2020年12月03日製品リリース

端面発光型のレーザーダイオード向けガラス製パッケージを開発

-お客様の製造工程の簡略化やレーザー製品の長寿命化に貢献-

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:島村琢哉)は、端面発光型レーザーダイオード(LD)チップの封止に最適なガラス製パッケージを開発しました(図1)。本製品は側面が鏡面になっているため、プリズムミラー等の追加部品なくLDチップが出射する光を効率的に外部に取り出すことが可能です。さらに当社が独自開発した気密封止可能な特殊シール材を使用すれば、お客様における製造工程の簡略化に加え、レーザー製品の長寿命化にも寄与します。現在、本製品の試作を受け付けており、また量産に向けた準備を進めています。

レーザーは高出力で広がりが少ない光を出すことが可能なため、情報機器や医療機器、産業用加工機器など幅広い分野で活用されています。レーザー光源は光を特定の方向に発射する光学部品(発光素子)であるLDチップをパッケージに格納し、LDチップの劣化を防ぐために内部を乾燥環境に保った構造になっています。
現行のLDチップの多くは端面から横方向に光が出る“端面発光型”であるため、パッケージは、上面のみを鏡面としLDチップからの光を上方に取り出しています。このため、内部に別途プリズムミラーが必要で低コスト化、小型化が困難(図2の①)、あるいは鏡面の窓を別途製作しシール材でパッケージに接合するため、窓と出射光の直角精度が出しにくく、狙った方向に光を取り出すのが困難(図2の②)という課題があります。

これらの課題を解決するために、AGCは新たにガラス製パッケージを開発しました(図1)。本製品は1面を開口した箱状で以下の特徴を備えており、追加部品や鏡面窓の接合無しにパッケージ内の光を側面から効率良く狙った方向に取り出すことが可能です。
・ LDチップからの光が出射する両側面は鏡面であり光の散乱が少なく、鏡面窓はシール材を使用せず一体化しているため鏡面窓と出射光の直角精度が高く、気密性も良好。
・ 鏡面窓と対向する面も透明であるため、封止後も内封物の状態を確認しやすい。

さらに開口部の枠面に当社で開発した特殊シール材を使用すると、大気下で加熱・加圧するだけでセラミックス基板との封止工程が完了するため、お客様において無酸素環境にするための大掛かりな設備が不要です。またこの特殊シール材は柔らかく異種材間の熱膨張差による応力を緩和するため、冷却工程で接合部にクラックが入り気密が漏れることがありません。このため、レーザーパッケージの長寿命化にも寄与します。
なお、このガラス製パッケージについて特許を出願済みです。

今回開発したガラス製パッケージの拡大写真 今回開発したガラス製パッケージの拡大写真
AGCグループは、経営方針 AGC plus の下、世の中に「安心・安全・快適」を、お客様に「新たな価値・機能」を、プラスする製品づくりに取り組んでいます。長年培ってきた電子部材の複合化技術を活かし、お客様に満足頂ける、新たな価値をプラスした製品をご提供できるよう技術革新を進めていきます。
◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美
担当:中西
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com