2013.02.28 弊社鹿島工場の土壌・地下水汚染対策について(その3)

旭硝子株式会社は、2006年4月26日、弊社鹿島工場敷地内の土壌・地下水調査結果及び今後の対策について、報道発表いたしました。その後も都度、行政のご指導をいただきながら、また地域住民の皆様にご説明しながら、慎重に汚染物質の拡散防止および回収浄化対策を進め、2007年3月及び2009年11月に弊社ホームページに対策内容を掲載しました。今回は、その後の進捗状況についてご報告いたします。

なお、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、プラントヤード内での被害は比較的軽微だったことから、揚水井戸の損傷は認められず、健全性を確認した上で順次復旧しました。一方、工場岸壁近傍では、液状化の現象により揚水井戸、観測井戸が損傷等の被害を受けたため、健全性を確認できないものは、既設の近傍に新たに井戸を掘り直す等の対策を実施し、順次復旧させ、2012年5月に、すべての揚水井戸で揚水を再開しました。また、震災後、揚水井戸が稼働を停止していた間につきましても、工場岸壁近傍の海水・海底土壌の定期分析結果では、引き続き環境基準以下であることを確認しております。

  • 汚染物質の浄化・拡散防止対策
    1. (1)ジクロロメタン・四塩化炭素製造エリアの浄化対策
      このエリアでは、土壌ガス吸引法による井戸を1本設置していましたが、揮発性有機化合物(VOCs)の浄化を加速するためガス吸引用井戸を6本増設し、2007年7月から計7本で浄化を開始しました。吸引したガス及び揚水中のVOCsは、既設の焼却施設で分解し無害化しています。なお、これまでの5年間で回収したVOCsは約5.1トンです。
    2. (2)旧フロン113,123製造エリアの浄化・拡散防止対策
      このエリアでは、揚水井戸を2本設置していましたが、浄化・拡散防止を促進するため、新たに西側に2本の井戸を増設し、2007年7月から揚水を行っています。なお、揚水した水は、既設の弊社敷地内の排水処理場で一次処理した後、深芝下水処理場で最終処理しています。
    3. (3)2008年に新たに汚染が検出されたエリア近傍
      上述の汚染浄化対策の一層の加速、強化を図るため、対策を進めている中で新たに汚染が検出されたエリア近傍に揚水井戸を2本設置し、汚染の拡散防止を図っています。さらに、岸壁エリアでは、揚水バリア井戸(注記)を6本設置し、岸壁近傍からの確実な拡散防止を図っています。また、2010年に更に揚水井戸、揚水バリア井戸を1本ずつ追加し、工場岸壁近傍に計3本の揚水井戸と計7本の揚水バリア井戸での汚染浄化対策を実施しています。これらの井戸10本が上述した震災で損傷等の被害を受けた井戸であり、復旧後は計画通り揚水を開始・継続しています。
  • 定期モニタリング結果
    3ヵ月毎の定期モニタリングの結果から、工場岸壁近傍の海水・海底土壌、及び他社工場と隣接する敷地境界付近の調査井戸の分析結果が、引き続き全て環境基準以下であることを確認しています。
  • 表層土壌汚染について
    2006年の報道発表の際にお伝えした土壌の表層の汚染については、行政のご指導に従って順次、土壌の入替えもしくは舗装等による表面の被覆を進め、工場岸壁近傍の1区域を除き、その対策はすべて終了しています。今般、この区域で、製造施設・製造関連施設の増設を予定し、対象面積が3000m2を超えることから、土壌汚染対策法(以下、土対法と略記)4条の申請(3000m2以上の土地の形質変更をしようとする場合の事前届出)を行い、土壌調査を改めて実施しました。その結果、2006年に発表させて頂いた通り、該当区域から、フッ素の表層土壌汚染が確認されましたので、新たに形質変更時要届出区域の指定を受けました。これは、土対法の改正に合わせて、既存の汚染状態を新たに届出したことによるものです。

    今回指定を受けた区域につきましては、汚染の拡散防止に配慮した工法を選定した上で、土地の形質の変更届出書を提出し、製造施設・製造関連施設の建設を行う中で必要な対策を実施する予定です。
    以上、引き続き対策を進めていく所存ですが、今後とも地域住民の皆様にご迷惑をお掛けしないことを最優先とし、将来にわたり周辺への環境面の影響を生じさせないよう努力していくことを此処にお約束しますと共に、ご報告申し上げます。

注記:「揚水バリア井戸」
汚染された地下水の流出を防止する目的の揚水井戸。
揚水により地下水位を低下させ、汚染地下水の流出を防止する。

本件に関するお問い合わせ先

旭硝子株式会社 鹿島工場 総務部長 岡田 光司 電話:0299-96-2215