2021年06月08日経営リリース

新潟大学とAGC、製造現場の安全管理向上を目指した産学連携活動を開始

―安心安全な工場環境づくりと、効率的・効果的な安全管理マネジメントの実現を目指す―

国立大学法人新潟大学(学長:牛木 辰男、以下新潟大学)とAGC株式会社(本社:東京、社長:平井良典、以下AGC)は、2020年から取り組んでいる安全文化共同研究契約の規模を大幅に拡大し、本年7月より、製造現場における安全管理向上を目指した下記2つの産学連携活動を開始します。

<活動内容>
・2020年4月より開始した、AGCグループの安全管理レベルの向上を目的とした安全文化診断を2020年12月より大幅に規模を拡大し、実行していく。
・共同研究の一環として、2021年7月より、下記2つの産学連携活動を開始。
 ①安全管理を担う高度な専門人材の育成
  -大学院生が参加する課題解決型プロジェクトの実施
 ②学部・大学院における教育への協力
  -社員の講師派遣
新潟大学では「企業の製造現場における事故防止は、個人の努力だけではなく、それが発生しにくい仕組みの確立が不可欠である」との考えから、安全文化診断*1手法及び診断を活用した組織改善の研究を行っています。この研究に着目したAGCは、製造現場の安全実現を目指し、2020年6月に新潟大学 東瀬朗准教授(工学部工学科協創経営プログラム/大学院自然科学研究科材料生産システム専攻社会システム工学コース)と共同研究契約を締結し、自社の安全文化をモニタリングする手段として安全文化診断を採用しました。
本共同研究の範囲は、AGCグループの日本・アジアにおける21拠点、6,000人の従業員を対象として開始し、より広範囲の拠点における安全管理向上に取り組むため、同年12月には56拠点、約30,000人に対象を拡大することを決定しました。また、安全文化診断の多言語化(中国語版(簡体字・繁体字)・韓国語版・タイ語版・インドネシア語版・ベトナム語版など)にAGCが全面的に協力し、アジア各国で展開するAGC拠点での診断実施と改善活動を共同で推進しています。なお新潟大学において、このような組織型共同研究*2は、医学系分野以外では初となります。そして、このような取り組みを進める中、共同研究だけではなく、包括的な産学連携活動へと拡大することに2020年12月に基本合意し、本年7月より上記活動を開始します。
本産学連携活動を通して取り組む内容の詳細は下記の通りです。
①安全管理を担う高度な専門人材の育成(大学院生が参加する課題解決型プロジェクトの実施)
 安全管理を担う人材育成を目指した新たな取り組みとして、新潟大学大学院自然科学研究科に今春新設された、材料生産システム専攻社会システム工学コースの大学院生も本プロジェクトに参画。実社会で起きている課題の解決に取り組むことにより、安全管理の素養を身に着けた高度な人材育成を目指します。同コース「技術経営プロジェクト」(修士研究に相当)の一環としてAGCが社内に学生を受け入れ、AGC社員及び新潟大学の教員・学生が共同で研究に取り組みます。

②学部・大学院における教育への協力(社員の講師派遣)
 AGC社員が講師として、新潟大学工学部・自然科学研究科で開設されている科目(大学院科目「リスクマネジメント特論」など)の学生教育に協力します。大学及び大学院の学生に対して、実務経験及び企業の実例に基づく教育を大学教員と共同して実施することを通じて、大学と産業が深く連携した教育の実現を目指します。
これらの取り組みは、新潟大学大学院自然科学研究科の東瀬朗准教授とAGC環境安全品質本部との協働により展開されます。新潟大学は、新潟大学将来ビジョン2030の産学・地域連携ビジョンにおいて「産学の知を組み合わせたイノベーションの創出」を目指しており、組織的な産学連携の推進により、本研究を通じて大学が生み出す文理を越えた「新たな知」の積極的な社会実装を進め、豊かな未来社会を生み出す産業や社会のイノベーションを創出することに貢献していきます。
AGCグループは、経営方針 AGC plus 2.0 において、世の中に「安心・安全・快適」をプラスすることを目指しています。安全を事業活動の前提に据え、安全文化の向上により、快適な職場、社会への貢献とつなげていく努力を継続していきます。
新潟大学とAGCは、安心安全な工場環境づくりと、効率的・効果的な安全管理マネジメント体制の構築を目指し、今後も様々な連携を進めてまいります。
<注釈> *1 安全文化診断について
石油・化学産業等を中心とした、大規模設備を有する事業所の安全文化を評価・可視化できる診断手法の開発を目指し、2009年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 高野研一教授(現・同研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所顧問)、新潟大学工学部 東瀬朗准教授を中心としたチームで開発された安全文化の診断手法です。安全文化の8軸モデルに基づいて作成された110問で構成されるアンケートを、製造拠点の現場従業員に実施し、その回答結果を業界平均と比較、各製造拠点の強み・弱みを網羅的に把握し、安全文化の改善につなげることを目的とした取り組み。本共同研究では、新潟大学が独立した立場として本アンケートを実施し、回答者の匿名性を守りながら、製造拠点の安全文化の実態を調査します。AGCは、フィードバックされた回答結果をもとに、安全文化を改善する取り組みをしています。日本語のほか、英語版・中国語版(簡体字・繁体字)・韓国語版・タイ語版・インドネシア語版・ベトナム語版などで実施可能です。
*2 組織型共同研究について
新潟大学では、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン(2016年11月:文部科学省・経済産業省)」及び「国立大学法人新潟大学における民間等との共同研究拡充を目的とした中長期行動戦略(2017年12月7日学長裁定)」に基づき「組織」対「組織」の「本格的な共同研究」の拡充に取り組んでいます。新潟大学では「組織」対「組織」の「本格的な共同研究」にとなる研究を「組織型共同研究」と定義し、大学として積極的な支援を行うと同時に、共同研究に関与する教員の人件費及び知的貢献の付加価値相当額を「産学連携強化経費」として計上することで、大学の産学連携活動及び教育研究活動を充実させるための財源として活用します。
◎本件に関するお問い合わせ先:
新潟大学地域創生推進機構(担当:勝見)
E-mail: onestop@adm.niigata-u.ac.jp
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美(担当:中尾)
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com