2023年06月29日製品リリース

食塩電解プロセスにおける電力使用量削減に貢献するイオン交換膜FORBLUETM FLEMIONTMの新品種を販売開始

―世界の食塩電解プラントのGHG排出削減に貢献―

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)は、食塩電解プラント向けに製造・販売しているイオン交換膜FORBLUEFLEMIONの新品種を2023年6月より販売開始します。このたび新たに販売開始するFORBLUE FLEMION F-9060は、苛性ソーダなどを生産する食塩電解プラントにおける電解電圧を約40mV低減*1 させることが可能で、消費電力を抑制し、電力コストの低減とGHG排出量の削減に貢献します。

フッ素系イオン交換膜FORBLUE FLEMIONは、食塩水を電気により苛性ソーダと塩素に分解する食塩電解プラントに使用され、苛性ソーダ、塩素、水素など人々の生活を支える様々な化学品の製造において重要な役割を担っています。当社はイオン交換膜を1975年に発売開始し、自社グループのプラントへの導入に加えて、世界50カ国以上に供給しています。

この度新たに販売するFORBLUE FLEMION F-9060は、当社が得意とするポリマー生産技術をもとに開発した、新たなポリマーを用いています。この新ポリマーは、イオン交換容量*2を増やすことで、イオンをより通しやすくした構造となっており、電解電圧の更なる低減に寄与しています。なお、本製品の性能評価は、自社グループの電解プラントにおける商用生産でも実施済みです。

同製品は当社の現行主力品種(F-9010)と比較し、苛性ソーダ生産量1tonあたりの消費電力を約28kWh、GHG排出量を約12㎏、削減することが可能です*3。 生産量約8,000万ton/年*4とされる世界の食塩電解メーカーに広く紹介し、世界規模での電力コストの低減およびGHG排出量の削減に貢献していきます。

AGCグループは、中期経営計画 AGC plus-2023 における主要戦略の一つに「サステナビリティ経営の推進」を定め、素材イノベーションにより社会課題解決に貢献することを掲げています。今後、環境負荷のより低い本製品への置き換えを、当社グループの日本・東南アジアの食塩電解プラントで進めると共に、世界各国の電解プラントに販売していきます。

<注釈>

*1




当社現行主力品種(F-9010)比。

弊社の商用電解槽での長期運転試験結果(運転電流密度 6kA/m2)によるものです。実際の電圧低減効果は食塩電解槽の種類や様々な運転条件によって変動します。本結果はAGC独自の試算結果であり、性能保証を意図した値ではありません。

*2

イオンを運ぶ官能基の量。

*3




消費電力削減量は運転電流密度 6kA/m2、電流効率97%、その他一定の運転条件を前提にAGCで比較試算したものです。GHG排出削減量は環境省が本年度公表している電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)の全国平均434g-CO2/kWhを基にAGCで試算したものです。本計算はAGC独自の試算結果であり、性能保証を意図した値ではありません。

*4

当社推計。

<参考>

FORBLUE(フォアブルー)ブランドは、化学物質の“分離”機能を提供するAGC製品群のファミリーブランドです。

■FORBLUEファミリーの製品ラインアップ

 FORBLUE FLEMION :食塩電解用イオン交換(苛性ソーダ・苛性カリ・塩素製造用)

 FORBLUE SELEMION :汎用イオン交換膜(廃水等の脱塩、有価物の回収および精製用)

 FORBLUE iシリーズ:燃料電池用電解質ポリマー溶液

 FORBLUE Sシリーズ:水電解、レドックスフロー電池、 各種電解及び透析用のイオン交換膜

 FORBLUE sunsep :中空糸膜式調湿器

◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 小川 知香子
担当:中尾
TEL: 03-3218-5603