長期的な社会課題認識(マテリアリティ)

    • 重要機会
    • 重要リスク

    2015年のパリ協定合意以降、脱炭素化の流れが加速しており、エネルギー関連政策・法規制の厳格化が想定されるとともに、企業による温室効果ガス排出の実質ゼロ実現への社会的要請が高まっている。

    • 重要機会
    • 重要リスク

    レアアース等の枯渇性資源の利用規制厳格化や都市化の進展に伴う水資源需要増加による、企業の生産活動に対する影響の深刻化が懸念される。また、循環型経済の加速に伴う廃棄物削減・リサイクル促進の社会的要請が高まっている。

    • 重要機会

    新興国の経済成長に伴う住宅・道路・鉄道・公共サービス等の社会インフラの整備が求められる一方、先進国では社会インフラの老朽化への対処も必要となる。また、気候変動に伴う災害激甚化に耐え得るレジリエントなインフラ整備の必要性が増している。

    • 重要機会

    新興国における自動車普及に伴い、交通事故による死亡者数の増加が懸念される一方、高齢者・過疎地居住者等の社会的弱者の移動ニーズへの対応の重要性も増している。加えて、自動運転の普及に伴い、センサー・カメラ等の安全技術確立や車内エンターテインメント充実への期待が高まっている。

    • 重要機会

    新興国における情報通信技術の普及とともに、安定・安価な情報へのアクセス確立が求められている。先進国では5Gなどの次世代高速通信技術の早期普及による遠隔での医療・情報伝達の質的向上への期待が高まっている。

    • 重要機会

    世界全体での非感染性疾患による若年死亡者数は依然として高い水準にあり、医薬品の安定供給等を通じた予防・治療による低減が求められている。また、製薬産業の分業化による産業全体の生産性向上とリスク分散の流れが強まっている。

    • 重要機会

    世界の貧困地域における飢餓や栄養不良の問題は解消されておらず、近年の気候変動に伴う災害・干ばつ等による状況悪化も懸念されている。また、世界の人口増加に対応した食糧の生産性向上が求められている。

    • 重要リスク

    サプライチェーンのグローバル化・複雑化に伴い、サプライヤーや外注先における強制労働・児童労働等の違法雇用問題発生のリスクが高まっている。また、環境規制強化等による操業拠点における規制違反等の発生が懸念される。

    • 重要リスク

    雇用におけるコンプライアンス、労働者の人権尊重の動きや、未熟練者や高齢者の増加に伴う製造拠点の安全対策の必要性が高まっている。

    • 重要リスク

    世界各地における人口増加・都市化の進展による生活圏拡大や周辺の生物多様性維持への関心、新興国での生活水準向上に伴うQOL(生活の質)向上への意識が高まっている。操業拠点周辺の地域住民・行政との良好な関係構築への取り組みの重要性も高まっている。

長期的な社会課題認識(マテリアリティ)の特定プロセス

  • 01

    SDGsマッピング

  • 長期的な社会課題認識を検討する上で、サステナビリティ実現に向けた現在位置を再確認するために、AGCグループの既存製品がどのような社会課題解決に貢献しているか、SDGsの169 のターゲットに基づいて分析しました。

1. 事業領域ごとに、主要な既存製品をピックアップ

2. 製品ごとに、売上規模と成長性により、「事業インパクトスコア」を算出

3. 製品ごとに、貢献できると考えられるSDGsのターゲットに紐付け

4. SDGsのターゲットごとに、紐付けられた全製品の貢献内容を勘案してAGCグループが創出している社会的価値を記述

5. 社会的価値ごとに、紐付けられた全製品の「事業インパクトスコア」を合算

6. 各社会的価値の「事業インパクトスコア」を、課題解決への貢献度合いに基づき補正

7. 補正結果を「社会的インパクトスコア」とし、上位15位までを顕著な社会的価値として特定

上記により、既存製品による現在の社会課題解決への貢献領域を確認

  • 省・創・蓄 エネルギーと気候変動の緩和

  • スマートシティ構築

  • 安心・安全な水資源

  • 安全で快適なモビリティ

  • 健康増進・長寿社会

  • 02

    社会課題トレンド分析

  • 現在の社会課題解決への貢献状況を踏まえつつ、今後のAGCグループにとっての重要リスク・機会を特定するために、社会課題の将来動向を分析しました(分析結果は、「2030年のありたい姿」策定の基礎情報としても活用)。

1. 社会課題のリストアップ
・ SDGsの169 のターゲット
・ サステナビリティ・メガトレンド(サーキュラーエコノミー等)
・ 「グローバルリスク報告書」(世界経済フォーラム)から、 AGCグループにとっての「リスク」
「機会」に関わる事項をリストアップ(計79項目)

2. 「重要リスク」「重要機会」の評価
社会課題視点に基づくステークホルダーとAGCグループにとっての「重要リスク」「重要機会」について評価

社会課題トレンド分析
  • 03

    重要リスク・機会の特定

  • 社会課題トレンド分析結果に基づき、専門家の見解も踏まえ、持続可能な社会実現への貢献とAGCグループの持続的成長の両立を実現する上での重要リスク・機会を特定。

重要リスク・機会の特定

  • 04

    取締役会議論を経て決定

  • サステナビリティ委員会および取締役会での議論を経て決定し、サステナビリティ目標設定のベースとしました。

  • 05

    経営戦略への反映

  • それぞれの重要リスク・機会の具体的な内容と取り組み事例については「AGCサステナビリティデータブック」をご覧ください。