情報化・IoT社会
の構築

スマートフォンやテレビなど、私たちの身近にあふれている電子機器に必ずと言っていいほど使用されている半導体。その製造工程における重要な部材である「EUV露光用フォトマスクブランクス」や、「CMPスラリー」などを提供しているAGC。最先端の半導体を手掛けるメーカーの難しい要求に、どう応え続けているのか。営業担当に話を聞きました。

高度な電子部材技術で、半導体の進化を支える

「EUV露光用フォトマスクブランクス」「CMPスラリー」
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半導体は、露光という技術を使用して回路を形成することで製造されますが、AGCの「EUV露光用フォトマスクブランクス」と「CMPスラリー」は、いずれもこの回路の形成の際に使用されます。「EUV露光用フォトマスクブランクス」においては、最新の半導体微細化に欠かせないEUV波長(13.5nm)による露光技術に必要不可欠な部材であり、卓越した材料物性と超高平坦度、超低欠点なプロセス技術が要求されます。

「CMPスラリー」は、回路を正確に形成するために必要な技術である「CMP(Chemical Mechanical Polishing)」と呼ばれるプロセスにおいて使用される研磨スラリーで、材料物性や高次元の品質管理が求められています。いずれの部材も、半導体デバイスメーカーに販売しており、世の中にあふれているあらゆる電気製品を動かす半導体を製造するために欠かせない部材です。

「EUV露光用フォトマスクブランクス」

「CMPスラリー」

Interview小林 俊雄

電子カンパニー 電子部材事業本部 アドバンストマテリアル事業部 リソグラフィ部/サーマル部営業グループ マネージャー

AGC製法の特徴を活かし、高品質な半導体分野に進出

AGCは1980年代に合成石英のプロセス開発に成功し、以来、半導体分野での実績を積んできました。当初は半導体露光用フォトマスクの製造販売が主なビジネスでしたが、AGC製法の特徴を活かし、より高品質が求められる半導体露光機用レンズなどの分野に進出。さらに、セラミックス事業で手掛けていた半導体装置向けのSiC部材や、化学品で行っていた半導体用「CMPスラリー」、最近では技術本部で手掛けていた「EUV露光用フォトマスクブランクス」などの事業を統合することにより、半導体分野のお客様とのより強固な関係を築いてきています。

私は2011年に入社後、一貫して半導体業界のビジネスに携わっています。これまでに「EUV露光用フォトマスクブランクス」や「CMPスラリー」などの製品を担当。現在はリソグラフィ部にて合成石英ガラスと、サーマル部にてSiC部材の本社営業窓口を担当しています。AGCの製品は、半導体を製造する際に使用される部材で、お客様は半導体メーカーや半導体装置メーカーが多くを占めます。営業担当の主な役割は、品質、技術、価格、納期に関するお客様からのご要望を受け、社内の各担当を巻き込みながら解決への舵を取ること。新規用途やお客様への拡販、今後のビジネス発展のための社内の業務改善や組織最適化などにも関わっています。

お客様と“One Team”で半導体の安定供給を支える

AGCの半導体向け部材のお客様は、世界的なリーディングカンパニーばかりです。先端技術で業界を牽引するお客様側からいただく品質改善のご要望は、難しいチャレンジであり、期待に応えることが私たちにとって大きな成長の機会になっています。とくに、半導体の最先端の世代を製造するプロセスは、複雑かつ高度な技術が求められます。ときにはお客様側で発生した問題の原因がわからないまま、早急な解決を図らなくてはいけない場面にも遭遇します。不確実な状況から、お客様と当社が一丸となって仮説と検証を繰り返し、解決策を見出せたときの達成感は非常に大きいです。

お客様も私たちAGCも、目指しているところは「半導体の安定供給」です。見据えるゴールは変わらず、お客様と“One Team”となり協力していくことで、人々の生活を支えていけると考えています。

スマートフォン、パソコン、テレビといった私たちの身の回りにあふれている電子機器・家電に必ずと言っていいほどに使用されている半導体。その中にAGCが開発・製造する部材が使用されています。

総合素材メーカーだからこそ幅広い知見とノウハウがある

AGCの電子部材は、私たちが使用しているあらゆる電気製品の製造に欠かせないものです。昨今は、スマートフォンやパソコンはもちろん、AI、IoT、5G、電気自動車、AR/VRなど、電子・通信機器の目覚ましい発展に伴い、お客様からの技術的な要求も高まっています。AGCは、電子部材に限らない総合素材メーカーであるからこそ、様々な知見や経験を活かしてお客様をサポートするリソースが揃っています。そこは大きな強みであると考えています。

日々、技術の最先端を走っているお客様とやりとりできること、担当している部材によって製造された半導体が、多種多様な新しい電子機器に搭載されていくことに、大きなやりがいを感じます。営業は、製品づくりに関わっている社内関係者の想いを背負って、会社の代表としてお客様とコミュニケーションを重ねます。責任を感じるとともに、誇りを持ちながら取り組んでいます。

サステナブルな社会の実現へ、カギを握るのは半導体の性能向上

電子部材のサプライヤーとして、お客様である電子デバイスメーカーのご要望にお応えすることは欠かせません。これからはさらに、お客様や世の中の人々が必要とするモノや機能を予測し、必要な製品を先んじて開発していくこと、既存の製品に性能を付加していくことが重要になってくるでしょう。

電子部材、電子機器の成長は、社会の発展により多くの新しい価値をもたらすことができると思っています。情報の通信技術が発展すれば、一度に大量の情報を、より遠くに安定的に伝えることができるようになります。先進国と新興国で得られる情報が平等となり、教育の格差をなくすことにもつながるでしょう。医療や農業の世界では、IoTの技術が発展していくことで、遠隔で高精度の管理が実現できるようになります。また、自動運転の精度が向上すれば、より安全な交通環境が生まれますし、電気自動車が普及していけば、CO2排出の抑制にもつながります。

これらの発展のすべては、半導体の性能向上がカギを握っていると言っても過言ではありません。昨今のパンデミックや、持続可能な社会への注目が高まっている影響で、人々の生活様式や価値観が大きく変わる中、電子部材に求められる性能も変わってきています。その要求に応えていくだけでなく、部材サプライヤーとしての立場を超えて、様々な可能性を提案していくことで、今まで以上に世の中に貢献していくことができると考えています。総合素材メーカーである強みを活かし、化学品やガラスなど、電子部材以外の技術ともコラボレーションを進めていくことで、より大きな力を発揮できると考えています。

電子部材の事業を通じた情報化・IoT化の可能性
Possibility