AGC Hub

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人々が豊かに暮らし・働ける環境や建物を。地球の未来を快適にする「ZEB」への挑戦。

AGCの成長を支えてきた鹿島工場が、未来に向けての挑戦を試みる

茨城県神栖市には、40年以上の歴史を持つAGC鹿島工場がある。ソーダ製品や有機化学製品の製造から始まり、世界最大規模の建築用板ガラス製造設備(1981年)、フッ素系ファインケミカル(1996年)や高機能ガラス(1998年)など、時代のニーズに応え、成長を遂げてきた場所だ。この拠点が今、新たに生まれ変わろうとしている。

AGC拠点の中で唯一ガラスと化学品の両方を生産するAGC鹿島工場は、2010年から、安全・環境・保安防災のマネジメントを一体化した統合マネジメントシステムを運用してきたのも特徴のひとつ。エネルギー多消費事業所(第1種エネルギー管理指定工場)として、エネルギー原単位(例:製品1トンをつくるに当たり必要なエネルギー量)を改善してきた。

そして今回、本事務所棟の建て替えを機に、新たな省エネに取り組むことになる。その試みこそが、AGC製品を用いて省エネ・創エネを実現する、環境に優しい事務棟の建設だ。

理想的な未来は、エネルギーがいらず健康的に長く快適に働けること

取り組みの一環で、AGCは一般社団法人環境共創イニシアチブ主催の「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」に応募し、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(略称:ZEB/ゼブ)としての評価を得た。省エネルギーに加え、創エネルギーも目指すZEBの取り組み。なぜ今、ZEBが必要とされているのか? その重要性について、早稲田大学創造理工学部建築学科教授で、日本におけるZEBの第一人者である田辺新一氏に話を伺った。

「そもそもZEBは、地球温暖化問題を背景に、2000年代半ば頃に欧米で注目を集め、日本においては2009年に開催された経済産業省・資源エネルギー庁の研究会により認知されるようになりました。2015年末のCOP21(第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」が採択されています。この枠組みを受けて、日本は2030年までに温暖化ガスの排出を26%減(2013年度比)達成を約束しているのですが、その半分ぐらいは住宅・建築分野で解決しなければいけないのです。そのようなことから、省エネルギーと創エネルギーで実現するZEBは、非常に重要な役割を果たしていくことになります。

早稲田大学教授の田辺氏
日本でもZEBの認知度・導入事例は増加中という。田辺氏の拠点である早稲田大学の早稲田アリーナもZEB Ready仕様とのこと。

一方で、ZEBで働く人々へも良い影響をもたらしてくれます。実はこの部分も、ZEBを導入するもうひとつのベネフィットだと言えます。2030年には、日本の労働人口は1300万人も減ってしまいます。その状況下で、例えば残業を0にすると、22.7%も労働時間が削られてしまう。今のGDP維持するためには、1.5倍の作業効率を上げる必要が出てきます。これは、とても大変なことです。ですから、実現性を考えた場合、限られた労働者数の中で、生産性を上げることが大切になってきます。生産性を上げるためには、職場環境が快適で働く人々が健康であることが重要。つまり、理想的な未来の職場環境というのは、エネルギーをほとんど使わず、みなさんが健康的に長く快適に働けることなのです。」

省エネルギーと快適な職場環境

「例えば、建物を作る際に断熱だけのことを考えたら、ガラス窓や扉を配置するより壁にしてしまった方が低コストでエネルギー消費を抑えられます。しかし、季節のいいときには外の風を取り入れたい。最近は窓から見える景観も重要視されていて、室内から外の自然が見えることが職場環境にも良い影響を与えることが分かっています。特に都市環境においては、やはり緑の価値というのは大きいのです。

それを可能にするのは、やはりガラス窓のような透明性がある素材です。AGCさんのような製造企業は、省エネルギー・創エネルギー効果がある製品を提供していく努力も必要ですが、同時にその製品を使った建築物で働いている人達にとっての環境性・社会性・快適性を向上させていくことも、もう1つの役割だと考えています。業界のリーディングカンパニーであるAGCさんには、そのような部分も率先して主導していただきたいと思っています」。

ZEBの日本における3つの定義

建物のエネルギー消費量を0にするには、省エネルギーと創エネルギーの両方を大幅に行うことが必要になってくる。そのような状況を考慮し、環境省ではゼロエネルギーの達成状況に応じて3段階のZEBシリーズを定義している。

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1段階目は、ZEB Ready「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ(ゼブ レディ)」。 省エネで基準一次エネルギー消費量(※注1)から50%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物を指す。

2段階目は、Nearly ZEB「ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ニアリー ゼブ)」で、 省エネ(50%以上)+創エネで75%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物のこと。

そして3段階目は、ZEB「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ)」省エネ(50%以上)+創エネで100%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物だ。

AGC鹿島工場の本事務所棟は、最高の『ZEB』ランク評価を得ている。

※上記は資源エネルギー庁ZEBロードマップ委員会の資料より引用
※ 当社は本事務所棟の建設にあたり、「ZEB 実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業」の補助金(環境省)の採択を受けました。
※注1:建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に基づくエネルギー消費性能基準

目には見えない数多くの場所に、働きやすい環境への配慮を

田辺氏が語ったように、2030年に向けた日本の温室効果ガス削減目標の達成に向けて、建築物のZEB化が急務となっている状況だ。そのような環境変化を見越して、いち早く着手したのがAGC鹿島工場の本事務所棟である。

地上2階建て、延床面積は1435平方メートルのこの建物。太陽光発電パネルを屋上に設置している他、蓄電池、冷暖房を効率的に行う空調機、室内の暖かい・涼しい空気を再利用できる全熱交換器、適切な温熱環境を確保しながらエネルギーの効率化を図るクールビズ空調システム、天井自体を冷やす・温めることで快適環境を提供できる全空気式放射空調、温度と湿度を調整するデシカント外気処理、低消費電力化が見込めるLED照明など、数多くのシステムが導入されている。まさに、目に見えない高い技術と環境が、従業員に提供されていく仕組みだ。

AGC鹿島工場の本事務所棟
本事務所棟の正面側には、発電効率を維持しながらシースルーを実現するサンジュール® SUDAREを採用。
サンジュールSUDARE
太陽電池モジュールを通しても景観を確保できる工夫が施されている。

AGCの省エネ・創エネガラス製品が環境を労わる

もちろん、省エネルギー・創エネルギーを実現するため、AGCの製品も活躍している。遮熱・断熱効果の高いLow-E複層ガラス「サンバランス®」とウレタンフォーム断熱材の原料「エクセノール」は、省エネルギーの実現に貢献。また創エネルギー製品として、窓にはガラス一体型太陽電池モジュール「サンジュール® SUDARE」を使用。太陽光発電を通じて開口部でもエネルギー創出ができるのが特質すべき点だ。

またこれらの製品はエネルギー削減だけでなく、職場環境の改善にも貢献している。夏は涼しく、冬は暖かい室内を実現する窓ガラス。創エネの太陽電池モジュールはガラスにすだれ状に配置されており、太陽光発電をしながらも外の景観を妨げず、快適性を高めている。

ベルギーのAGCガラス・ヨーロッパ本社ビルもNearly ZEB化を実現

世界各国でZEBへの関心が高まる中、ベルギーのルーヴァン=ラ=ヌーヴにあるAGCガラス・ヨーロッパ本社の新社屋は、ひと足早く省エネルギー・創エネルギーへの配慮、つまりZEB化を実現している。Nearly ZEBの施設内には太陽光パネルが設置されており、建物内の冷暖房や照明の使用電力のほとんどを太陽光発電でカバーしているという。

そしてここでも、自然光を最大限に取り入れつつ、日光の暑さや眩しさから居住者を守ることができる唯一の素材・ガラスが大活躍している。延べ面積13,000m²のガラスを使用し、環境面はもちろん働く人々の快適さにも配慮。エネルギー消費量をほぼゼロに抑えるための設計建築を通じて、ガラスが担う重要な役割を証明した。デザイン、断熱・遮熱性能、 持続可能性など、AGCグループのソリューションが凝縮された、AGCのショールーム的存在といえる。

AGCガラス・ヨーロッパ本社の新社屋 AGCガラス・ヨーロッパ本社の新社屋
断熱効果の高い複層ガラスの外側に、スクリーンプリントを施したガラスルーバー(羽板)を使用して快適性を実現。

すべての人々が 快適に働き・生活できる建物であるために

地球環境が深刻化する中で、その解決策として注目されているZEB。近年では、世界各国でESG投資への関心も高まり、ZEBもまた環境対策と投資など様々な面で価値が評価されつつある。そのような持続的な地球環境保全の試みとして、これから更にその重要性が深まっていくことは間違いない。

そのような状況で、自らの技術と志を注入しZEB評価を取得したAGC鹿島工場の本事務所棟。AGCグループは、今後も「安心・安全・快適」な高品質の製品やサービスを開発提供しながら、人々が健康に働ける環境や豊かに生活できる日常のため、地球にやさしい建物づくりに貢献することを目指していく。

働く人々の様子 働く人々の様子
サンジュール サンジュール