社会インフラの
整備

インフラ基盤から身近な生活用品にまで不可欠なクロール・アルカリ製品。国内需要が高まるベトナムで塩化ビニルの製造・販売、苛性ソーダの販売を手掛けるAGCケミカルズ・ベトナムでの試み、今後の取り組みについて現地の従業員に話を聞きました。

クロール・アルカリ事業を通じて、ベトナム産業の伸長をもたらす

苛性ソーダ・塩素を中心としたクロール・アルカリ製品
Pick Up

塩水の電気分解により製造される苛性ソーダや塩素を中心とするクロール・アルカリ製品群で高いシェアを有するAGC。日本国内にとどまらず、1960年代にタイ、1980年代にはインドネシアで電解工場を稼働させるなど、早期から国際展開を進めてきました。東南アジア市場の需要拡大に対応し、2014年には、現地の有力な塩化ビニルメーカーを傘下に収めてベトナムにも進出。現在AGCは、東南アジアにおける苛性ソーダNo.1メーカーとして高いプレゼンスを確立しています。

Interviewダン・トゥン・ラム

AGCケミカルズ・ベトナム グループリーダー

ベトナムで増加する塩化ビニル需要に応える

私が所属するAGCケミカルズ・ベトナムは、ベトナムにおける塩化ビニルの製造・販売、苛性ソーダの販売を手掛けています。前身はベトナム随一の塩化ビニルメーカーのPhu My Plastics and Chemicals Ltd , Co (PMPC)であり、2014年にAGC傘下に入ったことで、生産量は2年で約1.5倍へと拡大。以降も、年々増加する塩化ビニルの国内需要に応えてきました。

私たちの使命は、ベトナムでインフラ、建築分野に携わるお客様に必要な資材を供給し、インフラ開発へ最適なソリューションを提供することです。塩化ビニルの国内需要は年間80万トンと他の東南アジア諸国と比較しても大きいですが、苛性ソーダ(ドライ)は年間40万トン程度と、各国に比べて少ない状況にあります。それでも、ベトナム国内で十分な供給量がなく、輸入に頼る必要があるのです。
そのため2022年に苛性ソーダの新たなビジネスを開始。塩化ビニル・苛性ソーダ双方の十分な供給を実現すべく、事業拡大を進めています。

インフラ構築に不可欠な塩化ビニルや苛性ソーダ。生産能力をさらに高めたい

塩化ビニルや苛性ソーダなどの当社製品は、社会インフラを構築し、ライフライン施設を開発するために不可欠なものです。需要の増加に応じた供給量の拡大が必要ですが、ベトナムでは、化学品ビジネスと重工業領域をサポートするためのリソースが不足しています。根深く影響しているのは、ベトナム戦争の余波です。競争相手である他の地域が1970〜1980年代にすでに経済を発展させ始めていた中、ベトナムでは開放経済が始まるまでに時間がかかりました。戦争により、国内産業を育成する機会を失ってしまったのです。

現在、ベトナムは自由貿易の枠組みにコミットしており、関税ゼロ貿易により、あらゆる製品を簡単に輸入することができます。こうした背景から、安価な輸入品との競争が難しくなり、資源不足もあって自社の生産能力を拡大する機会が減っている状況に直面しています。

この厳しい競争を勝ち抜くために、私たちには2つの対応策があります。第一に、AGCケミカルズ・ベトナムは、お客様との強い結びつきを維持するための独自のソリューションを持っています。例えば、当社のブランド名は市場でよく知られており、ベトナムをよく知るスタッフの対応スキルは、国内のお客様との良好な関係を維持することに役立っています。また、スタッフはお客様の要件もよく理解しており、材料供給に関する問題の解決に積極的に協力しています。2020年から、お客様のコスト削減と品質管理プロセスの強化に役立つ一括配送も開始しました。

第二に、AGCは東南アジア地域で塩化ビニルの大きな供給能力を持っています。ベトナムでの供給を増やすため、タイとインドネシアの関連会社からサポートを受けることができるのです。この体制によって、塩化ビニルのシェアを着実に伸ばし続けています。

主力製品の塩化ビニルは、次のような様々な商品の原材料として使われています。
【生活用品】家具を作るためのシート、レインコート、合成皮革、靴など
【農業用品】灌漑用パイプ、農業用カバーフィルム、塩田カバーなど
【医療用品】輸血チューブ、血液・点滴バッグなど

主力製品は給排水管、電線に使われるコンジット(電線管、導管体)、フローリングなどに使われるシート類。AGCケミカルズ・ベトナムの塩化ビニルの国内販売はトップシェアです。

拡大する市場規模ニーズに応え、SDGs達成につなげていく

私たちは、水道管を製造するための塩化ビニルの供給を通じて、より多くの都市部および農村部の人々にきれいな水をもたらしてきました。また、安価な家庭用電化製品の提供や、木材保存林の消費の削減、国のインフラ開発プロセスへの貢献など、様々な分野で間接的に社会を支えています。

ベトナムが産業基盤に必須な資源供給を進めていく限り、私たちは石油化学や鉄鋼、自動車メーカーなどの領域において、独自のビジネスを展開する可能性を秘めています。ベトナムの塩化ビニルの市場規模は年間80万トンに達し、苛性ソーダでは年間40万トン(ドライ)に達しています。ベトナムのインフラ開発目標を達成するために、今後10~15年で引き続き増加、または高いレベルを維持するでしょう。

私たちはこのビジネスを通じて、ベトナムのさらなる発展に貢献したいと考えています。
・すべての人に水と衛生設備の利用可能性と持続可能な管理を確保する(SDGs目標6)
・強靭なインフラを整備し、包括的で持続可能な産業化を促進する(SDGs目標9)
・持続可能で強靭な都市および農村づくりを促進する(SDGs目標9)
・安全な生活環境と労働環境を確保する(SDGs目標11)
・各地域での人口と仕事に対する雇用の合理的な配分を確保する(SDGs目標11)

ベトナムの発展と共にビジネスが拡大
Possibility