品を検討・展開するにあたって、より小さなリスクで取り組みを始められる。新規開発や新規事業の担当者は、システムまわりの環境整備に煩わされることなく、開発や事業を立ち上げる活動に専念できるのだ。こうした体制が整うことで、AGCのなかに、よりイノベーティブな風土が醸成されていくに違いない。
現在、情報システム部では「攻めのIT」の一環として、関係部門と協業してクラウド活用による大規模データ解析や、シミュレーションなどのビジネス拡大を目的とした活動を開始している。これまで蓄積された各事業における開発や製造に関わる膨大なデータが、新たなビジネスの種となることは間違いない。

  • まだまだ広がる情報システム部の活動領域

事業部門とともに、
業務改革・ビジネス創出をグローバルに推進

情報システム部は「マネジメント、ワークスタイル、業務の改革や新ビジネスモデルの創出を実行する組織になる」というビジョンを掲げている。業務改革についていえば、単に業務をITに置き換えるのではなく、業務そのものを改革することを目指している。たとえば製造のモニタリングシステムは、現場で今まさに起こっていることを世界中のどこでも「見える化」するもの。製造現場で何かトラブルが発生しても、知識と経験を持った世界中のプロがITを介して知恵を寄せ合えば、必ずイノベーションにつながる。そういう「知の融合」を可能にする仕組みを構築することで、業務改革や新規事業創出を促すのだ。そのためのインフラを情報システム部が整えている。
もちろん、こうしたシステム導入は本社からトップダウンで一方的に実施して成功するものではない。グローバルに影響を及ぼすシステムの場合はなおさらだ。法規や慣習の異なる各国ごとの事情や拠点のニーズを吸い上げながら、システムを構築していく。システムを変えるのは人の力なのである。こうした人の力を結集するため、情報システム部では、世界各国に散らばるIT責任者とのグローバルIT会議を催し、コミュニケーションを重ねながら問題意識を共有化してきた。これに加えて2015年からは情報システム部が主宰して、経営トップと各事業部門のトップが参画するグループIT委員会を開催、「攻めのIT」について議論を活発化させている。事業部門と情報システム部が力を合わせて、車の両輪のように業務改革や新ビジネスモデルの創出を進めていく体制が整ったといえる。
情報システム部は少数精鋭主義をとっており、新人でも大きな案件を任される。そこで問われるのがコミュニケーション能力だ。ユーザー部門にヒアリングし、ニーズや問題点を分析し、SI企業など外部のパートナーとプロジェクトチームを組んでシステムを開発・導入まで率いていく。そのすべてのプロセスで、的確なコミュニケーションが欠かせない。導入先が海外ともなれば、異文化理解も要求される。
またクラウドの導入で、今後は情報システム部での業務の方向性も変わっていく。情報システムの構築、運用、保守といったメイン業務の中の運用業務は外部のビジネスパートナーにアウトソーシングして、情報システム部の人員が担う業務は「攻めのIT」を実現していくための企画・構築業務へとシフトしていくことになる。「ITを活用して経営に貢献する仕組みはどうあるべきか」を考え、具体的にITを新ビジネス創出や収益拡大に生かす構想を練り上げ、これを実現するために他部門や外部企業を巻き込んでいくリーダーシップも今以上に求められることになる。「会社を大きく変える仕事がしたい!」という志を持った若者には最適の部門といえるだろう。

  • 事業部門とともに、業務改革・ビジネス創出をグローバルに推進