ウェーブガイド材料|AR/MRグラス向け|高屈折率ガラス

AR/MRグラスの実用化が進む中、ウェーブガイドの性能はユーザー体験を大きく左右する重要な要素となっています。広視野角や高輝度といった光学性能の確保、装着性とデザイン性の両立、さらには耐久性や量産性の確保まで、多岐にわたる課題が存在します。こうした中で注目されるのが、高屈折率ガラスです。優れた光学特性と安定性を兼ね備えたガラス材料は、次世代デバイスの課題解決に大きな役割を果たしつつあります。

AR/MRグラスのウェーブガイド開発・製造における技術課題

ウェーブガイドとは

AR/MRグラスにおけるウェーブガイドは、ディスプレイの光を内部で全反射させつつ伝送し、目の前に自然に映像を重ねる役割を担います。入射部・出射部を通じて光を導入・拡散し、現実の視界に違和感なく映像を加えられます。

さらに、回折格子やホログラム構造の設計により広視野角や高画質を確保し、屋外でも見える明るさや色再現性を可能にします。

AR/MRグラスの小型・軽量化を支え、快適なユーザー体験を決定づける重要な技術です。

光学性能の確保(広視野角 (FoV)、画像輝度の確保)

ウェーブガイドの開発では、広い視野角と十分な輝度を両立させることが最大の課題となります。広視野角化を進めるほど光の伝送経路が複雑になり、解像度の低下や歪み、色ズレが発生しやすくなります。また、屋外での利用を考えると高い輝度が不可欠ですが、導波過程での光損失によって映像が暗くなる傾向があります。

ここで素材の透過率や光散乱特性は大きな影響を及ぼし、透明性や低損失性が性能の成否を左右します。そのため、素材選択の最適化が不可欠です。

装着性と商品デザインの両立(厚みや重量を最適なものにする)

軽量で薄型の設計はAR/MRグラス全体に共通する課題ですが、ウェーブガイドはその厚みや重量に大きく寄与する要素です。

そのため素材の密度や剛性は装着時の快適性やデザインの自由度に直結し、同じ光学性能を実現する場合でも素材によってデバイスの印象や扱いやすさが変わります。したがって、グラス全体のデザイン要件を満たすためには、ウェーブガイドの素材特性を踏まえた構造設計が欠かせません。

耐久性の確保(耐熱・耐湿・耐傷)

耐熱性・耐湿性・耐傷性といった長期使用の信頼性もまたAR/MRグラス全体の課題ですが、その中でウェーブガイドは利用時に直接外界に接するため、性能維持に直結する重要な要素です。

素材が持つ安定性や表面特性は耐久性に大きな影響を与え、例えば湿度や温度変化への耐性、日常使用での擦れや衝撃への強さは寿命を左右します。そのため、素材選択に加えて、表面処理や補強技術を組み合わせることで、グラス全体の信頼性を高めることが求められます。

高屈折率ガラスをウェーブガイド材料として活用する利点

他素材との比較

ガラスは光学性能と耐久性に優れる一方で、重量や衝撃耐性が弱点です。現状では、高性能を重視すればガラス、軽量・デザイン性を重視すればポリマー、特殊高精度用途では結晶、という棲み分けがなされています。

特性 ガラス 樹脂(ポリマー) 結晶(主にSiC)
光学性能 高屈折率・高透過 中屈折率
特に広視野角で色収差が課題あり
非常に高屈折率や特殊波長特性
耐久性 摩耗・経年劣化に強いが割れやすい 割れにくいが摩耗・紫外線・湿度に弱い 高いが脆性がある
加工性 適度な硬さで精密研磨が容易。最も加工性が高い 射出成形が可能 難加工・高コスト
生産性 比較的量産性あり
(研磨工程が必要)
射出成形による大量生産が容易 難加工・量産不向き
環境耐性 低(湿度・紫外線に弱い)

薄厚で広視野角を実現 → 設計(デザイン)自由度が高まる

ガラスは高い透明性と光学的安定性を備えており、薄く加工しても十分な強度を維持できます。一方、ポリマーは薄くすると形状保持が難しく、光学性能や外観に制約が生じます。

また、光学特性はある程度の厚みを持たせた方が得やすい反面、厚くなりすぎると重量が増してしまうため、強度・光学性能・軽量化のバランス設計が重要となります。

薄型化のニーズは主にデザイン性の観点から生まれるものであり、ガラス基板を用いることで、スタイリッシュな外観と快適な装着感を両立させつつ、広い視野角と没入感のある映像表示を実現できます。

ガラスなので、低吸湿・高剛性・耐薬品性を実現

ガラスはポリマーに比べ吸湿性が低く、湿度変化による寸法変動や光学特性の劣化がほとんどありません。

また高剛性を備えているため、変形や歪みが生じにくく、光学性能を長期にわたって維持できます。加えて耐薬品性にも優れているため、外部環境の影響を受けにくく、日常使用においても高い信頼性を発揮します。

AGCが提供する高屈折率ガラス

AGCの高屈折率ガラス基板は、AR/MRグラスやHUDなどといった次世代ディスプレイに使われるガラス基板として、広視野角且つ画像鮮明性に必要な全ての特性を備えています。

高屈折率による広視野角の実現

当社の高屈折率ガラス(n > 1.7)は、全反射臨界角を拡張することで従来以上に広い視野角を実現します。これにより、ARグラスやHUDにおいて没入感が大幅に向上し、ユーザー体験を高めます。一般的な光学ガラスでは難しい視野拡張を可能にすることで、次世代ウェーブガイド設計において高い自由度を提供します。

高透過率と光学品質による鮮明な映像伝搬

ウェーブガイド

内部透過率95%以上の高い透明性に加え、TTV≦0.5µm、表面粗さ≦0.5nmという高精度加工を実現。これにより導光時の損失を最小限に抑え、映像の明るさ・色再現性・解像度を余すところなく引き出します。さらにガラス特有の高い均質性が、ウェーブガイドを通した映像を歪みなく再現し、AR/MRデバイスに必要な「鮮明で自然な表示体験」を可能にします。

関連情報

AR/MRグラス向け高屈折率ガラスウエハの開発

当論文は、AR/MRグラス用に最適化された高屈折率ガラスウエハ(M100)を、組成設計と溶解技術の工夫によって高い透明性・軽量性などを保ちながら開発したことを報告するものです。

CES 2025 Innovation Awards®のXR技術部門で「M100/200シリーズ」が表彰されました。

AGCの「M100/200シリーズ」は、CES 2025 Innovation Awards®のXR技術部門で表彰され、その透明性や屈折率、均一な表面品質により、AR/MRグラスの視野、鮮明さ、画像精度を大幅に向上させる次世代光学素材として高く評価されました。

製品に関するお問い合わせ・資料請求