1999年04月26日製品リリース
半導体製造用超高純度フッ素樹脂を発売
旭硝子(株)(本社:東京、社長:石津進也)は、主として半導体製造設備のクリーンプロセスに使用される超高純度フッ素樹脂「Ultra Pure(ウルトラピュア)アフロンPFA」の販売を5月より開始します。
当社はこれまで、フッ素樹脂製品として、PTFE「アフロンPTFE」(旧称フルオン)、PFA「アフロンPFA」、ETFE「アフロンCOP」及び低融点ETFE「アフロンLM」の4品種を販売してきました。このたび当社が開発した「Ultra PureアフロンPFA」は、ここ数年ますます加速している半導体デバイスの高集積化・微細化に対応した、金属不純物の極めて少ないPFAです。新製品の主な用途は半導体製造設備分野となりますが、この他にも液晶製造設備、化学・医薬品製造設備等に用いられます。
半導体デバイスの高集積化が進むにつれて、シリコンウェハーの表面に形成されるゲート酸化膜も極めて薄くなってきており、信頼性の高い酸化膜を形成するには、その阻害要因となりうる金属不純物の一層の低減が必要となります。エッチングや洗浄プロセスに使われる薬液貯槽ライニング、配管、フィルター用ケース、バルブ、流量計等に使用する素材については今後顧客から金属汚染に関し、より厳しい要求がなされるものと考えられます。「Ultra PureアフロンPFA」は、成形用ペレットからの金属溶出量が規定値以下であることを業界で初めて保証しており、これらの半導体製造設備用素材に適した製品です。顧客の成形方法や求められる流動性に合わせ、押し出しグレード、射出グレード、ブロー成形グレード及び高流動グレードの4グレードを揃えています。また、製造プラントについては、98年12月に千葉工場で約15億円を投じて新製品対応工事を完了しています。
全フッ素樹脂の98年度国内需要は、半導体設備投資等の落ち込みにより、前年比約90%の9,000トンとなっており、内半導体向けPFAの需要は約700トンと推定されています。当社は今後新製品の販売拡大に注力し、99年度の販売金額は欧米を中心とする海外向けを含め15〜20億円、半導体向けPFAの国内シェアは数年内に35%(現在は推定で約20%)を目標にしています。なお、PFAの現在の市場価格は5,000円/kg程度ですが、新製品は1割程度高い価格設定にする予定です。
当社は、溶融成形タイプのフッ素樹脂(PFA及びETFE)、フッ素ゴム「アフラス」、フッ素フィルム「アフレックス」(PFA及びETFE)及び子会社・旭硝子フロロポリマーズ(株)のPTFEをフッ素化学品の中核事業として、今後とも積極的に拡大を図って行く所存です。
以 上
《ご参考》
- PFA
(1)物質名 : Tetrafluoroethylene Perfluoroalkoxy vinyl ether copolymer の略。四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合樹脂。 (2)特 性 : PTFEに匹敵する特性(以下の「2」を参照)を持ち、かつ熱溶融成形が可能。 (3)「Ultra PureアフロンPFA」の保証規格
(押し出しグレード「P−802UP」の場合)- 融点 :300℃以上
- メルトフローレート:1〜3g/10min
- 比重 :2.12〜2.17
- 溶出金属量*(1):2.0ng/g以下(保証元素:Na,Ca,Ba,Fe)
- 溶出金属量*(2):1.0ng/g以下(保証元素:K,Zn,Al)
- 溶出金属量*(3):0.5ng/g以下(保証元素:Mg,Ni,Cr,Cu,Pb)
- 溶出金属量*(4):0.1ng/g以下(保証元素:Co,Mn,Sr,Li)
*溶出金属量は、各保証元素のそれぞれが上記数値以下であることを保証するもの。ng=ナノグラム(10億分の1グラム)。 - 融点 :300℃以上
- PTFE
(1)物質名 : Polytetrafluoroethyleneの略。四フッ化エチレン樹脂。 (2)特 性 : 耐熱性、耐薬品性、電気特性(高周波特性)、非粘着性、自己潤滑性 (3)用 途 : シリコンウェハー洗浄槽、ガスケット、パッキン、各種シール材、配管ライニング、ホース等 - ETFE
(1)物質名 : EthyleneTetrafluoroethylene copolymerの略。四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂。 (2)特 性 : 機械的強度、電気絶縁性、耐放射線性 (3)用 途 : 電線被覆材、コンピュータ用ケーブル、離型用フィルム、グリーンハウス用フィルム等