2002年01月28日経営リリース
事業構造改革の諸施策について
旭硝子(株)(本社:東京、社長:石津進也)では、1998年以来「シュリンク・トゥ・グロー(Shrink to Grow)」の経営戦略の下、体質の強化と事業構造の改革を推進しています。2001年4月に2004年3月期までの3ヵ年の中期経営計画「StoG2003」を策定し、各種施策を展開していますが、昨年央からの事業環境の急激な変化を受け、その計画の一部修正見直し及び追加施策の必要性を緊急課題として検討してきました。「StoG2003」の見直しプランは引き続き作業中で確定していませんが、今般、以下の施策実施を決定しました。
船橋工場からの全面事業撤退
2003年末までにCRT(ブラウン管)用ガラスバルブなどの製造を行っている船橋工場からの全面事業撤退を行うことを決定しました。
日本国内におけるCRT用ガラスバルブ需要は、顧客であるCRTメーカーの事業撤退や海外への生産移転を受け、1990年度の約4000万個から2002年度には約700万個へと急激に減少する見込みであり、船橋工場で生産している製品についても、ほとんどが輸出に向けられている状態です。
また昨年来、全世界ベースでPCモニターの液晶化が急激に進み、PCモニター用CRTの需要が減少している一方で、ガラスバルブメーカー各社が2000年に着手した生産能力増強の影響で、CRT用ガラスバルブは現在世界的に大幅な供給過剰となっています。
船橋工場は1956年に当社CRT用ガラスバルブ事業最初の工場として操業開始以来、同事業におけるマザー工場として生産を続けてきましたが、このような状況の下で、日本国内とりわけ東日本地域の顧客が撤退してしまったことや、工場が内陸部の市街地に位置するなどの理由で輸送費などのコストが高いことから、今後の事業継続が困難と判断し、2003年末までに船橋工場からの全面事業撤退を行うこととしました。
船橋工場からの事業撤退後も、国内では開発の拠点でもある高砂工場(兵庫県)で、海外では東南アジア・韓国・中国などで引き続きCRT用ガラスバルブの生産を行い、需要と客先立地に対応した日本・アジアでの最適生産分業を進めます。
事業撤退に伴い2002年3月期において特別損失が約170億円発生する見込みです。
同工場の従業員450名の対応については、今後検討します。
また、同工場跡地の今後の利用については、現在未定です。
<ご参考> 旭硝子(株) 船橋工場の概要
(1)所在地 | : | 千葉県船橋市北本町1−10−1 |
(2)代表者 | : | 工場長 藤本 勲 |
(3)操業開始 | : | 1956年(昭和31年) |
(4)従業員数 | : | 450名 |
(5)生産品目 | : | CRT用ガラスバルブ |
化学品事業のスリム化
化学品事業の構造改革については、中期経営計画「StoG2003」において段階を追って推進しています。第1ステップの合成ソーダ灰の国内生産中止を2001年3月に完了し、現在第2ステップの北九州工場の化学品事業からの撤退・設備廃棄、それに伴う臭素系・水マグスラリーからの事業撤退を2002年9月完了を目指して実施中ですが、業績の更なる悪化に対応すべく追加施策として、本社機能のスリム化を実施することとしました。
現在、化学品事業における本社機能は、約500名の人員により運営されていますが、2002年10月を目途に、本社を中心とした役職者約150名の人員削減を行います。人員削減にあたり退職優遇制度を活用し、大幅な組織の簡素化を併せて行う予定です。
第3ステップで計画しているクロール・アルカリ事業の地域需要対応型への転換については、現状の枠組みを継続しつつ、原燃材料の見直しや、プラント運転状況の最適化等のコストダウン施策により、更なる収益改善に努めます。
なお、今後の化学品事業の運営方針としては、高コスト体質を人員規模の縮小などの施策により是正する一方、事業の軸足をクロール・アルカリ事業からフッ素化学品事業に切り替えていきます。
フッ素化学品事業については、当社の強みであるフィルムやPDP保護フィルター、フッ素樹脂ETFEなどで競合他社との差別化戦略を強化するとともに、1999年に買収した欧米のフッ素樹脂事業とのシナジーを追求していきます。
退職優遇制度の拡充
変化する事業構造に合致した人員体制構築のため、従来より実施している退職優遇制度の拡充を実施することとしました。拡充は上述の化学品部門を中心に全社の役職者を対象とし、内容は以下の通りです。
(1)退職予定人員 | : | (1) 200名(化学品部門約150名 その他部門約50名) (平成13年9月30日現在の単体従業員7,170名) |
(2)対象者 | : | 役職者(課長補佐クラス以上)全員 |
(3)退職申出期間 | : | 平成14年3月21日〜平成14年4月30日 |
(4)退職時期 | : | 平成14年10月31日まで |
(5)拡充内容 | : | 従来の退職優遇制度による退職金への加算金にさらに上乗せして支給 |
この優遇制度の拡充により年間約30億円の固定費削減を見込んでいます。また、優遇退職金による今期の特別損失は約60億円になる見込みです。
役員報酬及び役職者給与削減
現在の経営状況を鑑み、以下の通り役員報酬及び役職者給与の削減を行なうこととしました。
役員報酬 | : | 平成14年1月から6月の間、10〜20%削減 |
役職者給与 | : | 平成14年2月から6月の間、3〜7%削減 |
なお7月以降については、経営状況などを見て決定することとします。
2002年3月期業績見込み修正(別添資料 (54KB)を参照願います)
厳しい事業環境とその対応施策の実施に伴い、平成13年度(2002年3月期)の業績予想を別添資料の通り修正します。
- ◎本件に関するお問合せ先
- 旭硝子(株)広報室
- 担当:小田
- TEL: 03-3218-5408
- E-mail: info-pr@om.agc.co.jp