クリエイティブな思考を共に学ぶAGCの社内コミュニティであるUNOU JUKUでは、その土地の素材を使ってその土地でしか得られない、価値あるガラスをつくる「素材のテロワールプロジェクト」を行っています。

素材のテロワールプロジェクト第2弾※となる今回は、富山を舞台に神通川の砂を主成分としたガラスの制作に取り組みました。クリエイティブパートナーにアーティストの井村一登氏を迎え、2022年3月18日に開業したホテルヴィスキオ富山のアートワークを協創しました。AGCは砂からガラスをつくる技術および新規開発素材の光散乱ガラスを提供しています。

開催情報

会期|2022年3月18日~常設
会場|JR西日本ホテルズ ホテルヴィスキオ富山
〒930-0001 富山県富山市明輪町1番231号
クリエイター|井村一登
1990年京都市生まれ。2017年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。ハーフミラー、球体鏡、LED などを用いて視覚や認識にかかわる光学的作品を手がける。近年は、鏡の歴史とルッキズムに関心を寄せ、鏡の素材・技法を再構成し「自分が映らない」鏡を制作している。主な展覧会に2021年「井村一登 展 mirrorrim」 (日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリー/2021年)、「Sense Island -感覚の島- 暗闇の美術島 2021」(猿島)、「マツモト建築芸術祭」(まつもと市民芸術館、松本市/2022年)
制作協力|村山耕二(海馬glass works +地質ガラス研究所)、地村洋平(東京藝術大学)
コミュニティ|UNOU JUKU
クリエイティブな情報交換で右脳を活性化し、思考をアップデートするAGCの社内コミュニティーです。価値観が多様化しVUCAと言われる混沌とした時代の今、正解のない課題を解くには右脳すなわちクリエイティブな視点が重要性を増しています。そこで、UNOU JUKUではクリエイターとの対話やものづくりを通じて多様な価値観に触れ、モノの価値について改めて考える機会を社内外に提供しています。
プロジェクト|-土地の記憶を素材に込める- 素材のテロワールプロジェクト
ガラスの起源になぞらえ、その土地の素材を用いてその土地でしかできないガラスをつくりながら、素材の新たな価値を探求するプロジェクトです。風土、歴史、文化、食、人などの土地にまつわる記憶を素材を通じて想起させる試みを行っています。本活動は日本国内にとどまらず、世界各国に拡張を続けています。
土地の記憶|神通川
その源を岐阜県高山市の川上岳に発し、岐阜県内では宮川と呼ばれ、川上川、大八賀川、小鳥川等を合わせて北流し、岐阜、富山県境で高原川を合わせ、富山県に入り神通川と名称を改め、神通峡を流下し、平野部に出て、井田川、熊野川を合わせて富山湾に注いでいます。流域上流部、飛騨高原北部一帯には、日本列島の基盤を形成していると言われる飛騨変成岩帯があり、この周辺には、古生代、中生代の堆積岩、火成岩が分布します。今回、砂を採取した流域下流部には、中新世、更新世、完新世の層が分布しています。太古の昔、神々が飛騨の船津から乗船し、越中の笹津に着船されたことから神通川と呼ばれたという説があります。
作品|miroir(ミロワール)
展示会場であるホテルヴィスキオ富山からほど近い神通川下流部から採取した砂を主原料としてガラス化を行いました。神通川の砂は鉄分が豊富であり、作られたガラスは奥深い独特な黄金色を呈しました。得られたガラスカレットを石膏型に入れて溶解・成形した後、井村一登氏が加工およびミラーコーティングを行うことで作品を得ました。
作品|momentite(モメンタイト)
本展示に用いた新規開発素材の光散乱ガラスは、AGC特有の素材制御技術によりガラスの中に屈折率の異なるナノオーダーの粒子を均一に分散させることで作られます。神通川の砂を加えることで特有の青緑がかった半透明なガラスとなり、光を照射することで黄色みを帯びます。井村一登氏の加工とミラーコートにより光が複雑に反射・散乱され、独特な表情を生み出しています。
※第1弾はANA meets ART “COM”にて鳥取を舞台に鳥取砂丘、荒金鉱山、上地鉱山のガラスを制作しました。

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