2024年08月07日CSRリリース研究開発リリース

革新的なフッ素ポリマー製造技術を開発

AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)は、乳化剤*1を使用することなくフッ素ポリマーを製造できる革新的な方法(以下、本技術)を開発しました。今後、当社は本技術の活用を通じて、脱炭素社会やデジタル社会の実現に不可欠な素材であるフッ素ポリマーを継続的・安定的に供給してまいります。

従来、一部のフッ素ポリマーは、フッ素系乳化剤を使用した乳化重合*2と呼ばれる製法で製造されてきました。近年、フッ素系乳化剤を使用しないポリマー製造技術の開発要望が高まってきましたが、乳化剤をフッ素系から非フッ素系に置き換えた先行の技術では、フッ素系の副生物*3が生成され、また従来製品並の性能が発現しないなどの課題がありました。この度当社が独自に開発した革新的なフッ素ポリマー製造技術は、一切の乳化剤を使用せず、フッ素系副生物の生成を極めて少なく抑えることができ*4、かつ従来製法と同等の高性能なフッ素ポリマーを製造可能とします。

フッ素ポリマーは半導体、自動車、エレクトロニクス、エネルギーなど幅広い分野において利用され、社会の持続的な発展にとって不可欠な素材です。本技術により製造されたフッ素ポリマーは、従来製法で製造された製品がもつ優れた特性と同様の優れた耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐久性などの特性を有しています。現在、当社は2030年までに本技術によるフッ素ポリマーの量産化を実現すべく更なる開発を進めております。

AGCグループは、中期経営計画 AGC plus-2026 における主要戦略の一つに「サステナビリティ経営の深化」を掲げ、”Blue Planet”(持続可能な地球環境の実現)、”Innovation”(革新的な未来社会の創造)、”Well-being”(安心安全な暮らしへの貢献)の3つの社会的価値の創出を目指しています。AGCグループは本技術の応用展開により、継続して安心・安全な高機能素材を提供し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

*1 非混和な物質を混ぜ合わせ、均一な混合物である乳化液を形成するために使用される化学物質。界面活性剤とも呼ばれる。
*2 ポリマー重合方法の一つ。水等を媒体として、乳化剤の存在下でモノマーのエマルションを形成し、そこに重合開始剤を加えて製造する重合法。
*3 生産物を生産する過程で副次的に産出されるもの。
*4 個々の非高分子性フッ素系副生物の含有量を25ppb未満に抑制。

◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部長 小川 知香子
TEL: 03-3218-5603