1998年04月27日製品リリース

周辺部の結露の発生を抑える新複層ガラス「デューカット」を発売

 旭硝子(株)(本社:東京都、社長:瀬谷博道)は、寒い地域で使用しても周辺部の結露の発生を抑えるという特長を持った複層ガラスの新製品「デューカット」を、北海道地区では5月1日より、その他の地域では6月1日より発売します。

 複層ガラス(商品名:ペヤグラス)は、2枚の板ガラスに挟まれた内部の空気層が熱の伝導を抑えることにより高い断熱効果をもつガラスです。従来の複層ガラスは、2枚の板ガラスに挟まれた空間を密閉するために用いるスペーサーに熱伝導性の高い金属(アルミ)を用いていたため、スペーサーを挟んでいるガラスの外周部では、内部に空気層がある中心部に比べ断熱性が低くなり、結果として、特に寒い地域で使用された場合、周辺部が曇るという現象が生じる場合がありました。
 新製品「デューカット」では、スペーサーを熱伝導性の低い材料である樹脂(アルミに比べ約1/1,000)を用いているため、室内外の温度差が大きい状況で使用しても周辺部での結露の発生を抑えることが可能です。商品名は、周辺部の結露(dew)を抑制(cut)する という点から由来しています。
 「デューカット」シリーズには、スぺーサーに用いる樹脂の種類により2種類のバリエーションがあります。
 スペーサーを従来のアルミに変え、「デューカットI」はブチルゴム系の樹脂をスペーサーに、「デューカットII」は硬質ポリ塩化ビニルをスペーサーに採用し、仕様により使い分けます。
 一方、最近、窓ガラスにペヤグラスを使用した場合、アルミスペーサーの金属光沢がサッシのカラー(断熱アルミサッシの場合ブラックまたはブロンズが、樹脂サッシの場合はホワイトが主力)とマッチしにくい、という地域ビルダーやサッシメーカー等のユーザーの声が多く聞かれていました。この要望に応えるため、スペーサーの色を光沢が無くサッシの色とよく調和するブラックとしたことが、「デューカット」の第2の特長です。

 「デューカット」の断熱性能は、ガラス周辺部の断熱性能が向上する分、アルミスペーサーを用いたペヤグラスに比べ向上します。初年度は6万m2を販売目標としており、製造は従来と同様AGCアックス社で行います
 北海道を中心としたIII地域(I地域:北海道、II地域:青森、秋田、岩手)ではサッシ自体の断熱性の高い樹脂製サッシの普及率が最近特に高まっていますが、Low−Eガラスを使用した「デューカット」と組み合わせることで、窓として「最高の性能」が発揮されるものと確信しており、機能を発揮できる北海道を中心に、特に樹脂サッシメーカーをメインターゲットに「デューカット」の拡販を図ります。
 尚、弊社では、ペヤグラスの内部結露について製造後10年間の品質保証制度を今年4月1日より実施していますが、今回の「デューカット」シリーズも同様の対応をいたします。

以  上

《ご参考》

 Low−Eガラス:

(1) Low emissivity(低放射)ガラスの略称。通常のガラスの放射率は0.85、Low−Eガラスの放射率は0.1以下。
(2) Emissivity(放射)とは、エネルギーを持つたある材質が冷たい周りの環境に対してどれだけの放射能力を持つているかを示す数値。放射率が低いほど、赤外線を反射する=室内の暖房エネルギーを反射する=断熱性を向上させる。
(3) 複層ガラスに使用されることにより、さらに断熱性・遮熱性を向上させることができる。

(4)

Low−E複層ガラスの断熱性・遮熱性
  • 単板ガラスに対して通常の複層ガラス(FL3-A6-FL3)の断熱効果は2.4倍。
  • 通常の複層ガラス(FL3-A6-FL3)に対してLow−E複層ガラス(商品名「サンレーヌ」)の断熱効果は1.4倍。
  • 遮熱型Low−E複層ガラス(商品名「サンバランス」)は、単板ガラスより約30%の冷房コストダウン効果がある。