ガラスパレットは、ガラスを輸送する際に使用する荷台で、鉄製のリターナブルタイプが使われています。一般的に、国内で流通しているガラスパレットのうち、毎年約1割が回収不能になっています。^*1このため、パレットの追加製作コストがかかるほか、パレットの所在地を把握できず滞留・散在が発生する一方で、必要な状況・場所で不足するなど、物流業務の非効率化に繋がっています。

ＡＧＣはこれらの課題を解決するため、「パレットIoTシステム」を独自に開発し、2019年に試験導入してその効果を確認した上で、2020年3月2日より日本国内での本格運用を開始しました。

この「パレットIoTシステム」は、アルプスアルパイン株式会社製の物流資材管理用IoTモジュール「物流トラッカー」から送信される情報を地図上に一覧表示し、各パレットの位置情報、移動履歴、滞留情報などを可視化するものです。物流担当者はパレットの位置や動きをリアルタイムで把握することにより、輸送業務を効率化するとともにパレットの滞留・紛失を防止することができます。

ＡＧＣは、今回の「パレットIoTシステム」の導入により
・パレットの紛失を半減し、コストを削減する
・パレットの位置、在庫、滞留情報を輸送ルートや積載などの輸送計画に反映させることで、輸送効率を向上させる
・輸送効率化により、輸送時のCO2排出量を1～5%削減する
ことを目指しています。

今後、「パレットIoTシステム」の対象となる製品を拡充するほか、欧州やアジア地域への導入を進めることにより、2022年までに対象パレットを30,000台に増加することを検討しています。

ＡＧＣグループは、経営方針 AGC plus の下、デジタル技術を活用しビジネスプロセスの変革を行う”スマートＡＧＣ”を推進しています。製造・研究開発・営業・物流等あらゆる業務の更なる効率化とともに、お客様への新たな付加価値の提供を目指していきます。

*1 板硝子協会の発表に基づく　http://www.itakyo.or.jp/upload/ecoglass-s_200127.pdf

今回、ＡＧＣはアルプスアルパイン（株）の物流資材管理用IoTモジュール「物流トラッカー」^*2を日本で初めて採用し、各パレットに搭載。通信技術にLPWA^*3のうち低価格・省電力駆動・長距離伝送を実現したSigfox^*4を採用した同製品は、無充電で10年間稼働可能で、パレットが特定の動きをした際や一定の時間が経過するごとに計測を実施し、その位置情報や稼働状況を位置管理情報システムに送ります。

*2 欧州においてはDHL社向けに昨年時点で25万台の運用実績があります。
*3 Low Power Wide Area：低消費電力広域通信。少量の消費電力で広域の通信が可能なため、電源確保が困難な場所や電池交換を極力少なくする必要があるIoTへの活用に適している。
*4 Sigfox社が提供する通信サービス。IoTに特化した“０G通信”として70カ国以上に展開しており、日本国内では、京セラコミュニケーションシステム（株） が電気通信業者として展開している