2021年09月30日その他リリース

AGCが参加する世界省エネルギー等ビジネス推進協議会が策定したZEB普及のための技術仕様書がISOから発行

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)が参加する世界省エネルギー等ビジネス推進協議会が提案したMethodology for achieving non-residential zero-energy buildings (非住宅のゼロエネルギービルを実現するための方法論)が、ISO*1において技術仕様書TS23764として承認され、2021年9月24日に発行されました。この技術仕様書の発行をきっかけとして、今後世界各国においてZEB*2が普及し、地球規模での温室効果ガス削減が進むことが期待されます。

世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(会長:十倉雅和、一般社団法人日本経済団体連合会会長)は、会員企業の有する優れた省エネルギー等の技術や製品を通じ、温室効果ガスの排出量削減に貢献することを目的とし、官民一体となって新興国を中心とした世界各国を対象に省エネ・再エネ技術の普及活動を行っています。

2017年、東南アジアを中心とした各国においてZEBの概念を普及すべく、設計、空調、昇降機、エンジニアリングなどの分野の先端技術を有する日本企業、および経済産業省からの支援参加者を含めた会員で構成されるZEB普及ワーキンググループ(以下「本WG」、主査:AGC)が同協議会内に発足しました。本WGは、非住宅ビルZEB化のための技術やノウハウの普及に努めると共に、各国の関連施策等を策定する上で拠り所となる国際標準の制定に取り組んでいます。
本WGが経済産業省の支援も得ながら議論を重ね、2020年5月にISOに提案し、今回承認・発行された技術仕様書TS23764は、設計から運用・保守の段階まで、ZEB実現の全プロセスにおいて基本的に検討すべき項目を概説しています。なお、策定にあたっては、経済産業省資源エネルギー庁が主導して立ち上げたZEBロードマップ検討委員会の「ZEB実現に向けた段階的なアプローチ」を参考にしています。
AGCグループは、経営方針 AGC plus 2.0 のもと、世の中に「安心・安全・快適」を、お客様に「新たな価値・機能」をプラスする製品づくりに取り組んでいます。今回制定された技術仕様書を土台として、東南アジアを中心とする各国においてZEB普及のための政策・施策立案が促進されることに対応し、より省エネ性能の高いガラス製品を提供することで、温室効果ガス削減とカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

*1 ISO   国際標準化機構(International Organization for Standardization)
*2 ZEB   ゼロエネルギービルディング(Zero Energy Buildings)

             消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物

ISO 技術仕様書(Technical Specification) TS23764について

発行の背景及び目的
世界のエネルギー消費量のうち、建築部門は30%のシェアを占めており、その削減に対する期待度はますます高まっているようです[IEA World Energy Outlook 2020より]。したがって、このセクターからの温室効果ガスの排出量を削減することは、世界的に重要な課題であり、最終的には、建物のエネルギー消費量を削減し、再生可能エネルギーとのバランスをとって、(ネット)ZEBを実現する必要があります。

ZEBを実現するという究極の目標は明確に理解されていますが、その実現は、高額な初期投資などの現実的な障壁によって制限されてきました。しかし、建物のライフサイクルが長いため、よりエネルギー効率の高い建物を設計・建設することは、温室効果ガス削減のための未来の試みではなく、現在の試みであると考えられています。したがって、ZEBへの動きを加速させることが課題となっています。

このような観点から、TS23764は、(ネット)ZEBの実現に向けたステップバイステップのアプローチを提唱しています。その目的は、ZEB化の動きを加速させるため、ZEBの実用的な実現方法を具現化することです。すなわち、本書は実践的なZEBアプローチを提案し、設計から運用・保守の段階まで、ZEB実現の全プロセスにおいて基本的に検討すべき事項を概説しています。
TS23764で示す6つのプロセスにおける指針
1. 計画段階では、ZEB Ready → Nearly ZEB → (ネット)ZEBという3つのステップでZEBを実現するという明確な方針を持ち、(ネット)Zero Energy Buildingという1つのステップだけで実現させる手法にこだわらない。

出典:ISO TS23764  4.2.2図3
図の日本語はAGCによる日本語訳であり、ISO及び一般財団法人日本規格協会は関知するものではありません。

2. 設計段階では、適切なパッシブおよびアクティブな設計戦略を特定し、国内規格や国際規格で認証された適切な材料や機器を可能な限り選択する。
3. 施工時には、選定した材料や機器を図面や仕様書に従い、それらに沿って正しく施工・設置する。
4. 建物が完成した後、設計段階で目標とした一次エネルギーの消費量を実現する。
5. 建物運用開始後、設計時の目標値と実際の運用時の一次エネルギー消費量測定値との間に差異がないか確認する。
6. 可能であればシミュレーション用ソフトを用い、運用開始後定期的に一次エネルギー消費量を算出し確認する。

TS23764の表紙

◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美
担当:中尾
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com