2020年07月28日経営リリース

Molecular Medicine S.p.A.の株式公開買付完了へ

-遺伝子・細胞治療CDMOに新規参入-

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:島村琢哉)が、現地100%子会社であるAGC Biologics Italy S.p.A.を通じて実施していた、Molecular Medicine S.p.A.(以下MolMed社、本社:イタリア ミラノ市、ミラノ証券取引所上場)の株式公開買付期間が、7月24日(イタリア現地時間)をもって終了しました。

6月1日に開始した公開買付期間中の応募株式は、432,083,197株に達し、これは公開買付対象株式の93.23%に相当します。株式対価の支払いは7月31日を予定しており、直ちにAGCグループの連結子会社となります。またその後、追加買付期間を経て、上場廃止となります。*1
遺伝子・細胞治療は、遺伝子、または遺伝子を導入したヒト細胞等を人体に投与する治療法で、現在注目されている最先端医療のひとつです。この分野の発展はめざましく、現在世界中で進行中の治験数は既に約1000件を超え、CDMO*2市場も高い成長が見込まれています。MolMed社は、自社の創薬を起点に、細胞加工・ベクター*3製造等のプラットフォーム技術を確立しており、大手製薬やバイオテック企業に対して、GMP*4対応の遺伝子・細胞治療薬CDMOサービスを提供しています。

AGC Biologicsは、日本・米国・欧州の世界三極で、動物細胞と微生物を用いたCDMOサービスを提供しています。すでにハイデルベルグ工場(ドイツ)では、遺伝子・細胞治療薬の原料であるプラスミドの製造受託を事業化しており、MolMed社と大きなシナジーを発揮することが見込まれます。さらに、MolMed社の高品質な遺伝子・細胞治療薬CDMOサービスをAGC Biologicsのグローバルネットワークに組み入れることで、より大きな事業成長を見込みます。

MolMed社ミラノ拠点 MolMed社ミラノ拠点
AGCグループは AGC plus のもと、バイオ医薬品CDMO事業を含むライフサイエンス事業を戦略事業のひとつと位置付けており、2025年に1000億円以上の売上げ規模を目指しています。これまで合成医薬品CDMO、動物細胞と微生物を用いたバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資を行い、その事業を拡大させてきました。今回の買収により、成長著しい遺伝子・細胞治療領域にまでCDMO事業の幅を広げグローバルに展開することで、製薬会社、患者様、そして社会に貢献していきます。

*注釈
1)公開買付書面に記載された取得比率・外資企業買収審査に係る条件は満たされ、甚大な事情変更による買取中止条項の適用もないと判断したため、7月31日に支払いを実施し、本件公開買付を完了します。その後、イタリアの法制上、残存する6.77%の株主からの買取期間を設け、上場を廃止することになります。買取期間については、イタリア当局・関係者と協議中です。買取価格は本件公開買付と同じ、株式一株当たり0.518ユーロです。
2) CDMO: 製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行する会社 (Contract Development & Manufacturing Organization)
3)ベクター: 目的の治療用遺伝子を細胞内に運ぶ役割をするもの(vector)
4) GMP: 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準 (Good Manufacturing Practice)

ご参考

■Molecular Medicine S.p.A.概要

設立年 1996年
所在地 イタリア ミラノ
従業員数 約220名
売上高 36.3百万ユーロ (2019年)
事業内容 遺伝子/細胞治療 創薬・CDMO
発行済株式総数 463,450,672株
ホームページ https://www.molmed.com/en/node/1

■AGCグループCDMO事業拠点

■ライフサイエンス事業における本件の位置付け

◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美
担当:北野
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com