2002年05月28日製品リリース

日射による肌への刺激を軽減する自動車フロントガラスを世界で初めて開発

 旭硝子(株)(本社:東京、社長:石津進也)はこのほど、運転者の日射による不快感を大幅に改善する自動車用合わせガラスとして、赤外線(Infrared Rays. 以下IR)カットガラス(商品名:クールベール(仮称))の開発に世界で初めて成功し、5月21日に発表された日産「エルグランド」のフロントガラス、及び22日に発表されたトヨタ「アルファード」のフロントガラス・フロントドアガラスとして採用されました。

 RV系車種の増加により、フロントガラスの面積は大型化する傾向にありますが、一方で、運転者は日射による日焼けの不安・皮膚のジリジリ感に悩まされていました。各種のアンケートによると、日射による日焼けや肌へのジリジリとした刺激は、主婦を中心として車内の不快要素の1位に挙げられています。

 当社ではこれらの問題を解決するため、まず、車内で感じるジリジリ感を生理的・心理的な観点から科学的に分析・評価し、SHF(Skin Healing Factor)という独自の指標を新たに考案しました。これを紫外線(Ultraviolet rays. 以下UV)カットの指標として化粧品等で一般的であるSPF(Sun Protection Factor)と併用し、快適性を向上させる断熱ガラスの研究を進めて来ました。

 今回のIRカットガラスは、このSHF指標をベースに、中間膜に含まれる特定波長の赤外線を吸収する材料とガラスの持つ光学特性との効果的な組み合わせを開発し、日射熱を効率的に遮断することにより、日射による不快感・不安感を大幅に改善した画期的な断熱合わせガラスです。

 また、これまでも金属膜をガラス表面にコートした熱線反射ガラスを使用した断熱フロントガラスは商品化されていましたが、この場合、高い断熱性能が達成できる反面、電磁遮蔽効果により車両外部との各種通信に障害が生じるという本質的な課題を抱えていました。

 今回のIRカットガラスに使用する中間膜は電磁波を透過するため、通信障害を引き起こすことなく、有効な視界を得るための可視光透過特性、特定の赤外域波長を選択的に遮断することによる高い断熱性、合わせガラスの持つUVカット性を同時に実現することに成功したものです。

 当社はこれまで、撥水ガラス・低反射ガラス等により運転者の視認性の向上に寄与してまいりましたが、一方でUVカットサイドドアガラスや種々のプライバシーガラス等、運転者・乗員の快適性を向上させるガラスも開発・上市してまいりました。

 今回の開発により、フロントガラスにIRカットガラス、ドアガラスにUVカットガラスまたはIRカットガラス、リヤガラス(リヤドアガラス、リヤウィンドウ)にプライバシーガラス、と車内空間をとりまく全てのガラスに高機能ガラスを使用し、車のキャビンとしての居住性を一層向上させることが可能となります。

 当社では、今後とも自動車ユーザーのニーズをきめ細かく把握し、ガラスを通じて、安全で快適な運転環境を提供してまいります。

以   上

◎ご参考
赤外線・紫外線カットのイメージ

赤外線・紫外線カットのイメージ 

◎本件に関するお問合せ先
旭硝子(株)広報室
担当:桜井
TEL: 03-3218-5243
E-mail: info-pr@om.agc.co.jp