2005年12月02日経営リリース
地下水の追加調査結果及び対策工事について
旭硝子株式会社(本社:東京、社長:門松正宏)は、2005年10月7日に、当社が所有するグランド・独身寮跡地(兵庫県尼崎市東七松町二丁目)の一部地下水において環境基準を上回る砒素が検出された旨の発表を行いましたが、その後、尼崎市のご指導のもと、原因究明及び敷地外への影響の有無を確認するための調査を実施しました。
その結果、当社所有地に隣接する土地の地下水から環境基準を上回る砒素が検出されましたので、下記の対策工事を実施することとしました。周辺にお住まいの方々を始め、多くの関係者に多大なご心配ご迷惑をおかけすることになり、深くお詫び申し上げます。
今後、当社は以下の対策工事を確実に実施し、当該敷地周辺環境への影響を防ぐため万全を尽くす所存です。
記
1.調査結果について
当社は、原因究明及び敷地外への影響の有無を確認するため調査を行いましたが、市も当該敷地に立ち入り調査を実施されました。結果は以下のとおりです。
(1)調査時期:2005年10月18日〜11月29日
(2)調査方法:モニタリング用観測井の設置による地下水サンプリングでの水質分析
(3)調査結果:
イ.地下水 (1〜4:市の調査結果、5:当社の調査結果)
・当社敷地内
1.東側3地点
北 |
中央 |
南 |
|
砒素濃度 | 0.12mg/リットル |
0.29mg/リットル |
0.26mg/リットル |
基準超過倍数 | 12倍 |
29倍 |
26倍 |
2.南側2地点
西 |
東 |
|
砒素濃度 | 0.028mg/リットル |
3.9mg/リットル |
基準超過倍数 | 2.8倍 |
390倍 |
・当社敷地外
3.<当該敷地の西側> 中央中学校の当該敷地寄り3地点
北 |
中央 |
南 |
|
砒素濃度 | 0.0072mg/リットル |
0.15mg/リットル |
0.076mg/リットル |
基準超過倍数 | 基準値以下 |
15倍 |
7.6倍 |
4.<当該敷地の北及び東側> 公園2地点
北側公園 |
東側公園 |
|
砒素濃度 | 0.0084mg/リットル |
0.69mg/リットル |
基準超過倍数 | 基準値以下 |
69倍 |
5.<当該敷地の南側> 橘通り南側マンション内4地点
北西 |
北中央 |
北東 |
南 |
|
砒素濃度 | 0.013mg/リットル |
0.098mg/リットル |
0.16mg/リットル |
0.0013mg/リットル |
基準超過倍数 | 1.3倍 |
9.8倍 |
16倍 |
基準値以下 |
ロ.表層土壌 (調査方法:5点混合分析、6.7:当社の調査結果)
念のために当該敷地近隣の表層土壌の調査を行いましたが、
以下のとおりいずれも環境基準値以下で、問題ないことが分かっています。
6.中央中学校グランド
カドミウム |
水銀 |
鉛 |
砒素 |
フッ素 |
|
溶出量 |
<0.001mg/リットル |
<0.0005mg/リットル |
<0.001mg/リットル |
0.002mg/リットル |
0.3mg/リットル |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
|
含有量 |
<1mg/kg |
<0.5mg/kg |
<10mg/kg |
<10mg/kg |
<50mg/kg |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
7.東側公園
カドミウム |
水銀 |
鉛 |
砒素 |
フッ素 |
|
溶出量 |
<0.001mg/リットル |
<0.0005mg/リットル |
<0.001mg/リットル |
0.003mg/リットル |
0.2mg/リットル |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
|
含有量 |
<1mg/kg |
<0.5mg/kg |
<10mg/kg |
<10mg/kg |
71mg/kg |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
基準値以下 |
2.原因について
1957〜62年にかけて、当該敷地内に存在していた溜池を当社関西工場で発生したガラス磨き砂で埋め立てたことが分かっています。ガラス磨き砂に含まれていた砒素が溜池内の地下水を汚染し、その地下水が旧溜池から滲み出している影響と推定しております。
次の対策を実施することにより、地下水の滲み出しを防止すると同時に、当該敷地内外の地下水の浄化に努めます。
3.今後の対策について
尼崎市のご指導のもと、以下の対策を当社として責任をもって実施します。周辺にお住まいの皆様、当該敷地内で店舗を経営されている方々並びに関係者の方々におかれましては、工事に伴いご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
周辺にお住まいの方々を始め関係者の皆様に一日も早く安心して頂けるよう、当社は本件工事に全力で取り組み、速やかに遂行して参ります。
(1)対策の概要
1.敷地全周囲に鋼矢板等による遮水壁を設置 | |
当該敷地を取り囲む遮水壁を設置し基準超過の地下水が敷地外へ滲み出すことを防止します。 | |
2.敷地内での揚水・浄化処理を強化 | |
当該敷地の一部に存在していた溜池内において、現在ポンプ2台で地下水をくみ上げ、浄化処 理していますが、今後は旧溜池外も含めポンプを10台に増やすなど浄化処理を強化します。 | |
3.敷地外での揚水・浄化処理 | |
外部に滲み出した基準超過の地下水についても、遮水壁の外側にポンプ5台を新設してくみ上げ、浄化処理します。 | |
4.敷地外でのモニタリング | |
遮水壁の外側にモニタリング用観測井を新たに設置し、今後基準値を超過した地下水が敷地外に滲み出していないことを確認します。 | |
※実施済の対策 | |
2003年に当該敷地内のアスファルト舗装による飛散防止を実施するとともに、商業施設の植栽部分につきましては土壌入替を行っています。 |
(2)工事期間
必要な許可等を得た後、2006年2月に着工し、工期は約3ヶ月を予定しています。
(3)工事期間中の周辺環境保全
・ | 工事に伴う周辺環境対策は、関係法令を遵守して行います。 |
・ | 工事に伴う騒音・振動等による周辺への影響を極力少なくするよう、工法・使用機械の選定を行います。 |
・ | 適宜作業環境測定を行い、周辺環境への影響がないことを確認します。 |
なお、尼崎市の調査から、以下のように聞いております。
・ | 当該敷地近傍に飲用井戸はありません。 |
・ | 現在まで本件に関する健康被害の報告はありません。 |
・ | 当該敷地内で事業を行っているスーパー銭湯の全浴槽、かけ湯、カラン、シャワーに使用されている温泉及び水は、それぞれ地下1000m、250mの帯水層より汲み上げられており、本件基準値超過の地下水の帯水層(地下8m程度まで)とは異なる水脈です。また、温泉及び全ての水とも、2005年9月に尼崎市保健所より温泉利用許可書及び公衆浴場営業許可書を取得しています。さらに、保健所において10月5日に温泉水及び井戸水を採水され、尼崎市立衛生研究所にて分析調査の結果、問題ないレベルであることが確認されています。 |
・ | 当該敷地内で事業を行っている飲食店(スーパー銭湯内を含む)及び物販店では、すべて上水道を使用しており全く問題はありません。 |
当社は、当社の責任において毎月1回継続してスーパー銭湯の温泉及び水の水質検査を実施し問題のないことを確認して参ります。
以 上
- 本件に関するお問い合わせ先
- 旭硝子株式会社 広報・IR室長 川上 真一
- 担当:箕田
- TEL: 03-3218-5408
- E-mail: info-pr@agc.co.jp
- 関西工場
- 総務部長 神田 知幸
- TEL: 06-6413-3325