2020年07月27日製品リリース

EUV露光用フォトマスクブランクス供給体制を大幅増強

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:島村琢哉)は、グループ会社であるAGCエレクトロニクス(本社:福島県郡山市、社長:佐藤弘昌)において、EUV露光用フォトマスクブランクス(以下、EUVマスクブランクス)の供給体制を大幅に増強することを決定しました。本年10月より建屋拡張を含めた増強工事に着工し、2022年より生産を開始する予定です。

建屋拡張後のAGCエレクトロニクス社(イメージ) 建屋拡張後のAGCエレクトロニクス社(イメージ)
IoTや人工知能(AI)、次世代高速通信(5G)などの本格普及を迎え、半導体チップは計算処理の高速化やデータの大容量化、高集積化を求められています。これに対応するために半導体チップ回路パターンの微細化が必要とされていますが、従来の光リソグラフィ技術*1では限界があり、それに代わる最先端の微細化技術としてEUV*2露光技術が注目されています。

AGCは、2003年にEUV露光技術を用いた半導体生産プロセスで用いられる消耗部材であるフォトマスクブランクスの研究開発に着手。自社で保有するガラス材料技術、ガラス加工技術、コーティング技術などを融合し技術開発を進め、2017年にEUVマスクブランクスの生産を開始しました。これまでも市場のニーズに応じ必要な投資を実施してきましたが、今後の更なる市場の伸長に対応するため、今回供給体制の増強を決定しました。

今後も、AGCは「ガラス材料」から「コーティング」までを一貫して手掛けることができる、世界で唯一のEUVマスクブランクスメーカーとして、市場成長に合わせた量産体制を構築し、2025年には売上高400 億円以上、シェア50%を目指します。

AGCグループは、経営方針 AGC plus の下、エレクトロニクス事業を戦略事業のひとつと位置付けています。今後も大きな需要の伸びが見込まれるEUVマスクブランクス事業に対し積極的な設備投資を実施し、半導体産業の発展に貢献していきます。

*1 光リソグラフィ技術:KrF(フッ化クリプトン)やArF(フッ化アルゴン)光源を用いて、LSI回路パターンをシリコンウェハ等に転写するプロセスのこと。“7nm世代”と呼ばれる微細なパターン形成は理論上難しいとされている。
*2 EUV:波長13.5nm(1nm=10億分の1m)の極端紫外線のこと。

ご参考

■AGCエレクトロニクス社について
社名 AGCエレクトロニクス株式会社
資本金 300百万円
代表 佐藤 弘昌
本社所在地 福島県郡山市
従業員数 約700名(2019年12月末現在)
主な事業内容 ガラスフリット・ペースト、光ピックアップ等のオプトエレクトロニクス製品、及び半導体製造装置用合成石英製品、EUV露光用フォトマスクブランクス
■EUVマスクブランクスについて
EUVマスクブランクスは、低膨張ガラス基板の表面に複数の組成から成る膜を積層したものです。EUVマスクブランクスの表面に半導体チップの回路原版を形成したものがEUVフォトマスクであり、その回路をシリコンウェハ上に転写して半導体チップを形成します。回路の微細化に伴い、EUVマスクブランクスに対する
・非常に小さなサイズの欠陥を限りなくゼロに近づけること
・非常に高い平坦度であること
といった要求水準は、更に高くなっています。
EUVマスクブランクス EUVマスクブランクス
◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美
担当:中西
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com