自然共生社会構築に向けて

基本的な考え方

 生物多様性を含む自然資本はAGCグループの価値創造を根底から支える経営資源の一つです。その健全性を保つことは事業継続に不可欠であると認識しているため、バリューチェーン全体において事業活動が自然資本に及ぼす影響因子を管理し、環境負荷の最小化に努めています。このような考えの下、自然共生社会の実現に向けては、環境事故防止、水の適正な利用、汚染物質の削減などさまざまな観点から課題を特定し、短期的なKPI達成を目指しつつ中長期的な目標設定に向けて活動を推進しています。また、マイナス影響の軽減にとどまらず、自然資本の回復に寄与することも目指しています。

AGCグループと自然資本・生物多様性との関係性

 AGCグループの事業と自然資本・生物多様性との依存・影響関係を概観するために、Natural Capital Finance Allianceが提供するENCORE、WWFが提供するBiodiversity RiskFilter (表中BRF)、Science Based Targets Networkが提供する、Materiality Screening-Tool(同MST)を用いて直接操業の範囲における分析を実施しました。AGC代表製品種の操業(ガラスおよび基礎化学製品の製造)においては、水資源への依存、資源採掘、GHG排出、廃棄物排出、汚染物質排出(大気、水質、土壌)による生態系影響が大きいことが明らかになりました。

AGCグループの事業と自然資本・生物多様性との依存・影響関係

バリューチェーンと自然インパクトの関係性

バリューチェーンと自然インパクトの関係性

自社活動 各ツールが示す自然資本への影響と依存 目標 指標
ENCORE BRF MST
依存 水資源利用 地下水の利用/
地表水の利用
水不足 未定 事業別、取水源別水使用量
影響 水資源利用 水源の利用 水源の利用
GHG排出 GHG排出 GHG排出 2030年にScope 1, 2, 3のGHG排出量を2019年比30%減 GHG排出量
廃棄物排出 固形廃棄物 固形廃棄物 2025年に埋立処分率を1%未満に 廃棄物量、埋立処分率
汚染物質排出 GHG以外の大気汚染物質/
土壌汚染物質/
水質汚染物質
汚染 土壌汚染物質/
水質汚染物質
未定 汚染物質排出量、製品含有化学物質の適切な管理
鉱物資源採掘/
土地利用
陸域生態系の利用 森林面積の喪失 陸域生態系の利用/
淡水生態系の利用/
海洋生態系の利用
未定 未定

保安防災

基本的な考え方

 地域社会で事業を展開しているAGCグループは、保安を確保することが持続可能な成長に向けた大前提であると認識しています。この考え方の下「AGCグループ保安防災方針」を制定し、保安防災に関する各種施策を推進しています。

マネジメント体制

 「AGCグループ保安防災方針」の下、事故などの危機(不測の事態)の未然防止はもとより、直面した危機に対して迅速かつ的確に対応できる対策を進めることで、事故の拡大防止を図ります。
 保安防災活動は、PDCAサイクルを回すことで、事業活動におけるリスク低減・予防措置の強化を進めています。統括組織である環境安全品質本部が当年の活動計画を立て、各事業部門などがその活動計画に基づいた火災予防や保安事故対策、自然災害のリスク対応を進めているほか、内部監査などで実施状況をモニタリングし、継続的に改善しています。
 化学品事業においては、千葉工場、鹿島工場が経済産業省による高圧ガス認定事業所に認定されています。高圧ガス認定事業所では、より高度な自主保安を推進するため、CEOをトップとし、環境安全品質本部長およびカンパニープレジデントを保安担当役員とする保安管理マネジメントシステムを構築しています。