2024年09月24日経営リリース

CompleCureとAGC、AMDC新薬の製法開発に関する契約締結

―がん治療薬の開発で協業―

創薬スタートアップ企業であるCompleCure(コンプリキュア)(株式会社CompleCure、本社:東京、社長:土屋政幸)とAGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)は、CompleCureが開発を進めるAMDC*1を用いた新たな乳がん治療薬の製法開発に関する契約を締結しました。本契約に基づき、AGCは本新薬のタンパク質パートの製法開発を同社バイオ医薬品CDMO事業の千葉拠点にて実施します。

AGCバイオ医薬品CDMO事業の千葉拠点の画像 AGCバイオ医薬品CDMO事業の千葉拠点

AMDCは、近年様々ながんの治療薬として承認が増加している抗体薬物複合体(ADC*2)を更に発展させた、新たな技術として注目を集めています。AMDCを用いた薬剤は、①抗体を模倣して人工的に合成した抗体ミメティック*3で構成されるタンパク質パートと②がん細胞等を攻撃する薬剤で構成される化学合成パートで成り立っています。

CompleCureは、前述のAMDC技術を用いて、副作用を十分に抑えつつ完治が期待できる、新たな乳がん治療の選択肢を提供すべく、本新薬の開発を進めています。AGCの受託対象である本新薬のタンパク質パートは、四量体構造*4となっており、その製法開発や製造には微生物培養などに関する高水準な技術を要します。AGCは、30年以上にわたり医薬品CDMO事業で培ってきた豊富な実績と知見、スピード感のある開発提案、フレキシブルな生産体制が評価され、本新薬のパートナーとして選定されました。製法開発完了後、本新薬は引き続きAGCの千葉拠点で製造する計画です。

CompleCureとAGCは、両社が保有する最先端の技術と知見の融合により、AMDCの実用化を目指し、世界中の患者様のQOL向上に貢献していきます。


<注釈>
*1 Antibody Mimetic Drug Conjugate (AMDC)
抗体ミメティックを用いた薬物送達法および薬剤の総称。強い結合活性を示すアビジン-ビオチン複合体を利用して、種々の標的分子を認識する抗体ミメティックとがん細胞等を攻撃する薬剤の組み合わせを容易に作製することができ、より効果の高い治療薬を効率的に見出すことを可能とする技術。
AMDCを用いた本剤は、①低免疫原性でヒト体内のビオチンとは結合しないストレプトアビジン改変体であるCupidと抗体ミメティックを融合させたタンパク質パートと、②Cupidに高い親和性を示すビオチン改変体であるPsycheとペイロードを結合させた化学合成パートとの非共有結合による複合体を形成させた薬剤。

AMDC説明図

*2 Antibody-Drug Conjugate (ADC) 抗体薬物複合体
ADCは、がん細胞など特定の細胞表面の抗原に結合する抗体と、がん細胞等を攻撃する薬剤とを結びつけた医薬品。この設計により、抗体はターゲット細胞に選択的に結合し、薬剤を直接送達することができるため、薬剤の副作用を最小限に抑え、治療効果を高めることが期待される。
*3 抗体ミメティック
抗体模倣物質。抗体と同様に抗原に特異的に結合することができ、分子量が3~20kDa(キロダルトン)のタンパク質。
*4 四量体構造
ストレプトアビジン改変体を介し、単量体のユニットが4つ結合し1つの分子を形成すること。

<ご参考>

■ CompleCure社概要

社名

株式会社CompleCure

設立日

2024年5月31日

事業概要

AMDC技術を活用した創薬

従業員数

8名(役員、業務委託社員含む)

代表者

代表取締役社長 土屋政幸

同社の特徴

CompleCureは、最先端のバイオテクノロジーを駆使して革新的な医薬品を開発する企業です。内閣府主導で実施された最先端研究開発支援プログラム「分子設計抗体プロジェクト」の成果の1つである、アビジンとビオチンの高い親和性と強固な結合を利用する「Cupid-Psycheシステム」の知的財産権を所有しています。同プロジェクトにはバイオインダストリー協会、東京大学、大阪大学、中外製薬株式会社および富士フイルム株式会社が参加し、研究を進めた抗体技術がCompleCureの技術の基礎となっております。

CompleCureが上記Cupid-Psycheシステムを基盤として進めている独自のAntibody Mimetic Drug Conjugate(AMDC)の開発のうち最も進展しているのが、東京大学、東北大学および千葉大学の協力のもと、今回AGC株式会社に製法開発を委託する新たな乳がん治療薬です。同治療薬を筆頭に、がんにおける根本的治療を目指し、新たな可能性を切り開いていきます。


 AGCグループ概要

社名

AGC株式会社(連結子会社数 194社*

創立日

1907年9月8日

事業概要

30を超える国と地域において、ガラス、電子、化学、ライフサイエンス、セラミックスなど幅広い分野で事業を展開

連結従業員数

56,724*

代表者

代表取締役・社長執行役員CEO 平井良典

同社ライフサイエンス事業の特徴

医薬品・農薬のプロセス開発・製造受託を担うCDMO事業をグローバル展開しています。有機合成技術をベースとした合成医薬品・農薬はもとより、世界的に需要拡大が進むバイオ医薬品や最先端分野である遺伝子・細胞治療薬にも注力しています。日欧米の世界3極に事業拠点を有し、各市場のお客様の多様なニーズに応える高品質のサービスを通じて、世界の人々の安心・安全で快適・健康な暮らしに貢献しています。詳細は、以下WEBページをご参照ください。

https://www.agc.com/products/lifescience/lifescience_company/index.html

*2023年12月末現在

 AGCグループのCDMO事業拠点

AGCグループのCDMO事業拠点の図


本件に関するお問い合わせ先
■ 株式会社CompleCure

取締役 中井 正矩
E-mail: info "AT" complecure.com (左記アドレス“AT”の部分を@に変換してメールをご送信ください)
■ AGC株式会社 
広報・IR部長 小川 知香子
担当:中尾 TEL: 03-3218-5603 お問合せフォーム