1997年10月13日経営リリース
パキスタンで同国初の本格的塩ビ樹脂製造販売合弁会社を設立
旭硝子(株)(本社:東京、社長:瀬谷博道)及び三菱商事(株)(本社:東京、社長:槙原稔)は、パキスタンにおいて、現地の有力肥料会社であるエングロ・ケミカル社と同国初の本格的塩ビ樹脂(PVC)の製造販売合弁会社を設立することで合意し、10月10日に現地で合弁契約の調印を行いました。
パキスタンの塩ビ需要はここ数年、パイプ・靴・電線用を中心に年率10%強の伸びを見せており、96年の実績は約9万トンと見られています。過去には小規模の塩ビ樹脂メーカーがありましたが既に活動を停止しており、現在は国内メーカーがないため、全量サウジアラビア、イラン、タイ等からの輸入に頼っている状態です。一方、エングロ社は同国第2位の肥料会社で、かねてより塩ビを始めとする石油化学事業への多角化を指向していましたが、このたび日本側2社と合意に達し、塩ビ樹脂の国内生産を行うことになったものです。
旭硝子はアジア最大級のクロール・アルカリメーカーとして既にインドネシア、タイで事業を展開していますが、今回はこれに続く第3のクロール・アルカリ拠点になります。
また、三菱商事はパキスタンにおいてポリエステル繊維とポリプロピレンのフィルム事業を行っていますが、本件の投資は本格的な石油化学への進出になります。
新会社「エングロ旭ポリマーアンドケミカルズ(株)(EAPCL)」への出資比率は、エングロ社50%、旭硝子30%、三菱商事20%です。総投資額は約8,300万ドル(約100億円)、資本金は3,700万ドル(約44億円)で、旭硝子及び三菱商事が出資する資本金1,850万ドル(約22億円)は、パキスタンに対する日本企業からの出資としては過去最大です。社長はエングロ社が、副社長は旭硝子が指名しますが、エングロ社はパキスタンでの事業ノウハウ提供と販売、旭硝子はPVC生産、三菱商事は原料塩ビモノマー(VCM)の供給を、それぞれ担うことになります。
工場はカラチ東方約60?qのポート・カシム工業団地内で、三井東圧化学(株)(現:三井化学(株))の技術により年産10万トンのPVCプラントを建設します。本年12月に着工し、商業生産開始は99年12月を予定しています。原料VCMは当面輸入で対応することになりますが、将来は上流への展開を視野に入れており、食塩電解による苛性ソーダ・塩素から、塩ビ中間原料である二塩化エチレン(EDC)、塩ビモノマー、塩ビ樹脂までの一貫生産を目指しています。
以 上
《参考》
1.新会社の概要
(1)社名 | ENGRO ASAHI POLYMER & CHEMICALS LTD. |
(2)本社所在地 | パキスタン カラチ市 M.T.カーン通り |
(3)資本金 | 3,700万ドル |
(4)従業員数 | 約140名 |
2.エングロ・ケミカル社の概要
(1)社名 | ENGRO CHEMICAL PAKISTAN LTD. |
(2)本社所在地 | パキスタン カラチ市 M.T.カーン通り |
(3)社長 | ザッファール・A・カーン(Zaffar A. Khan) |
(4)資本金 | 876百万ルピー(約26億円) |
(5)営業品目 | 尿素肥料 |
(6)売上高 | 7,168百万ルピー(約210億円、96年) |
(7)従業員数 | 約650名 |