AGC Research Report 71(2021)

光学シミュレーションを用いた視認性評価法の開発

Study of visibility evaluation using optical simulation

小林光吉*
Mitsuyoshi Kobayashi

*AGC株式会社 先端基盤技術研究所(mitsuyoshi.kobayashi@agc.com)

 透過性のある素材は、微粒子や水蒸気など表面の付着物によって、その透過像に影響が及ぶ場合がある。透過像の質が求められる商品の機能性を評価するためには、素材単体だけでなく付着物を含む環境で評価を行う事が重要である。評価対象の中でも視覚に関する評価は大掛かりな実験環境が必要である事が多いため、天候や時間などの評価条件を変える事が容易でないという問題がある。本論文では、光学シミュレーションと人の目の視感度特性を用いた解析手法により、視認性を定量的に評価する方法を検討した。シミュレーション結果と感性評価アンケートの解析を通じて、視認性評価値と感性評価値に高い相関がある事が分かった。加えて、両者の相関係数より、シミュレーション結果から感性評価値を予測できる事が示唆された

 Surface deposits such as fine particles and water vapor can have an impact on the transmitted image of a transparent material. To evaluate the functionality of a product that requires the quality of a transmitted image, the material itself and the environment, including deposits, must be evaluated. However, it is difficult to change the evaluation situations such as weather and time because visual evaluation frequently necessitates a large-scale experimental setting. This study demonstrates a method for quantitatively evaluating visibility using optical simulations and an analysis method based on the visual sensitivity characteristics of the human eye. We found a strong correlation between the visibility evaluation value and the sensory evaluation value after analyzing the simulation results and the sensory evaluation questionnaire. Furthermore, the correlation coefficient between the two evaluation values suggested that the sensory evaluation value could be predicted based on the simulation results.

1. 緒言

 ガラスは可視領域の透過性、耐候性などの物理特性から、建築や車両など多様な場面で使用されている。例えば自動車においてはフロントガラスなどで車外の情報の取得のためにも使用されている他、近年は車載ディスプレイを保護するカバーガラスとして活躍する場面が増えてきている。これらの様にガラスを介した透過像が重要となる場面において、ガラス自体は透明であるものの、大気中の微粒子や水蒸気などがガラスに付着する事で透過性が悪化し、視認性が悪くなる状況が存在する。例えば、雨滴が自動車のフロントガラスに付着した場合、視認性における空間解像度が低下し、運転者の判断に影響を及ぼす事が報告されている(1)。したがって、例えば自動車のフロントガラスなど透明な素材の視認性を評価する際には、ガラス単体だけでなく付着物など周辺環境も含めた評価が重要である。しかしながら、この様な視覚に関する評価は大掛かりな実験環境が必要となり、天候や時間など様々な条件を変えて評価する事が容易でないという問題がある。

 本稿では人の視認性を評価対象とし、光学シミュレーションによる視認性の定量化手法について述べる。また、得られた視認性評価値と、感性評価の結果を比較し、シミュレーション結果からの感性評価結果予測の可能性について考察した。

2. 人の視認性の定量評価

2.1. 本研究の背景と目的

 付着物も含めた視認性評価においては、その評価用画像を得るために大きなリソースを要する。例えば自動車のフロントガラスを対象とした評価において、降雨状態を評価する場合には大掛かりな実験設備が必要となるか、実際に降雨を待つ場合には自由な実験計画を立てる事が難しくなる。もしくは、評価対象がビル向けの建築用ガラスの場合、ビルを試験室内に設置する事は困難であり、同様に天候や時間に影響を受ける状態で評価をせざるを得ない。

 この様な問題を解決する方法として、三次元モデルを用いたバーチャル空間による仮想評価が挙げられる。近年、半導体の微細化技術の進展により、コンピュータグラフィックスを用いたフォトリアリスティックな映像を生成できるようになってきた。この豊富な計算能力を使用し、例えば撥水ガラス上で流れる雨滴モデル形状などを、リアルタイムに表現するといった試みも行われている(2)。仮想環境を用いる事で、時間や環境など評価に関わる様々な要因をフレキシブルに変えて評価する事が可能となる。

 しかし、一般的なコンピュータグラフィックスソフトにおいては、計算コストの削減を目的として光学的な近似モデルが使用されるため、物理的に正しくない結果が得られる事がある。また、一般的なコンピュータグラフィックスにおいて色はRGBの3色で計算が行われるため、特にガラスや水滴など光の屈折が生じる透明な素材の計算結果が実物と乖離しやすいという問題も含んでいる。

 この様な計算精度に起因する問題を解決するためには、光学シミュレーションを用いた計算が必要である。高精度な光学シミュレーションを用いる事により、例えば評価対象の光学特性などが事前に予想できる場合、実際の製品の試作前に視認性等の仮想評価が可能となる。本研究では各種評価用データの作成にOcean(3)を使用する。OceanはAGCの関連会社であるÉclat Digital Rechercheが開発する光学シミュレーションソフトウェアであり、フルスペクトルレンダリングに対応している。このため、紫外領域から赤外領域まで幅広い波長帯にわたって光学シミュレーションを行う事が可能である。加えて、各素材の屈折率やBidirectional Reflectance Distribution Function(BRDF)といった光学特性、光源のスペクトル強度などを含めたシミュレーションが可能なため、Fig. 1に示した光学素子や自動車外装の様に、反射や屈折、散乱などが関わる複雑な光学現象に対して高精度なシミュレーション結果を得られる点が特徴である。さらに、Oceanではシミュレーション結果を様々な形式で出力可能であり、本研究で用いる輝度画像の出力にも対応している。

Fig. 1 Simulation results by Ocean;(a)Prism,(b)Car exterior

 本研究では、フロントガラスに付着した雨滴を想定し、雨滴量が増えた場合の視認性への影響を定量評価する事が目的である。このため、まず雨滴の3Dモデルを作成し、Oceanのシミュレーション結果を用いて後述する視認性評価指標値と降雨量の関係について検証した。

2.2. 周波数特性を考慮した人の目の視感度モデル

 人の目の視認性に関するモデルとして、本研究ではCampbellらによって提唱されている多重チャンネルモデルを採用した(7)。これは、視覚系において、特定の空間周波数帯に感度を持つバンドパスフィルタに似た機構が存在し、それらの出力値にある重み付けを行う事で、最終的な視覚刺激に対する知覚が決定されるというモデルである。この多重チャンネルモデルをベースとして、輝度の空間周波数に対する人の目のコントランスト感度を実験的に求めた結果が報告されている(8)。人が視認している対象物の輝度を空間周波数で解析し、目のコントラスト感度と組み合わせる事で、視認性の定量評価値を得る事が可能である。実際に、本手法を用いてフロントガラスに人工雨を降雨させ、降水量が増えるほど視認性評価指標が低下し、視認性アンケートの結果と一致する事が報告されている(9)

 これらの先行研究は、対象となる環境に沿った実験計画がなされ、また多くの人間の感性評価を通じて、甚大な労力を要して見出された貴重な知見である。この知見を活用し、我々のシミュレーション技術により同様の結果を再現できた暁には、実験室内という特定環境だけでなく、例えば実際の路上を想定した場合においても、降雨量など様々な条件下での視認性をより容易に評価できると期待される。

2.3. 雨滴シミュレーションモデル

 空間内における雨滴の大きさと数量分布には様々なモデルが存在するが、今回は気象解析などで一般的に使用されるマーシャル・パルマー分布を採用した(4)。雨滴の直径をD(mm)、降水量をR(mm/h)、D における雨滴密度関数の微分値をND(m-3・mm-1)、直径サイズが最も小さい(D=0)時の雨滴密度関数の微分値をN0(m-3・mm-1)とすると、マーシャル・パルマー分布より雨滴密度関数は式(1)、式(2)を用いて表される。なお、N0はマーシャル・パルマー分布導出時に実験的に求められた値であり、本研究ではN0=8400とした。また、Λは粒径による雨滴数の変化量を表す。

 マーシャル・パルマー分布はある瞬間の空間中に存在する雨滴の大きさと数を表しているが、今回必要なモデルは地表面の単位面積中に降り注ぐ雨滴の粒径分布である。そこで式(2)の分布に地表面における雨滴の終端速度を掛け合わせることで、単位面積・単位時間中に降り注ぐ雨滴の分布数を算出した。フロントガラスを模擬したガラス板の鉛直方向からの傾き角度を30°、ワイパー周期を0.43Hzとする場合、ワイパーが拭き取る直前のガラス面50 cm角上に存在する雨滴の粒径分布をFig. 2に示す。雨滴は粒子サイズが小さい程、地表面における終端速度が小さくなるため、単位面積当たりに降着する粒子数はある粒子サイズでピークを示している。降水量が増えるほど雨滴の総数が増加しており、透過像の歪みへの影響が大きいmmオーダーの雨滴の絶対数が増加している。

Fig. 2 Particle size distribution of raindrops falling on the glass plate for each rainfall.

 Fig. 2で表される粒径分布を使用し、厚さ1mmのガラス板上に雨滴モデルを作成した。各雨滴の位置はランダムであるが、雨滴同士はオーバーラップしない位置に配置した。このため、近接する雨滴同士の合体などの影響は本モデルにおいては考慮されていない。また、雨滴の形状も真球で近似できるとし、ガラス面との接触角により25°、60°、90°の3タイプを作成した。このように作成したモデルに対し水の屈折率(5)、ガラスの屈折率(6)をOceanで付与し、雨滴・ガラス板の周辺環境を表現するHigh Dynamic Range Image(HDRI)と共にシミュレーションした結果例をFig. 3に示す。降水量が多いほど雨滴の数、粒径が大きい雨滴が共に多く存在し、透過像への影響が大きい事が示された。

Fig. 3 Simulation images of raindrops on a glass plate;(a)17 mm/h, (b)30 mm/h, (c)55 mm/h

2.4. ゼブラパターンシミュレーション方法

 雨滴付きのガラス板における透過像の歪みを評価するため、本研究ではゼブラパターンを採用した。ゼブラパターンはフロントガラスの評価に一般的に使用される白黒かつ一定の周期を持つ縞模様である。シミュレーションモデルの構成をFig. 4に示す。カメラとガラス板中心の距離は85 cmとし、カメラとゼブラパターン間の距離を300 cmとした。シミュレーションは北山ら(9)の実験方法を参考に下記の条件で実施した。

  • 雨量:17 mm/h, 30 mm/h, 55 mm/h
  • ガラス接触角:90°, 60°, 30°
  • カメラ解像度:1920 x 1080 pixel
  • シミュレーション内水平面照度:300 lx
  • ゼブラパターン平均輝度:45 cd/m2
Fig. 4 Simulation model for visibility evaluation using a black-and-white periodic zebra pattern.

 Oceanによるシミュレーションでは輝度画像を計算し、その輝度値をフーリエ変換する事で周波数成分ごとの強度を算出した。フーリエ変換の範囲イメージをFig. 5に示す。フーリエ変換は画像水平方向に対して実施し、64 pixel分の輝度値を用いて算出した。Fig.4に示される様に、雨滴は画像中で局所的な変化として存在するため、解析の場所依存性を低減するため複数個所での算出結果を平均した周波数成分の強度を算出した。具体的には、64 pixel分フーリエ変換した位置から32 pixelずらして新たな計算範囲とし、これを画像水平方向・垂直方向にずらしながら100点分の周波数成分を平均化した結果を使用した。本解析は光軸を中心とした範囲で実施し、この様にして得られた各周波数成分の強度を、中村ら(8)によって実験的に導出された45 cd/m2のコントラスト感度関数で割った値を視認性評価値と定義した。

Fig. 5 Frequency analysis method for luminance simulation images.

2.5. シミュレーション結果

 各周波数の視認性評価結果をFig. 6に示す。特にゼブラパターンの空間周波数2.7 cycle/degree近傍の評価値で視認性評価値が大きく変化している様子が示されている。これは雨滴によるランダム性が加わった事で他の周波数成分が増えたため、元々のゼブラパターンの空間周波数におけるコントラスト強度が相対的に小さくなった事に加え、45 cd/m2のコントラスト感度がこの空間周波数付近にピークを持つため、コントラスト強度の変化による影響が相対的に大きく出やすいためと考えられる。

Fig. 6 Visibility evaluation result of luminance image at each frequency.

 変化の大きい2.7 cycle/degreeの評価値を線形補間により算出した結果をFig. 7に示す。この結果から、降水量が大きいほど、またガラスの接触角が小さいほど視認性評価値が低下する傾向にある。降水量が増えるほど雨滴数が増えるため、ガラス越しのゼブラパターン透過像が歪むことで、視認性評価値が低下する事が定量的に示されている。また、接触角が小さいほどガラス面上の液滴はなだらかな傾斜をもち、ガラス面上に広がる面積が増えるため、より像の歪む領域が増え、視認性評価値が低下したと考えられる。

Fig. 7 Visibility evaluation values for the frequency of zebra pattern.(2.7 cycle/degree)

 なお、今回の雨滴モデルでは雨滴が無い状態からワイパーが拭き取るまでの1周期の間にガラス面上に付着する雨滴を想定しており、状況としては雨の降り始めの状態に近い。降雨開始から時間が経過した場合にはワイパーの拭き残しによる残存液体などの影響が生じるため、状況を再現するためには異なる雨滴モデルが必要となる。文献(10)に示される通り、ワイパーの効果として水滴を伸ばして均一な液膜をガラス面上に形成する事が挙げられるが、その様に広がった水膜に雨滴が降り注ぐ事により、雨滴だけの場合よりも広い範囲で透過像の歪みが生じると考えられる。したがって、降雨が始まってから時間が経過した場合には更に視認性評価値が低下していると推測されるが、その様な水膜状態のモデル化については今後の課題である。

3. 感性評価による対比実験

3.1. 感性評価の背景

 前節にてシミュレーション結果を用いて視認性の定量評価指標を算出したが、実際に人の目で見た時の感性評価を表しているかは別途検証する必要がある。そこで実際の路上を想定して作成したシミュレーション画像を被験者に見てもらい、得られた視認性アンケートの回答結果と視認性評価値の比較を行った。本研究の目的は、シミュレーションによって算出された視認性評価値と感性評価結果の相関性を定量的に評価する事である。

3.2. 感性評価実施方法

 感性評価は暗室及びその内部に配置されたディスプレイを用いて実施された。ディスプレイでは光学シミュレーションにより作成したFig. 8の雨滴画像を平均輝度45 cd/m2、かつガラス板中央の水平方向サイズがシミュレーションモデルと同じ50 cmとなるようサイズを調整して表示した。

Fig. 8 Raindrop simulation images used in the questionnaire;(a)17 mm/h,(b)55 mm/h

 表示する画像として、接触角90°の雨滴モデルを用いて17 mm/h、30 mm/h、50 mm/hの各画像を作成した。さらに雨滴の影響がより大きい状態で評価するため、上記雨滴モデルの各雨滴径を2倍にした雨滴モデルを作成し、雨滴が無い状態の画像も含めて計7枚の画像で評価を行った。

 暗室には1名ずつ、計10名の被験者に入ってもらい、明るさに目を慣らすため入室後30秒以上経過したあと質問を開始した。被験者は85 cm離れたディスプレイに映された画像から道路の見やすさ・見にくさを評価した。今回の視認性アンケート評価では、感性評価において一般的に使用されるSemantic Differential(SD)法(11)を用いて数値化した。SD法の評価尺度は一般的に5段階もしくは7段階が使用される事例が多く、例えば機械設計を目的とした感性評価では7段階尺度を用いて10人以上の被験者で特徴を抽出できる事が報告されている(12)。今回は道路の見やすさ・見にくさを、自動車のワイパーをかける・かけないという軸で7段階評価してもらい、結果を統計的に評価した。

 視認性評価指標の算出においては、可視光画像と同じ設定でシミュレーションしたFig. 9の輝度画像を使用した。評価に先立ち、まずゼブラパターン評価時と同じく7枚の画像に対して周波数毎に視認性評価値を算出した。このうち雨滴無しの状態を基準状態とし、各雨滴画像において視認性評価値の基準状態からの絶対値を算出し、全空間周波数にわたる合計値を計算した。このように雨滴無しの画像との差分を取る事により、雨滴の存在による視認性評価値への影響度が定量化できる。以降では、本指標値を視認性評価差分値と呼称する。

Fig. 9 Luminance simulation images for calculating visibility evaluation value;(a)17 mm/h (b) 55 mm/h

3.3. 評価結果及び考察

 アンケート及び視認性評価差分値の評価結果をFig. 10に示す。なお、アンケート結果のうち「ワイパーをかけない」を評価値1、「ワイパーをかける」を評価値0と正規化してプロットした。Fig. 10に示される通り、降雨量に対してアンケート結果及び視認性評価差分値は相関があり、シミュレーション画像を用いて人の目で見た時の感性的な感覚を定量的に評価可能である事が示された。さらに、雨滴サイズを2倍にした場合には透過像の歪みが大きくなるため、降雨量55 mm/hの画像では被験者全員がワイパーをかけると判定し視認性評価差分値においても他の画像より特に大きな値の変化が示された。この特徴より、視認性評価差分値の変化量を比較する事で、感性価値のアンケート結果や、そのばらつき方の予想に活用できる可能性が示唆された。

Fig. 10 Comparison of the questionnaire and analysis results;(a)Wiping rate(b)The sum variations of visibility evaluation values

 そこで、視認性評価差分値とアンケート結果の平均値を表した結果をFig. 11に示す。Fig. 11に表される通り、2つの評価値の間には相関関係があり、相関係数は-0.98と強い相関を示す事が分かった。この結果から、2条件以上で視認性評価差分値とアンケート結果の対応関係を求められれば、補間もしくはフィッティング等を用いてシミュレーションで得られる視認性評価差分値だけでアンケート結果を予測できる可能性が示された。

Fig. 11 Relation between the questionnaire and analysis results.

4. 総括

 人の目の周波数に対する視感度特性を使用し、雨滴モデルを用いてシミュレーション画像の視認性評価を実施した。さらに、シミュレーション画像に対して感性評価を実施し、視認性評価値と感性評価値に高い相関がある事を確認した。相関係数より、2条件以上で視認性評価値と感性評価値の比例関係が分かれば、シミュレーション画像のみから感性評価値を予測できる可能性が示された。

 今回の結果から、シミュレーションを用いて感性的評価の定量化ができる事が分かった。この評価手法により、例えば大掛かりな実験装置や人工的に再現が難しい環境でも仮想的に評価ができる事が期待される。今後は様々な環境を想定して、フロントガラスやディスプレイなど、視覚に関係のある評価対象を中心に本手法による評価が進むと考えている。

 今回は場面が変わらない固定的なシーンを想定して評価を行ったが、現実では重力や風によって流れる雨滴などの時間的な変化や、周辺環境の変化による順応など人の目の生理的な要素も視認性に影響すると考えられる。今後は、この様な時間的、生理的な要素の評価手法への統合が課題となるだろう。

参考文献

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