2002年05月08日製品リリース

光触媒セルフクリーニングガラスの共同開発に成功

 旭硝子(株)(本社:東京、社長:石津進也)は、このたび、富山大学工学部蓮覚寺(れんがくじ)教授、日本カーリット(株)(本社:東京、社長:小関英雄)及び東芝ライテック(株)(本社:東京、社長:塚原淳一)と共同で、非常に高い光触媒効果を与える新型の酸化チタン光触媒膜を形成することにより高い汚染分解性能と高耐久性が特長である「セルフクリーニングガラス」の開発に成功し、トンネル用照明カバーガラスを始め多用途展開が可能となりました。

 酸化チタンに代表される光触媒は、防汚、防曇、脱臭、有害物質の除去など様々な機能を発揮するものがありますが、今回開発した光触媒膜は、高配向・高結晶の薄膜を緻密に形成することにより、汚染物質の分解性能を飛躍的に高めたものであり、かつ耐久性にも優れています。

 従来の光触媒溶液は、いわゆる「ゾル-ゲル法」により作られていますが、蓮覚寺教授の発案した「アドバンストゾルゲル法」に基づいて日本カーリットが新たな酸化チタンのコーティング溶液を開発しました。この溶液は、酸化チタンの微粒子を含まない完全な溶液で、ガラス等の基材表面との結合力が強く、密着性に優れた0.1マイクロm程度の厚みの緻密で堅牢かつ平滑な薄膜を形成することができ、優先配向度が非常に高い結晶性が得られるため、極めて高い光触媒効果を発揮します。

 旭硝子は、この光触媒溶液をガラスに応用するにあたり、予めガラス表面に酸化ケイ素(シリカ)の薄膜を、ガラス製造技術で培った成膜技術を用いて形成し、その上に、このコーティング溶液を独自に開発した特殊な方法で塗工する二重膜構造としました。

 トンネル用照明カバーガラスは、多量の排気ガスに常時曝されるという極めて過酷な汚染環境下で使用されるため、従来から交通量の多い東名高速道路等では光触媒ガラスが使用されていました。このたび開発した光触媒セルフクリーニングガラスを、トンネル用照明カバーガラスとして東芝ライテックで性能評価したところ、ディーゼル車の排気ガスに含まれるカーボン微粒子も効果的に分解し、光触媒効果は従来品よりも5倍以上高く、かつ耐久性も高いことが判明しました。

 旭硝子では、今後、トンネル用照明カバーガラスを始めとする道路産業用途のほかにも、セルフクリーニングガラスの用途開発を図ってまいる所存です。

以  上

<ご参考>

○蓮覚寺(れんがくじ)聖一教授

  • 富山大学工学部 物質生命システム工学科 教授
  • 東京大学 先端科学技術研究センター 客員研究員
  • 住所 富山市五福3190
  •  
○日本カーリット(株)会社概要
  • 設立   昭和9年
  • 本社    東京都千代田区神田和泉町1番地
  • 資本金  10億円
  • 従業員数 400名
  • 事業内容 火薬、工業薬品、コンデンサ等電子材料の製造販売
  • 売上高  345.5億円(平成13年3月期、連結)
  • ホームページアドレス http://www.carlit.co.jp/
  •  
○東芝ライテック(株)会社概要
  • 設立   昭和49年
  • 本社    東京都品川区東品川4丁目3番1号
  • 資本金  100億円
  • 従業員数 3,000名
  • 事業内容 各種照明器具の製造販売
  • 売上高  1,700億円(平成13年3月期、連結)
  • ホームページアドレス http://www.tlt.co.jp/tlt/info/info.htm
◎本件に関するお問合せ先
旭硝子(株)広報室
担当:桜井
TEL: 03-3218-5243
E-mail: info-pr@om.agc.co.jp
◎商品に関するお問合せ先
旭硝子(株)板ガラスカンパニー カスタマーセンター
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