2024年07月25日製品リリースCSRリリースその他リリース
AGCの水電解用イオン交換膜FORBLUE™ Sシリーズ~ JAXAが有人宇宙滞在に向けて開発を進める酸素製造装置の試験機に採用
AGC株式会社(以下 AGC)のフッ素系イオン交換膜FORBLUE™ Sシリーズは、宇宙航空研究開発機構(以下 JAXA)が研究開発を進める有人宇宙滞在に向けた生命維持システムの一つである酸素製造装置の試験機に採用されました。これまでにJAXAの要素試験*1で高い性能を示しており、今回はその評価結果を受けての採用となります。
この生命維持システムの分野は、国際宇宙探査プログラム「アルテミス計画」*2の下で有人宇宙滞在に向けて研究開発が加速しています。酸素供給が必要な宇宙環境においては、生命維持のため、宇宙飛行士の呼気などから水を再生し、その水を分解して酸素を製造する装置が必要です。宇宙空間で使用する機器には過酷な環境においても耐久性やエネルギー効率などの点で高い性能を発揮することが求められます。今後、JAXAの試験機により、FORBLUE™ Sシリーズがそれらの厳しい要件を満たすことを確認する地上試験が行われます。
この度採用されたフッ素系イオン交換膜FORBLUE™ Sシリーズは、グリーン水素*3製造のための水電解用途として注目されている製品です。AGCグループの強みである分子設計技術・製膜技術により、①電気抵抗が小さく消費電力を抑えることができる世界トップレベルの電圧性能および②水素と酸素の混和を防ぐ高いガスバリア性能を実現しており、安全で長時間の運転が可能となることが評価されています。その特性を活かして宇宙飛行士の生命維持に必須な酸素製造装置での活用が期待されています。また、2026年にAGCは北九州事業所において、FORBLUE™ Sシリーズの量産設備を新設する計画であり、供給安定性が確保される点も評価されました。グリーン水素製造向けの水電解用途においても、運転性能と安全性の両面が求められるため、より過酷な環境である宇宙用途の実績は、お客様に安心してFORBLUE™ Sシリーズをご使用いただくことにつながります。
AGCグループは、中期経営計画 AGC plus-2026 のもと、パフォーマンスケミカルズを戦略事業のひとつと位置付けています。今後も、グリーン水素製造に適した高性能なイオン交換膜の提供を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するとともに、独自の素材・ソリューションの提供により宇宙関連技術の向上にも貢献していきます。
<注釈>
*1 実際の装置に近い小型試験機を作って各部材の性能をひとつひとつ確認するプロセス
*2 NASAが提案している国際宇宙探査プログラム全体をまとめた総称
*3 再生可能エネルギーを用い、製造工程においてもCO2を排出せずにつくられた水素(出典:経産省資源エネルギー庁HP)
■ ご参考
1. 製品について
PEM型水電解をはじめ、多様な用途の電解・電気透析に使用できるフッ素系イオン交換膜「FORBLUE™ Sシリーズ」
https://www.agc-chemicals.com/jp/ja/fluorine/products/detail/index.html?pCode=JP-JA-F027
2. 関連記事
再エネ拡大で高まる水素社会への期待 高性能化を支える高分子素材「FORBLUE™」(AGC Hub:Our Challenge Story)
https://www.agc.com/hub/pr/FORBLUE.html
3. 生命維持システムの全体像(JAXAウェブサイト)
https://www.kenkai.jaxa.jp/research/exploration/eclss.html
- ◎本件に関するお問い合わせ先:
- AGC株式会社 広報・IR部長 小川 知香子
- 担当:中島
- TEL: 03-3218-5603