東海道新幹線で採用
AGCの5G対応透明ガラスアンテナ

列車内Wi-Fiの通信品質向上を支援し、
より快適な乗客体験に貢献する
鉄道車両向けガラスアンテナです。
高まる通信品質へのニーズ
移動中の情報取得や各種サービスの利用が一般化する中で、安定した通信環境への需要が高まっています。
列車内でも、Web会議やクラウドサービスの利用、訪日客による情報検索や予約・決済など、通信が途切れると支障をきたすサービスが日常的に利用されています。
そのため、列車内で提供されるWi-Fiサービスには、単に接続できるだけでなく、高速移動中でも快適に利用できる通信品質がこれまで以上に求められています。
5G対応透明ガラスアンテナとは - 通信品質向上の新たな選択肢
電波の“取り込み方”を見直すアプローチ
車内Wi-Fiの通信品質向上策として、 例えば4G対応から5G対応の通信機(Wi-Fiルーター)への交換など、通信機器の高性能化が考えられます。しかし、高性能な通信機を設置しても、沿線基地局との電波のやり取り(送受信)をいかに効率よく行うかという課題が残ります。
AGCの「5G対応透明ガラスアンテナ」は、窓に透明アンテナを組み込んだ鉄道車両向けガラスアンテナです。その特長は、電波を取り込む場所として「窓」を活用している点にあります。
1.電波の出入り口である「窓」は、電波の送受信に適した場所
鉄道車両のボディは金属製のため、沿線基地局からの電波(4Gや5G)を遮蔽します。そのため、電波が車内外を行き来できる出入り口は、「窓」となります。しかし、窓から入ってきた電波は、車内の壁や床などにぶつかって跳ね返ったり、回り込んだり(反射・回折)しながら車内のWi-Fiルーターへ届きます(※1)。その過程で電波が弱まり、通信の途切れが起きる確率が上がる要因の一つになっていました。
これに対し、5G対応透明ガラスアンテナは、窓に組み込まれたアンテナが沿線基地局と電波をやり取り(送受信)します。窓が送受信する信号は、配線で直接Wi-Fiルーターへ導かれるため、車内での反射・回折の影響を受けにくく(※2)、電波が弱まるのを抑えることに寄与します。その結果、通信の途切れを抑えることが期待できます。
※1:このような通信状況を「非見通し通信(NLOS:Non-Line-of-Sight)」と呼びます。
※2:このような通信状況を「見通し通信(LOS:Line-of-Sight)」と呼びます。一般的にLOSはNLOSに比べ、高い平均通信速度が得られると言われています。
従来
窓から入った電波は、
車内で反射・回析する過程で弱まる※画像にカーソルを合わせるとアニメーションが始まります。
5G対応透明ガラスアンテナ
窓のアンテナで受信した電波は、
直接Wi-Fiルーターに導かれ、弱まりにくい※画像にカーソルを合わせるとアニメーションが始まります。
2.「窓」は、アンテナを分散配置しやすい場所
加えて、窓は複数のアンテナを配置しやすい部位です。比較的大きな面積を活用できるため、5G対応透明ガラスアンテナでは、複数のアンテナを十分な間隔をもって配置(=分散配置)できます。分散配置されたアンテナで送受信することで、一部のアンテナの電波状況が悪化した場合でも、他のアンテナで補完しやすくなります。
走行中に変化する電波の強さ
走行する列車のアンテナが受信する電波の強さは刻々と変化し、時間や場所でも大きく変動する※画像にカーソルを合わせると
アニメーションが始まります。
従来
アンテナが集中配置され、受信する電波が似通い、通信できない瞬間が発生する
5G対応透明ガラスアンテナ
アンテナが分散配置されることで、それぞれが異なる電波を受信でき、安定した通信につながる
こうした特長により、5G対応透明ガラスアンテナは高速走行時における安定した通信環境づくりを支援します。
その結果、より快適な車内Wi‑Fiサービスの提供につながり、乗客サービスの向上に貢献します。
通信品質だけではない、車両設計面でのメリット
5G対応透明ガラスアンテナの特長は、通信品質向上だけではありません。窓を活用する構成であるため、車両設計や運用面にもメリットがあります。
・車窓からの景観や開放感に配慮した設計
アンテナは微細なメッシュ構造を採用しているため目立ちにくく、車窓からの景観や開放感への影響を抑えます。
・車体外側への突起物を増やさない設計
車内Wi-Fiの通信品質向上策として、アンテナを車外(例えば屋根上など)に設置する方法も考えられます。しかし、アンテナは車体の突起物となるため、損傷のリスクや空力特性・風切り音への影響が生じる可能性があります。 5G対応透明ガラスアンテナは窓と一体化しているため、新たな外部突起物を追加する必要がありません。
・既存車両への導入も可能
既存車両でも、窓ガラスを交換することで導入可能です。車体構造に大きな変更や加工を施す必要がないため、防水設計やメンテナンスへの影響を抑えられ、導入負担の軽減につながります。
また、全車両への一斉導入でなく、通信品質向上ニーズの高い車両やプレミアムサービス向け車両から段階的に展開することも可能です。
※具体的な工事内容や設計要件は、車両条件によって異なります。また、ガラスアンテナは通信システムの一部であり、導入にあたっては5G対応Wi-Fiルーターや、ガラスアンテナとWi-Fiルーター間の配線の検討などを含めたシステム全体の検討が必要です。導入可否や導入方法は、個別にご相談ください。
導入に向けた技術支援
AGCは、自動車窓・鉄道窓の設計・製造ノウハウと、約50年にわたるガラスアンテナ開発の経験を活かし、5G対応透明ガラスアンテナの導入検討から実装までをサポートします。
・初期検討・要件整理
対象車両の条件(車体構造・窓仕様など)や通信機器の構成を考慮しながら、導入可否や検討の進め方を整理します。
あわせて、アンテナ搭載位置やシステム構成について、車両条件に応じた提案を行います。
・実証実験・評価
通信品質の評価方法や試験条件の策定を行い、効率的な実証実験を支援します。
また、日本国内での評価に加え、欧州・北米のアンテナ開発チームとの連携により、海外案件にも対応可能です。
・設計・実装支援
車両構造や窓仕様に応じたアンテナ構成の設計や、車載機器との接続を踏まえた技術支援を行います。3D CADなど設計データを用いた検証にも対応し、実装設計、仕様調整、認証取得まで一貫して支援します。
導入事例東海道新幹線 Supreme Class
AGCの5G対応透明ガラスアンテナは、東海道新幹線 N700S の一部車両に導入されるSupreme Class(個室タイプ)の窓に採用されています。
移動中のオンライン会議など、高い通信品質が求められる利用シーンを想定し、より良好な通信環境に向けた検討の一環として採用されました。また、窓からの眺望を損なわない構成である点も評価されました。
東海道新幹線 Supreme Classへの導入に至った経緯や検討のポイントについて、JR東海様とAGCの対談記事で詳しくご紹介しています。
導入検討時によくあるご質問
- Q電波の受信・送信性能は、従来方式と比べてどの程度改善されるのですか?
- A改善効果は、運行環境や車両構造、通信機器構成によって異なります。AGCでは、お客様の想定される条件に合わせた通信シミュレーションや評価支援を行っていますので、ご相談ください。
- Q時速何km程度までの安定通信が可能ですか?
- A東海道新幹線の営業運転速度において、通信性能の評価・検証を実施しています。
- Qトンネル区間でも安定性は向上しますか?
- Aトンネル内の通信環境は、沿線に設置された基地局の電波状況に依存します。ただし、基地局からの電波が存在する区間においては、電波を効率よく車内に取り込むことで、限られた電波を有効に活用できます。
- Q5G以外にも対応できますか?
- ALTE、4Gにも対応します。対応可能な周波数や仕様については、想定する通信環境に応じてご相談ください。
- Q既存車両に導入済みWi-Fiシステムのアンテナのみを、5G対応透明ガラスアンテナに変更することは可能ですか?
- A可能です。既存の通信機器構成や仕様との整合が必要となるため、システム事業者様と連携しながら、最適な構成を検討します。
- Q新造車両では、どの段階から検討すべきですか?
- A初期設計段階からご相談いただくことで、車体構造や通信構成との整合を図りやすくなります。
まずは「検討テーマとして成立するか」の見極めから。
導入可否の確認や初期段階の要件整理からご相談ください。
AGCの鉄道向けソリューション
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WAVETHRU™ レトロフィット
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断熱コーティングされた窓ガラスでは、電波が遮られる影響により、列車内の通信が不安定になりやすい傾向があります。
WAVETHRU™ レトロフィットは、レーザー加工によって電波を通しやすくすることで、断熱性能を維持したまま最大25dBの通信改善を実現します。断熱コーティングのない窓と同等レベルの通信環境の構築が可能です。
既存の窓ガラスに直接施工できるため、大きな構造変更を伴わず短時間での導入が可能です。欧州の鉄道で幅広く採用されています。
