独自の素材・ソリューションで、いつもどこかで世界中の人々の暮らしを支えるAGC。AGCが展開する多様な事業領域について紹介します。
また、AGCは近年「両利きの経営」と呼ばれる事業戦略を掲げ、大きく組織を変革しイノベーションを起こし続けています。なぜ「両利きの経営」が必要なのか、そして、それを実践してきた取り組みについて紹介していきます。
6つの事業領域
AGCグループは「建築ガラス」「オートモーティブ」「電子」「化学品」「ライフサイエンス」「セラミックス・その他」という6つの事業領域において、110年を超える歴史の中で培った世界トップレベルの多様な技術を基盤に、建築や自動車、ディスプレイ、電子業界など幅広い市場に向けて、新たな価値を創造すべく、挑戦を続けています。
事業戦略
「両利きの経営」とは?
AGCは「両利きの経営」を軸にした戦略を推進しています。「両利きの経営」とは、企業が中長期的な成長を目指し、組織を進化させていくために、「既存事業の深化」と「新規事業の探索」を同時に追求していく必要があるという考え方です。
既存事業の「深化」を通じて収益基盤をより安定化・効率化させ、新規事業の「探索」へ投資を強化することで一層の収益拡大を図ることを可能にします。
AGCでは、建築ガラスやオートモーティブ、ディスプレイ、エッセンシャルケミカルズ、セラミックスをコア事業(既存事業)、エレクトロニクス、モビリティ、ライフサイエンス、パフォーマンスケミカルズを戦略事業(新規事業)に位置付けています。
その背景にはブラウン管テレビから薄型の液晶テレビへの買い換えが進み、それに伴い液晶ディスプレイ用のガラスの需要が急増。その後、置き換わりが一巡し需要の成長率が鈍化したことや、他社の参入によって予想よりも価格下落スピードが早まり、収益減につながってしまったのです。
当時は、ディスプレイ用ガラスが収益の大半を占めており、それに引きずられる形でAGC全体の収益がどんどん下がってしまうという結果になりました。
この経験から、一つの事業に頼るのではなく、ほかの事業もしっかり育てていくという方針を取るようになり、「両利きの経営」につながっていきました。
この「両利きの経営」の実践を通じて、AGCは業績を回復し、独自の変化と躍進を続け、世の中に貢献しています。
需要の成長率鈍化と競合企業の参入で、液晶ディスプレイ用ガラスの収益が減少
その後、「両利きの経営」で業績を回復
「両利きの経営」を
実現するための取り組み
「両利きの経営」に必要な「深化」と「探索」はトレードオフの関係にあるので、新規事業をやる人たちと既存事業をやる人たちの間で対立構造が生まれてしまうこともあります。「両利きの経営」を実現するためには、中長期的なビジョンの策定や、組織を大きく変える必要がありました。また、全社で取り組むためのカルチャーづくりも必要になったのです。
新規事業を探索していくために、自分たちの事業の目的を再定義し、中長期的なビジョンを策定することが重要と考え、経営チームはAGCのありたい姿を提示しました。また、全社戦略として、コア事業と戦略事業を両輪として社会に価値を提供していくことを掲げました。
独自の素材・ソリューションの提供を通じて
サステナブルな社会の実現に貢献するとともに
継続的に成長・進化する
エクセレントカンパニーで
ありたい
コア事業と戦略事業を両輪として、最適な事業ポートフォリオへの転換を図り、
継続的に経済的・社会的価値を
創出
「両利きの経営」のもと、事業ポートフォリオの変革を進める中で、戦略事業などの成長事業への投資を強化しました。
「両利きの経営」を実践するにあたり、人財育成や組織活性化を促すために、経営層と従業員のコミュニケーション施策やボトムアップ型の活動など、さまざまな取り組みを実施。従業員エンゲージメントを大きく改善しました。
促すさまざまな取り組みを実施
誰もが自分の考えを率直に発信できる組織づくりが会社の成長につながるという考えのもと、経営層と従業員が自由に意見交換できる対話の機会を設けています。
2025年には、国内外26拠点において111回の対話会を実施し、グループ会社を含むさまざまな立場の従業員と幅広く意見交換を行いました。
2006年からグループ全従業員を対象とした表彰制度であるCEOアワードを実施。会社全体で改善や革新活動に取り組み、その成果をグローバルに表彰する機会を創出するとともに、トップ自らが直接称賛することを大切にしています。本取り組みを通じて、AGCグループの従業員一人ひとりが互いを尊重し、その成果と努力を称賛し合う組織風土の醸成を目指しています。
CNA(Cross-divisional Network Activity)活動は部門や国を超えた人財交流および学び合いの場として、業務時間内に行うことができます。ボトムアップ型で自主的な取り組みとして実施されており、勉強会や見学会などの活動を通して交流。業務の枠を超えたネットワークづくりを可能とし、風通しの良い組織風土を醸成することに役立っています。
こうしたさまざまな施策を
通して、
グループの一体感を醸成、
多様な人財が自律的に動き、
新たなチャレンジが生まれていく
風土がつくられています。
「両利きの経営」とは、スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授と、ハーバード・ビジネススクールのマイケル・タッシュマン教授が1996年に提唱した経営理論です。
AGCは「両利きの経営」の実践企業として研究対象となり、2019年にはスタンフォード大学でケーススタディとしても紹介されました。
既存事業の深化と新規事業の探索という2つの組織能力を持ち、その2つの異なる能力を併存させる組織能力が求められるという点で、「両利きの経営」は非常に難しいとされています。AGCは理論にならう形ではなく実践の中で「両利きの経営」を実現させてきた珍しい企業の一つでもあります。
『両利きの組織をつくる―大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』
加藤雅則、チャールズ・A・オライリー、ウリケ・シェーデ(著)(英治出版)にも掲載
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