2018年03月22日経営リリース

次世代パワー半導体材料のノベルクリスタルテクノロジー社に出資

―酸化ガリウムウェハーの共同開発を開始―

AGC旭硝子(旭硝子株式会社、本社:東京、社長:島村琢哉)は、次世代パワー半導体材料開発会社であるノベルクリスタルテクノロジー社(株式会社ノベルクリスタルテクノロジー、本社:埼玉、社長:倉又朗人)への出資を決定しました。次世代パワー半導体に使用する酸化ガリウムウェハーの共同開発を両社で進め、2020年の実用化を目指します。

酸化ガリウムウェハー 酸化ガリウムウェハー

パワー半導体は、サーバー・家電製品・電車・生産設備など様々な電気機器に組み込まれ、電圧や電流の制御を行い電力の消費を抑える電子部品です。電気自動車や再生可能エネルギーの更なる普及に伴い、その需要は2030年には現在の約2倍に増大することが見込まれています*1。またパワー半導体の要求性能は日々向上しており、現在パワー半導体材料として使用されているシリコン材料より、高電圧で使用でき、大電流でも電力損失の少ない材料が求められています。

酸化ガリウムは、次世代パワー半導体材料として開発が進んでいるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と比較し、その材料の特性上、さらに高電圧・大電流で使用できる可能性があり、高い量産性が見込まれる新規材料です。次世代パワー半導体の材料として注目されており、2030年には200億円規模の市場が見込まれます*2。

当社は酸化ガリウムウェハーの将来性に注目し、本材料を開発・製造するノベルクリスタルテクノロジー社に出資することを決定しました。当社が半導体関連部材事業で培った材料・加工・量産技術を応用し、ノベルクリスタルテクノロジー社と共同開発を実施することで、酸化ガリウムウェハーおよび次世代パワー半導体の実用化を加速していきます。

AGCグループは、経営方針AGC plus の下、エレクトロニクス事業を戦略事業のひとつと位置付けています。今後も大きな需要の伸びが見込まれる半導体関連事業に対し積極的な投資を実施し、半導体産業の発展に貢献していきます。

<注釈>

*1 富士経済「2018年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」参照
*2 当社推定


<ご参考>

■ノベルクリスタルテクノロジー社に関して■

ノベルクリスタルテクノロジーは2015年に創業した、株式会社タムラ製作所からのカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社です。パワー半導体材料である、酸化ガリウム単結晶基板とエピタキシャル膜の製造・開発を手掛けています。2017年11月には、タムラ製作所との共同で、世界初の酸化ガリウムエピタキシャル膜を用いたトレンチMOS型パワートランジスタの開発に成功するなど、世界に先駆けて酸化ガリウムを用いたパワー半導体の実用化に向けた取り組みを進めています。
http://www.novelcrystal.co.jp/jp/index.html

酸化ガリウムトレンチMOS型パワートランジスタの模式図 酸化ガリウムトレンチMOS型パワートランジスタの模式図

■パワー半導体の市場規模に関して■

今後パワー半導体の市場規模は急速に拡大し、2025年に3兆8千億円規模、2030年に4兆7千億円規模に増大する見込みです。

出展:富士経済「2018年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」 出展:富士経済「2018年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」
本件に関するお問い合わせ先:
AGC旭硝子 広報・IR部長 玉城 和美
担当:北野
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com