近年のLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)の高出力化に対応するためには、高い放熱性と信頼性に優れたデバイス構成が求められます。またMEMSのような電子デバイスにおいても、高い信頼性が必要となります。AGCは長年培ってきた独自の技術によって、高い放熱性と信頼性はもとより各種特性に応えたセラミックパッケージ基板に加え、様々な形状を備え且つ気密性の高いリッド・シール材等のセラミックパッケージ関連製品も提供しています。

セラミックパッケージとは

LED/LDやMEMS等の電子デバイスには、各種電子部品や電気配線に加え、各デバイスに応じた基板やリッド・シール材等のパーツが必要になりますが、それら各パーツの材料の一部にセラミックが用いられ、且つ、パッケージングされているものをセラミックパッケージと呼んでいます。電子部品を収めるパッケージには、例えば、「耐衝撃性」「高放熱性」「目的に適う形状」「容易な検査が可能」「環境適応性(SDGs)」「低価格での安定供給」などが求められますが、特に近年では、半導体に代表される電子部品の動作周波数が高く消費電流も大きくなる為、電流抵抗並びに寄生容量の小さな太くて短い接続端子と高い放熱性を有するパッケージが求められます。また、携帯機器等のパッケージ部材には、小型化も求められます。

AGCは、これらの要求に応える耐熱特性に優れたセラミックパッケージ基板や、リッド・シール材などのセラミックパッケージ関連製品を販売しています。

GCHP®(Glass Ceramics Hybrid Package)基板 GCHP®(Glass Ceramics Hybrid Package)基板
低温気密封止部材 低温気密封止部材
ガラスフリット(粉末ガラス) ガラスフリット(粉末ガラス)

パッケージ用セラミック基板の種類と用途

陶器やガラス、セメント、コンクリートのような形で幅広く世界に存在しているセラミックスは、硬くて電気絶縁性があり、また、耐食性や耐熱性にも非常に優れていますが、それらの特性に加えて、各種電子デバイスの小型化や高信頼性への要求が高まる中、パッケージ用途としてのセラミック基板は、もはや必須のアイテムとなりつつあります。

セラミック基板として用いられる材料には、アルミナ(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)等をはじめ、窒化ケイ素(Si3N4)やアルミナジルコニア(Al2O3/ZrO2)といった材料も使われています。放熱性が重要になるパッケージ用基板では熱伝導率が高い材料が使用され、例えば、窒化アルミニウムはアルミナと比べて熱伝導率が高いといった特徴があります。

放熱性が高いパッケージ用基板として、この他に、ヒートシンク構造を有するセラミック基板も多く使用されています。熱伝導率の高い金属材料をヒートシンク材に用いることで、放熱性を大きく向上させることが出来ます。AGCのセラミックパッケージ基板は、熱伝導率が非常に高い銀(Ag)のブロックを内部に形成出来るという特徴を有しており、このヒートシンク構造によって高い放熱性を実現しています。また、多層化が容易で、内層配線や3次元回路の形成が可能な為、パッケージの小型化や、表面実装デバイスを配置したパッケージなどの柔軟な設計にも対応可能です。

熱伝導率 W/(m・K)
ガラスフリット(粉末ガラス)

セラミック基板の用途は様々で、高出力なLEDやLD光源、レーザー加工機、レーダーやアンテナ、RFモジュールなどの高周波計測機器、ペルチェ素子や圧電センサー、パワー半導体など、多岐に渡ります。

AGCは、これらの中でもLED/LD光源、MEMS、全固体電池などの用途に適したセラミックパッケージ関連製品を多く取り扱っています。

LEDの種類とパッケージ構成例

発光ダイオード(Light Emitting Diode)は通称LEDと略され、用途に応じて様々な種類があります。可視光LEDは照明器具や信号灯などとしても身近な存在ですが、人間の目で見ることは出来ない波長帯域の光が利用されている紫外線LEDは紙幣識別用の光源や殺菌用の光源として利用されています。テレビなどのリモコンに使われている赤外線LEDも人間の目では見ることの出来ない波長帯域の光が利用されています。

表. 発光波長帯域別に見るLEDの用途

紫外線LED 可視光LED 赤外線LED
・樹脂硬化
・殺菌, 滅菌
・水質浄化
・医療用照明
・高演色性照明
・露光機光源(水銀ランプ代替)
など
・車載照明
・室内, 屋外照明
・道路, トンネル照明
・水銀灯代替の照明
・街路灯
・防犯灯
・医療用照明
など
・ドライバーモニター
・監視カメラ
・センシングカメラ
・ナイトビジョン
・ジェスチャー認識
・コミュニケーションランプ
など

AGCのセラミックパッケージ基板は、可視光だけではなく、紫外線から赤外線領域に渡って高い反射率を有します。従って、LED背面方向の光を基板で反射し正面方向の輝度を上げることが可能で、いずれの波長帯域を利用したLED製品にも高いパフォーマンスを発揮しながら、パッケージ基板としての優位性を示します。

また、AGCでは、パッケージ基板のみならず、例えば、平板型やキャビティ型といった形状のリッド(蓋)や、低温封止が可能なシール方法、素子基板にメタライズ並びに金めっきが不要なシール材など、主にエレクトロニクスの多くの場面(絶縁、気密、保護等)で使われている様々なパッケージ関連製品並びに技術の提案が可能です。

表. AGCが提案可能なLEDパッケージ構成の例

蓋の種類 紫外線LED 可視光LED 赤外線LED
平板型
リッド
キャビティ型
リッド
or
選択可能なシール方法
AGC ハンダ
Au-Sn ハンダ
AGC ハンダ
Au-Sn ハンダ
ガラスフリット

上記構成以外にも、リッド(蓋)にドーム型レンズを一体化して損失の少ない配光制御、場合に応じて拡散性や低反射性を付与することも可能です。柔軟に対応いたしますので、ぜひとも、ご気軽に下記フォームよりご相談ください。

半導体レーザーの種類とパッケージ構成例

レーザーダイオード(LD:Laser Diode)もしくはダイオードレーザー(Diode Laser)とも呼ばれる半導体レーザーは、「小型」「高変換効率」「高指向性」などの特徴を生かしながら、光ピックアップ等のオプトエレクトロニクス機器をはじめ、光学機器、光通信機器、印刷機器、レーザー加工装置、医療機器、などに用いられています。発光ダイオード同様に、半導体レーザーも用途に応じた波長や出力(パワー)を選択する必要があります。

表. 放射光の波長領域別に見るLDの用途

紫外線LD 可視光LD 赤外線LD
・ガス分析
・DNA解析, 細胞分析
・局所的殺菌, 滅菌
・ヘルスケア
・加工装置
など
・車載照明(ヘッドランプ)
・プロジェクター
・光ピックアップ
・プリンター
・検査機器
など
・3Dセンシング等各種センサー
・光通信
・自動運転(LiDAR)
・ToFカメラ
・加工装置
・ヘルスケア
など

AGCのセラミックパッケージ基板は、端面発光レーザー(EEL:Edge Emitting Laser)や垂直面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity SEL)の他、各種構造の半導体レーザーに対しても、近年のレーザーチップの高出力化に要求される高い放熱性を持たせた設計が可能です。特に、自動運転システム等における3Dセンシングで用いられる垂直面発光レーザー(VCSEL)には、高い放熱特性や高い信頼性が要求される為、AGCのセラミックパッケージ基板が注目されています。また、LiDARなどの3Dセンシングでは、反射率の高い白色タイプではなく、反射率の低い黒色タイプを使用することで迷光を抑制することができます。
更に、その高い気密性により、気密の必要な各種ガスセンサー、MEMSセンサー用等などのアプリケーションのセラミックパッケージにも適用可能です。

AGCのセラミックパッケージ基板は、LTCCプロセスで作製されます。グリーンシートに銀(Ag)などの金属でパターンを形成し、積層させたのちに焼結されます。容易に多層化できるので内層配線や、3次元回路の形成が可能です。これによりパッケージの小型化や、表面実装デバイスを配置したパッケージなどの柔軟な設計も可能になります。

また、AGCでは、パッケージ基板のみならず、例えば、平板型やキャビティ型といった形状のリッド(蓋)や、低温封止が可能なシール方法、素子基板にメタライズ並びに金めっきが不要なシール材など、主にエレクトロニクスの多くの場面(絶縁、気密、保護等)で使われている様々なパッケージ関連製品並びに技術の提案が可能です。

表. AGCが提案可能なLDパッケージ構成の例

蓋の種類 端面発光型(EEL) 垂直面発光型(VCSEL)
平板型
リッド
キャビティ型
リッド
or
or
選択可能なシール方法
AGC ハンダ
Au-Sn ハンダ
ガラスフリット
AGC ハンダ
Au-Sn ハンダ
ガラスフリット

上記構成以外にも、リッド(蓋)にドーム型レンズを一体化して損失の少ない配光制御、場合に応じて拡散性や低反射性を付与することも可能です。柔軟に対応いたしますので、ぜひとも、ご気軽に下記フォームよりご相談ください。