1999年07月05日経営リリース

農業用フッ素樹脂フィルム販売事業を買収、新社設立

 旭硝子(本社:東京、社長:石津進也)は、フッ素樹脂フィルム事業の拡大を図るため、施設園芸用フッ素樹脂フィルム(農業用フィルム)の開発・販売の拠点として、日本カーバイド工業(株)の子会社であるビニフレーム工業(株)より同フィルム販売事業を買収し、当社100%出資の新会社「旭硝子グリーンテック(株)」を本年6月に設立しました。

 日本における施設園芸(ハウス栽培)は戦後急速に成長し、過去10年あまり年率2.5%の伸長を継続しており、食糧自給率の拡大、生鮮野菜の安定供給の観点から国民生活に直結する重要な産業の一つです。近年は、野菜の供給に限らず、イチゴやメロンなどの青果や、生花の栽培も極めて盛んになり、現在では栽培面積が5万2千ヘクタール(5億2千万?)に達しており、日本は世界でもトップクラスの施設園芸国となっています。一方、施設園芸では定期的なフィルムの張り替えが必要なため、毎年排出される使用済フィルムも年々増大し(約18万t/年)、埋め立て・焼却・リサイクル等の対策に関係者は苦慮しています。

 フッ素樹脂フィルムは、長期耐久性・高光透過性・耐汚染性を特徴とし、長期間張り替えが不要になることから廃棄される使用済フィルムを飛躍的に減少させるとともに、作物への最適生育環境を実現するフィルムとして最も有望視されており、「21世紀の被覆資材」として近年急速に需要が拡大しています。

 当社は、千葉工場で生産しているフッ素樹脂(ETFE)フィルム「アフレックス」の用途展開の一つとして、89年より施設園芸用フィルムとして「アフレックス」を供給し、ビニフレーム工業(株)が「エフクリーン」(登録商標)のブランドで販売してきました。これまでの「エフクリーン」の展張面積は、延べ約1,100ヘクタール(1,100万?)になっています。

 当社は、先に公表しました中期経営計画「S to G 2001」の中で、フッ素化学事業の拡大を"Grow"(成長)施策の一つの柱に位置付けましたが、今回の施策もその戦略に沿ったものであり、販売面も含めた独自展開を図り、フッ素樹脂フィルム事業を一層拡大するため、事業買収・新社設立を行ったものです。本件買収金額は非公表としています。

 新会社は、8月1日よりビニフレーム工業(株)の営業権ならびに日本カーバイド工業(株)の商標権・特許権をすべて引継ぎ、施設園芸分野における「最適栽培環境の提供」を事業方針として、従来通り「エフクリーン」のブランドで国内及び海外の市場に向けて販売を開始します。10年程度使用可能な長期展張用被覆資材として、また高機能フィルムとして、当社及び新会社が一体となった開発・製造・販売体制を取り、市場ニーズに迅速に応えることにより、2000年度で17億円、4〜5年後に30億円の売上を目指します。

 なお、当社は数年前より使用済フィルムの回収・再生(リサイクル)の技術開発に取り組んでおり、既に再生したリサイクルフィルムを「エフクリーン エコ」の商品名で農業資材として販売しています。「エフクリーン」は、廃棄される使用済フィルムを削減できることに加え、さらにリサイクルを可能にしたことで、環境負荷の低減に寄与します。

以 上

《ご参考》

  1. 旭硝子グリーンテック(株)の概要
    (1)本社所在地  東京都千代田区飯田橋2丁目11番10号
     (山田ラインビル4階)
    (2)設立  平成11年6月23日
    (3)社長  樺澤 精一(旭硝子社員)
    (4)資本金  1億円
    (5)株主  旭硝子 100%
    (6)営業品目  フッ素樹脂フィルム「エフクリーン」及びその他関連資材
    (7)支店・営業所  札幌・仙台・足利(栃木県)・東京・
     豊川(愛知県)・大阪・高知・福岡
    (8)従業員  25名
  2. ビニフレーム工業(株)の概要

    (1)本社所在地  富山県魚津市北鬼江616番地
    (2)設   立  昭和37年4月
    (3)資 本 金  2.9億円
    (4)株   主  日本カーバイド工業(株) 55.8%、
     三協アルミ工業(株) 25%
     (※旭硝子は日本カーバイド工業(株)に
     17.8%出資している。)
    (5)営業品目  住宅用アルミ建材、プラスチック製品、化学品材料等
  3. 施設園芸の概要

    1. 日本の施設園芸面積(施設面積)と被覆資材

      1989年
      (千ha)

      1993年
      (千ha)

      1997年
      (千ha)

      動    向
      ガラス 2.1 2.2 2.3 横ばい
      軟質フィルム 40.8 44.9 47.1 塩ビ系が急減・ポリエチ系が増加
      硬質板・他 1.3 1.4 1.5 ポリカーボネート・アクリル系
      硬質フィルム 0.8 1.2 1.7 フッ素・PET系(フッ素が急伸)

      合計
      44.9 49.7 52.6 順調に拡大
    2. 作柄別

      97年栽培
      面積(千ha)

      構成比
      (%)

      95年対比
      (%)

      備  考
      野菜・
      青果
      36.7 69.9 100.6 トマト・キュウリ・イチゴ・メロン
      8.6 16.4 111.3 シクラメン・キク・キキョウ・ガーベラ
      果樹 7.2 13.7 106.7 ミカン・サクランボ・ブドウ
      合計 52.6 100.0 103.1
    3. 世界の施設園芸

      施設面積(千ha)

      構成比(%)
      日本 53 11
      アジア(除く日本) 250 54
      欧州 146 32
      米州 12 3
      その他 2 -

      合計
      463 100

以  上