高屈折率ガラス基板の応用事例

AGCの高屈折率ガラス基板

AGCは従来より、次世代デバイスであるAR/MRグラスに対して、半導体パッケージ用ガラス基板や様々な特性を持つ光学電子部品を開発・提案しています。ガラス導光板に使われる基板開発についても数年前より着手しており、現在ではAR/MRグラス向けの高屈折率で高透過のガラス基板の開発に成功し、量産体制を整えています。
AR/MRグラス向けのガラス基板には、視野角を拡大することができるよう“高屈折率であること”や、画像を鮮明にみせるために“高透過率であること”が要求されているほか、高平坦性や表面の平滑性など、画像を精度高く伝搬させるために高度なガラス加工技術も求められます。AGCが開発した高屈折で高透過のガラス基板は、こうした特性を全て兼ね備えた製品です。AGCグループにおけるガラス製造拠点において本製品を量産し、AR/MRグラス市場に限らず、車載向けなど、その他の市場に対しても幅広く製品の可能性を追求しています。

M100シリーズは通常のガラスと比較して、高い屈折率をもっています。このため、内部を導光する光の臨界角は小さくなり全反射される角度範囲が広くなります。またM100シリーズは高い透過率も備えているため、より損失なく光を伝搬させることができます。映像は光としてガラス基板内を伝搬するため、クリアな映像を投影するためにこのような物性が重要です。

高屈折率ガラス基板を使った応用事例

AR/MRグラスの導光板にM100シリーズを応用すると、取り込める映像領域を広くすることができ、かつ、クリアで鮮明な映像を導光させることができます。結果として、高い臨場感をもったAR/MR体験を実現できます。図は回折素子タイプのAR/MRグラス導光板の典型的な光学系です。LCD(Liquid Crystal Display),LCOS(Liquid Crystal on Silicon)等によるマイクロディスプレイから出力された映像は、レンズで集光されながら導光板に入射されます。導光板には入力部回折素子(In-coupling Grating)と出力部回折素子(Out-coupling Grating)が形成されており,ディスプレイ側から入射した映像は入力部回折素子で回折され導光板を面内方向に進みます。導光板の中を全反射しながら着用者の眼の前まで導かれた映像は、出力部回折素子により再び導光板の外へ進路を変えて、着用者の眼に導かれます。広い視野の映像を送ろうとした場合、通常のガラスでは光の臨界角が大きいため、高入射角度でインプットされた映像の一部分が伝搬中に失われてしまいますが、ガラスの屈折率を大きくすることで、画像を全て伝搬させて同じサイズの映像を導光させることができます。出力される映像の画角を視野角と呼びますが、通常のガラスを用いた場合に比べ、高屈折率のガラスを用いた場合で、出力される視野角が高くなっていますが、結果としてより臨場感のある映像を映すことができることが分かります。また、視野角だけでなく、反射を繰り返して伝搬する映像を乱れないようにするためには、高平坦さや、表面の平滑性などの高度なガラス加工技術も重要となってきます。

■ 一般的なガラスの場合 (n=1.5)
■ 高屈折率ガラスの場合 (n=2.0)