2019.07.24 弊社千葉工場の地質汚染対策発表資料のまとめ

AGC株式会社

はじめに

千葉県市原市の弊社千葉工場(以下、AGCと記します)では、2001年5月14日に敷地内の揮発性有機化合物(VOCs)による土壌・地下水汚染の状況および今後の対策について報道発表をいたしました。
これ以降、サイトレポートでは本件についてのその後の調査・浄化対策の進捗についてご報告してまいりました。

この度、これまで報告したサイトレポートの報告内容を整理して、概要を再掲載することといたしました。

サイトレポートを整理し概要をまとめるにあたって、あらためまして2001年の報道発表から、現在に至るまで、関係者の皆様からの適切なご指導、アドバイスにたいして深く感謝申し上げます。

  • 公表までの経緯

    1994年、旭硝子(株)及び旭ペンケミカル(株)(以下APCと記します。APCは旭硝子と合併し、現在のAGC(株)に至る)はアルカリ水の岸壁からの漏洩防止措置として、両社千葉工場敷地の北側から東側にかけての海岸線沿いに鋼矢板による遮水壁を設置し、遮水壁内側の地下水位を一定に維持するために揚水処理を計画しました。
    この時点で県・市の指導を受け、両社工場の揮発性有機化合物製造履歴を踏まえ、アルカリ水と併せて揮発性有機化合物の処理が可能な揚水・浄化設備を設置しました。
    揚水を開始したところ、揚水中に揮発性有機化合物が含まれていることがわかりました。
    調査の結果 揮発性有機化合物が地下浸透しているエリアを確認し、その部分が遮水壁の設置範囲内に限定されると判断し、この揚水処理設備による浄化を継続して実施してきました。
    その後、1997年に地下水汚染に対する水質汚濁防止法の規制が強化され、さらに1999年に環境庁(当時)より「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び同運用基準」が公表されました。これまでの経緯から市原市の助言もあり、「指針」に基づいて土壌・地下水を調査することを計画し、社外の専門調査機関と連携して2000年3月より2001年4月にかけて調査いたしました。
    その結果、土壌・地下水汚染が深部にもあることを確認し、対策案を含め、千葉県・市原市に報告しました。

  • 公表内容

    1. 2-1 汚染の調査結果
      敷地内の地下水を調査した結果、地下水汚染は浅部、深部共に敷地内の北東部のAGC有機エリア及びAPCエリアに分布していることがわかりました。
      地下水汚染濃度は、深度12m程度に存在する水 を透しにくい粘土層よりも上部の地下水で最も高く、1,2-ジクロロエタンが地下水環境基準の130,000倍、テトラクロロエチレンが同9,500倍、トリクロロエチレンが同8,700倍、ジクロロメタンが同1,100倍、四塩化炭素が同390倍を示すことがわかりました。
      しかしながら、これら浅部における高濃度地下 水汚染は、いずれも遮水壁及び揚水井戸に向かって地下水が流れる範囲に分布しているため、現状の遮水壁で遮断されており敷地境界外へは拡散していないと考えました。
      また、地下水汚染は深部でも発見され、深度38m付近の地下水ではテトラクロロエチレンが地下水 環境基準の4,100倍、トリクロロエチレンが同3700倍、1,2-ジクロロエタンが同550倍を示していることがわかりました。
      図-1に既設の遮水壁・揚水井戸設置位置及び地下水汚染の最高濃度検出地点を示します。
      なお、深度38m以上(100m程度)でも地下水汚染を検知していますが、非常に局所的であることを確認しております。
      さらに深部における地下水の移動はきわめて小さいことを確認しております。

    2. 2-2 周辺環境影響調査
      両社工場岸壁より採取した海水について分析した結果では、すべて環境基準値を下まわっていました。
      また、内陸方向への影響については、国道16号線沿い緑地帯の土壌ガス調査を実施しましたが不検出でした。以上のデータから、敷地外への汚染はないと、判断しました。

      汚染原因
      これまで社内で原因究明した結果、過去に使用していた地下配管からの漏洩があったことを確認しています。その他、設備の不具合及び容器・機器類の取り扱い中に誤ってこぼしたことが原因であったと推定しています。
      これらの地下配管については、既に地上化し、さらに、設備の改造、取り扱い方法の改善により、現在では、新たな漏洩は発生しておりません。

  • 対策検討委員会の設置と審議

    汚染の拡散防止、浄化対策について、市原市環境部をはじめ、千葉県環境生活部、旭硝子及びAPC(当時の呼称。現在はAGC(株))が協議を重ねてきましたが、技術的に十分検討すべき問題があるとの共通認識から2001年7月から専門的な知識を有する学識経験者を交えた「検討会」を設置し、検討を行うこととしました。
    検討会は、2003年3月27日に開始された「第16回対策検討会」においてこれまでの審議の集大成として「対策検討会報告」として取りまとめるに至りました。
    下記にこの「報告」の中で了承された今後の進め方について概要を示します。

    1. <汚染機構解明調査・浄化対策について>
      汚染機構解明及び浄化対策に関する基本方針、及び作業方針に基づき当面は第1上部帯水層の高濃度部の浄化に傾注し、第3帯水層の汚染機構についても解明してまいります。また、逐次新技術などを検討、採用することによって、より効率的な浄化対策が出来るように努力してまいります。

    2. <遮水壁設置について>
      遮水壁設置に関しては、技術的な諸問題について種々検討を重ね、2002年12月末に設置を完了致しましたが、「対策検討会」において示された安全性、遮水効果などの指摘事項について、今後ともモニタリングを継続して実施し、検証してまいります。
      なお、この「報告」の中で、「対策検討会」発足の所期の目的が達成できたとの共通認識が得られたことから、今後は両社が検討会で示された指摘事項・留意事項について充分配慮しながら浄化対策を実施し、必要に応じて学識経験者と行政へ報告し、助言を仰ぎながら進めることとなりました。

      2001年12月28日  対策検討会 中間報告(PDF 14KB)
      2002年07月22日  対策検討会 第2回中間報告(PDF 244KB)
      2003年03月27日  検討会報告 (PDF 117KB)

  • その後の進捗

    1. <汚染機構解明調査および浄化対策について>

    2. 4-1 第1上部帯水層の浄化対策状況について
      表層ガス調査の結果から、高濃度汚染範囲を抽出し、揚水等による浄化を開始しました。
      図-2に示しますACMエリア、旧APCエリアともにウエルポイント工法による、ガス吸引と揚水を併用した浄化対策とモニタリングを継続しております。
      対策深度は、概ねGL-3m付近に約1~30cmの層厚で分布するシルト層以浅です。
      遮水壁揚水井については、第1下部帯水層、および第2帯水層の各深度にそれぞれスクリーンを設置し2003年4月から全揚水井の揚水を開始しました。

    3. 4-2 第3帯水層の地質汚染確認調査について
      図-3に示します地点において、公表当初深度100m程度で汚染が確認されたとした、第3帯水層の地層汚染診断を改めて行うことを目的として、慎重にボーリング調査を実施しました。
      その結果、第3帯水層においては環境基準を超過する汚染は認められませんでした。
      図-4を参照して下さい) この結果から判断しますと、第3帯水層で汚染の確認されたBW5-D、BW6-Dの両観測井については、ボーリング施工時に第2帯水層の汚染を第3帯水層に引き落とした可能性が高いこと、かつ現時点においても汚染が移動している可能性を完全には否定できないことから、改修工事を実施することとしました。
      改修工事方法として、BW5-D、BW6-Dの両観測井の外周を慎重に掘削した後に、その井戸管を撤去し、同位置に新たな井戸を設置し直す方法を採用します。
      図-5に工事の概念図を示します)

< その他 >

日本ビルダー株式会社敷地の汚染機構解明調査について

弊社千葉工場内の日本ビルダー株式会社(以下、NBKと記します)は、2008年12月に操業を停止し、当敷地をAGCに返還する計画を契機に、2008年7月末から地質汚染調査を実施しました。その結果、フッ素が土壌・地下水環境基準を超過、砒素が地下水環境基準を超過していることを確認しましたので、2008年10月に市原市に報告いたしました。
また、環境基準項目ではありませんが、リンも地下水中に高濃度に含有していましたので併せて報告しております。
フッ素、リンの汚染原因は、1969年の創立から1992年停止までの23年間にわたり稼動したトリポリリン酸ソーダ製造に由来するものです。
その原料のリン酸中には燐鉱石に由来するフッ素が含有していました。ただし、砒素についての使用履歴は確認できておりません。
なお、NBK敷地境界に観測井を設置し、地下水環境基準物質全てを分析しましたが、その他の物質で環境基準を超過するものはありませんでした。
NBKプラントは撤去工事後、雨水の地下浸透を抑止するために全面舗装を完了しております。

【 お問い合わせ窓口 】

AGC株式会社 千葉工場 総務グループ 
TEL 0436-23-3121

AGC株式会社 広報・IR部 広報チーム 
TEL 03-3218-5603