2019年05月20日研究開発リリース

ミリ波向け超低伝送損失フレキシブルアンテナ設計技術を開発

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:島村琢哉)は、ミリ波*1向け超低伝送損失*2フレキシブルアンテナ設計技術の開発に成功しました。この技術により伝送損失が低いだけでなく、軽量かつ薄くて曲がるアンテナが実現できるため、車等のモビリティに加えて、電子機器・産業機器等様々なモノにミリ波向けアンテナを設置することが可能になります。当社は2020年にインターネット接続デバイス数が500億台に達すると言われているIoT時代の本格到来を見据え、研究開発、マーケティングを進めていきます。

次世代高速通信におけるミリ波帯の高周波アンテナ用基板には、伝送損失が低い材料が求められています。加えてIoT用途に関しては、軽量・省スペース・デザイン性も重要なニーズと考えられます。
AGCのフッ素樹脂Fluon+(フルオンプラス) EA-2000は、耐熱性・耐水性・電気特性など、フッ素樹脂の優れた特性を維持しつつ接着性をプラスした製品です。EA-2000と今回開発したフレキシブルアンテナ設計技術を組み合わせることで、ミリ波帯域に対応する超低伝送損失特性と、軽量・柔軟性の両立を実現しました。

フレキシブルアンテナ フレキシブルアンテナ
フレキシブルアンテナ(透明タイプ) フレキシブルアンテナ(透明タイプ)
AGCグループは、長期経営戦略「2025年のありたい姿」において、モビリティおよびエレクトロニクス事業を戦略事業と位置付けています。なかでも次世代高速通信の実用化を大きな事業機会と捉えており、これまでコネクテッドカー向けオンガラスアンテナや合成石英ガラスアンテナ、既存窓を基地局化できるガラスアンテナの開発、プリント基板用材料フッ素樹脂の生産増強、米国企業のプリント基板材料リジッドCCL*3事業部門の買収などに取り組んできました。今回新たに開発したフレキシブルアンテナ設計技術により、IoT分野における実用化の探索、マーケティングを加速していきます。今後も長年培ったガラス・電子・化学品・セラミックスの技術を複合化させ、次世代高速通信技術の発展に貢献すると共に、積極的に事業を拡大していきます。

注釈

*1 ミリ波:28GHz帯以上の高周波数の電波のこと。高速大容量のデータの送受信が可能。
*2 低伝送損失:通信線路上に流れる電気信号の劣化度合いのこと。
*3 CCL:銅張積層板のこと。(Copper Clad Laminate)

ご参考

■フレキシブルCCL概略図
今回開発したフレキシブルアンテナ設計技術には、アンテナ材料としてフレキシブルCCLを使用しています。概略図は以下の通りです。

◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美
担当:北野
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com