2000年07月17日経営リリース
台湾にTFT−LCD用ガラス基板の生産拠点を新設
旭硝子(株)(本社:東京、社長:石津進也)は、台湾(中華民国)中部の雲林(ユンリン)県斗六(トウリュウ)市において、TFT−LCD(薄膜トランジスタ方式液晶ディスプレイ)用無アルカリガラス基板を製造する新会社を設立することを決定しました。
新会社の社名は旭硝子發殷科技股イ分有限公司[英名:Asahi Glass Fine Techno Taiwan Co., Ltd]で、当初の資本金は約30億円、当社が100%出資します。なお「發殷(中国語発音:ファイン)科技」とは、豊かさ・繁栄を送り出すハイテク会社という意味を込めています。
第一期投資では新たな現地法人の設立、工場用地の買収、建屋の建設、ガラス加工2ラインの導入を行い、2001年末よりTFT−LCD用無アルカリガラス基板の製造・販売を開始する計画です。またその後は台湾国内の需要増加に合わせ、ガラス加工ラインの増設やガラス製造窯の建設を行い、最終的に原料素材からガラス基板製品までの一貫生産体制を構築する予定です。
今後5年間で総額約300億円を投じてその生産規模を順次拡大して行き、2005年に年間300万m2(基板サイズ880mm×680mm換算で約500万枚)の生産販売量を見込んでいます。
TFT−LCD市場は、1990年代にノートパソコン(PC)という新しいマーケットを創出し、急速に成長を遂げました。また2000年代には大画面・高精細化の技術確立に伴い、デスクトップPCや液晶テレビ等の分野に展開され、一層需要は拡大すると予測されます。更に、PDAや携帯電話、ゲーム等の小型ディスプレイ用途においても需要は広がり、TFT—LCD市場は順調な成長を継続すると考えられます。
1999年の地域別TFT−LCD生産能力は、日本65%・韓国30%・台湾5%と当社では推定しています。台湾のTFTメーカーは日本のTFTメーカーより技術供与を受け、後発ながら相次ぎTFT—LCD市場へ参入を図り特に積極的な投資を押し進めてきており、2004年にはそのTFT−LCD市場シェアは30%に達すると推測されます。2000年後半からは台湾国内でもTFT−LCDの主要部材の一つであり、TFT−LCD用無アルカリガラス基板のユーザーでもあるカラーフィルターメーカーの設立やその生産が開始され、台湾におけるTFT−LCD用無アルカリガラス基板の需要は増々拍車が掛かるものと予想されます。
このような市場の動きから当社は安定的な素材供給と適切な技術サービスが必要不可欠であると判断し、今回の台湾における新会社設立を決定したものです。
当社はこのTFT−LCD市場で、商品名「AN635」「AN100」というTFT−LCD用無アルカリガラス基板を製造・販売しており、現在世界販売シェアは約30%と推定しています。今後は、日本国内における生産能力の増強や今回の台湾進出を契機とした積極的な海外事業展開により、年間売上高1,000億円と世界販売シェア50%を目指します。
以 上
<ご参考>
当社製TFT−LCD用ガラス基板の特徴について
- 当社は、TFT−LCD用無アルカリガラス基板の製造プロセスにフロート法を採用している世界で唯一のガラスメーカーです。フロート法で生産され、1998年に上市した「AN100」の大きな特徴は、以下の通りです。
- 大型ガラス基板を大量に且つ安定的に供給できること
- 他社のガラス基板に比べて、高ヤング率(高剛性)であるために、顧客ライン搬送中のたわみ量が少ないこと
- 反りや板厚偏差(板厚のばらつき)が小さく、熱的寸法安定性にも優れていること
- 今後TFT−LCD業界で主流化する第4世代(880mm×680mm以上のサイズ)ラインで使用される大型ガラス基板に求められる特性を充分に備えている商品が「AN100」であり、当社の顧客からも非常に高い評価を得ています。
- 当社の「AN635」「AN100」は製造工程で有害物質であるAs2O3(亜砒酸)を使用していない唯一のTFT−LCD用無アルカリガラス基板であり、環境問題にも充分な配慮をした製品です。