2022年03月29日研究開発リリース

窓ガラスに設置可能なFWA用5Gミリ波透明アンテナを開発

AGC株式会社(以下AGC、本社:東京、社長:平井良典)は、5Gミリ波(28GHz)帯の屋内通信エリア構築に向け、屋内の窓ガラスに設置可能な、固定無線アクセス機器(FWA-CPE)用透明アンテナを開発しました。今後、性能の最適化および信頼性の確認を進め、2024年の実用化を目指します。

5Gミリ波を代表とする高周波数の電波は、大容量のデータを高速で受発信できますが、直進性が高く減衰しやすいため屋内に電波が届きにくく、屋外基地局による建物内の通信エリア化は困難でした。解決策の一つとして、アンテナを内包したFWA-CPEを窓ガラスに直接設置する方法が提案されていますが、景観を損ねるだけでなく、特に寒冷地では製品の発熱によって窓ガラスが割れてしまう「熱割れ」を起こすという課題がありました。
この度AGCは、当社の超低損失ガラス基板と、ALCAN Systems社の液晶方式フェーズドアレイアンテナ*1を組み合わせることで、5Gミリ波向けFWA-CPE用透明アンテナを開発しました。FWA-CPE本体とアンテナ部分を分離し、透明アンテナを窓ガラスに取り付ける設計により、景観を損ねず高い採光性を保ちながら、屋内のWi-Fi無線エリア化を実現することが可能となります。またアンテナ部分の発熱を抑えた設計により、窓ガラスの熱割れリスクを大幅に低減しました。
AGCグループは、中期経営計画 AGC plus-2023 のもと、モビリティおよびエレクトロニクス事業を戦略事業と位置付けています。なかでも5Gの実用化を大きな事業機会と捉えており、今後も次世代高速通信の発展に貢献する製品の開発・提案に取り組んでいきます。

*1 液晶方式フェーズドアレイアンテナ:液晶パネル中の液晶分子の電気特性を変化させることで、電波の方向を制御できるアンテナのこと

<ご参考>

■AGCの5Gソリューションに関して
AGCは、次世代高速通信の屋内外通信エリア化に貢献する様々なソリューションを開発しています。

  屋外から屋内を通信エリア化するソリューション

 


  FWA用5Gミリ波透明アンテナ
  建物の窓ガラス(屋内側)に貼り付けることで、景観を損ねず高い採光性を保ちながら、

  屋内のWi-Fi無線エリア化を実現する開発品。



  WAVETHRU
  電波も反射する特殊な遮熱コーティングがされたLow-Eガラスに対し、既存の

  窓ガラスの断熱性能・外観を維持したまま電波を透過しやすい特殊処理を行う

  技術。

  屋内・屋外の通信エリアを改善するソリューション



  反射板
  屋内、屋外の電波を所望の方向に反射させる技術
  ・予め設計した特定方向に電波を反射させるパッシブ反射板
  ・電気的に任意に反射角度を制御可能なRIS*2
  など、用途に合わせた提案が可能。
  *2 RIS=Reconfigurable Intelligent Surface

  屋内から屋外を通信エリア化するソリューション



  WAVEATTOCH®
  建物の窓ガラス(屋内側)に貼り付けることで、街の景観や建物の外観を損ねること

  なく、屋外を通信エリア化することができる世界初の「窓を基地局化するアンテナ」。

  日本国内の5G Sub6帯全周波数に対応。

 

■ALCAN Systems社概要
社名 ALCAN Systems GmbH
所在地 Gräfenhäuser Straße 85, 64293 Darmstadt
代表者 Onur Hamza Karabey
事業概要 液晶材料を利用した独自のフェーズドアレイアンテナ技術を保有するドイツのスタートアップ企業。既存の液晶パネルプロセスを活用することで高性能かつ低コスト、低消費電力なフラットパネルアンテナを衛星通信向け、5G通信向けに提案している。
URL https://www.alcansystems.com
◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 小川 知香子
担当:北野
TEL: 03-3218-5603
E-mail: info-pr@agc.com